第二章 29 『異変②』
サウジストのとある路地裏に存在する小さな空き家の中に幾つかの部隊が集合していた。
彼らは、今回の作戦で街の侵略を任されている上位部隊のグループである。
「それでは、今回の作戦内容の最終的な打ち合わせを行う。その前に何か街の中で不穏な動きを見たものはいるか?」
この組織を引っ張っている白い仮面に赤い炎がデザインされた男が新進行を務める。こういった5つほどの上位部隊が集まった際は、上位部隊でリーダーに経験が長い者が白い仮面をつけて司会進行するのがルールになっているのである。
「うむ。特に何も無いようなら話を進めよう。まずは、今回の立ち回りについてだ。我々が担当する街エリアだが、これはマスターからの合図があるまではまずは動かない。この場にいる全員が分かっているとは思うが、黒い光が空中で爆発した瞬間だ。そこは問題ないな?」
その場にいる全員が頷いたのを確認し、話を進める。
「その合図と共にこの街の要塞を作るとされている『警備等』を乗っ取る必要がある。我々はB部隊とD部隊と共に警備等を乗っ取る予定だ。ここが成功するかで作戦の成功率が大きく変わる。相手もこの辺りは警備を固くするだろうが、絶対にミスが許されないから気をつけろ。分かったな?」
全員が再び頷いた事を確認し、話を進める。
「そこから先は、マスターの宣言により注目を集めている間に――」
説明をしている途中に、小さな空き家のドアが有り得ない速度で吹き飛び、部屋の中まで砂埃が飛び散る。砂埃で良く見えないが、誰かがそこに立っている事だけは分かった。恐らくドアをぶっ壊して殴り込んできた者が居るのだろう。
「おい!貴様は何者だ!そもそもこの場所は警備も厚くしているし、簡単には辿り着けないはずだ!どうやって入った!」
「お前は身内じゃねえだろ?何者だ。名を名乗れ!」
内部にいた者が全員戦闘態勢に入り、声を上げ始める。
すると、砂埃の中から女性の声がした。
『おー。ここは割と活きのいいのが多そうだねぇ。おーい!ロジェちゃーーーん!今度こそ楽しめるかもしれないからちゃんと僕の活躍見ててね?』
『え?あ、うんうん。私も今度はちゃんと見とく見とく。けど攻撃はこっちまで飛ばさないよう気をつけてよ?てかもう帰りたい…』
目の前にいる女はまるで中にいる者を敵だと認識していないかのようなふざけたような態度を取っていた。殴り込みに来たとしても敵の本拠地を前に『僕の活躍見ててね〜』なんて言うふざけた態度を取るのはありえない事だ。
「てめぇ!どこの誰だか知らねぇが俺達影の鼓動を舐めんなよ!俺達に楯突いたこと、後悔させてやる!」
そのふざけた態度に限界を迎えた部隊の人間がその女に向かって束になって攻撃を始めた。
即座に高熱の火の玉が、風の斬撃が、巨大な水の嵐が、強力な剣の一撃が目の前にいる鬼面の女に襲いかかった。
纏めるリーダーは様子見をしていたので分からないが、それらの攻撃は全て命中したように見えた。というか、これだけの沢山の攻撃を一瞬で回避するなど不可能だ。生き延びていたら運がいいと言えるレベルのオーバーキルのはずだった。
――なのに、目の前に立つ彼女は傷一つなく綺麗な状態だった。恐らくその場から1歩も動かずに全てを回避して見せたのだ。
しかも攻撃を仕掛けた奴らは全員その場で倒れ、その場から動けなくなっている。倒れている奴らの首元を見れば蹴られた跡が残っていたり、相手の足をガラス片か何かで斬り割いたような跡があった。状況証拠からしてこの女が一瞬であの数の攻撃を対処したのだ。だとすればあまりにも神業であり、相手の戦闘センスは人間離れしている事実に軽く恐怖する。
『チッ。ここが1番つえー場所って聞いたのに雑魚しか居ないじゃねえかッ"!こんなんじゃあ準備運動にすらならないじゃーん!あーーーー!もうっ!こんなんじゃあロジェちゃんにカッコイイとこ見せれないー!』
そして目の前の侵入者は、敵の本拠地で駄々を捏ね始める。その姿は如何にも殺してみろと挑発しているようにしか見えなかったが、中で唯一生き残っていたリーダーは『ロジェ』という言葉を聞いて、とある事を思い出した。
――目の前にいるこの女2人組は、マスターが今最も警戒している相手だと言うことを。
それを思い出したと同時に、鬼のような仮面を被った女が目の前に現れる。あまりにも早すぎる移動速度にもはや驚きを隠せなくなり思考が完全に停止した。何をすれば生き残れるか分からない。
『はぁ…もう終わっちゃったぁ。てめぇが最後の一人だ。お前もどうせそこそこ動けんだろ?だったら少しは楽しませてくれよ…なッ"!!』
そしてこの場に生き残った最後の一人が相手の早すぎる攻撃を何度も受け、何が起きたか分からないままリーダーは意識を失った。
こうして作戦に使用される予定だった上位部隊は、また1つ数を減らしていく…。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
「あーるん調子はどう?そろそろ満足した?」
「せっかくここが1番強い部隊だって聞いたから楽しみにしてたのに雑魚しか居なくてちょっと消化不足って感じ?やっぱり私と組手出来るような奴らはここには居ないのかもね〜。」
――普通に考えてそんなの居ないと思うけど。当たり前のように龍クラスの魔物を素手で殴り殺す貴方と互角取れる相手なんていくら大きな組織だとしても最高幹部クラスくらいしか居ないわよ!
逆に貴方と互角取れる雑魚敵が沢山いる組織なら世界なんて既に制圧出来てるわ!
「どうする?あーるんはまだこれやりたい?私はもう帰りたいんだけど…」
ちなみにロジェは流されるがままにあーるんと共に無理やり3箇所程ハシゴして組織を潰してきたが、離れた場所から見ていたのにも関わらず、何故かこっちに向かって炎やら斬撃やらの流れ弾が飛んでくるので今すぐにでもこんな危険なツアー企画から解放されたかった。
こんなんばっかされてたら幾つあっても私の残機とメンタルが持たないわよっ!
「そうだねー…。一番強い部隊がこんな雑魚じゃ準備運動にすらならないし、これ以上は時間の無駄かも。連絡来た時に書いてあった時間を無視してまで殴り込みに来た意味なかったし、なんか損した気分〜。」
「まぁまぁ。ある程度体動かせただけでもマシでしょ?とりあえず残りの事は愛護団体に任せて私達は式場に向かうわよ。最後の打ち合わせもしなきゃダメなんだから!あと沢山のカッコいいあーるんが見れたし、私は満足したわよ。それにまた一段と移動速度が早くなったでしょ?」
「あ!わかるぅ!?僕も毎日鍛えてるから強くなってるんだよ?ロジェちゃんに成長具合分かってもらえて僕めちゃくちゃ嬉しいー!」
そう言って彼女は可愛い声を出しながら両手でガッツポーズを作り、上目遣いでロジェの事を見つめてくる。その表情からして相当嬉しかったのだろう。笑みが抑えきれずに口元から溢れ出ていてとても可愛い。
……正直動きが早すぎて何やってるのか全く分かんなかったけど、たまには褒めてあげないと式場でこの子何するかわかんないしなぁ…。
最近この子の移動速度がどんどん早くなってるせいで、ついに私の動体視力を持ってしても何をしているのか全く分からなくなってるから別に褒めれてないんだけど…
「僕、式場でもあの腹立つ虚術やろーをボコるだけじゃなくて、この街にいる影の鼓動を全員ぶっ殺す勢いで頑張るから当日は任せてね!」
そもそも式までにサンドホーク愛護団体が組織は何とかしてくれるから、戦うことないと思うよ…うんうん。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
「戦況はこちらに傾いているが、果たしてこの先どう出るのか…」
サウジストから帝都イリステリアに帰還したロッキーは、戻ってから休む間もなく現場の情報収集と指揮を取っていた。
ロッキーは戦争が始まるまでに戻って全面戦争する事を避けるつもりだったのだが、戻った頃には既に戦いが始まっていたのだ。
話を聞けばどうやら冒険者ギルドから協力を得た高ランクの冒険者が残党がいるとされている場所に勝手に先制攻撃を仕掛た為、予定よりも衝突が早まってしまったらしい。
強い冒険者はとても役に立つが、強くなればなるほど倫理観や常識の定義がおかしくなる者が一定数いる。
被害を考えずに全てを燃やそうとする半分犯罪者の野蛮な冒険者がいたり、強い者を見つけ次第全力で斬りかかって力比べをしようとする血の気が多い冒険者がいるので、彼らの扱い方は少し考えなくてはならない。今すぐにでも追い出したいが、こういう戦争などでは頼りになる以上、簡単に切り捨てるわけにはいかないのだ。
「わざわざ呼び戻してしまいすみません総司令官殿。サウジストの件もあったのというのに…」
「構わん。私の担当はあくまでもイリステリア全体だ。この私が国が滅びかねない戦争に顔を出さない訳にはいかないだろう。それに向こうにはあの戦争屋とロシェ殿とがいる。彼らならきっと問題なく依頼をこなすはずだ。」
「だといいですが…今回は影の鼓動ですよね?奴らは強者に敏感だと聞きますが大丈夫でしょうか?」
「戦争屋はともかく、ロジェ殿達の情報は帝都管轄の街や領地を納める貴族や国の責任者にしか流れていないはずだ。内通者でもいない限り逃げられることはない。」
ロッキーがそう言った途端、その意見を否定するかのように王城が激しく揺れた。襲撃時期を考えればそんな事をする目的は1つしかない。相手が現在の戦況がまずいと判断し、脅しにかかるために敵組織が皇帝や皇女殿下の首を目的に乗り込んできたのだろう。それだけは確実に止めなければならない。
「何事だ!侵入者であればすぐにでも捕らえろ!敵はほぼ確実にネオリスの関係者だ!」
「場所は王城の西側のエリアで爆発が起きたとの事です!この規模の揺れであれば団体で乗り込んでいる可能性があるかと。」
「分かった。私も直ぐに向かおう。幸い皇帝様の元には他の団長も居る。この私が確実に敵の息の根を止めるぞ!」
ロッキーは即座に立ち上がり、急いで王城の西側へと向かった。このまま敵組織に突破されたら皇帝の身に危険が及ぶ。皇帝の事を第一として考え、常に守り続ける事が使命であるロッキーは、何としてでも皇帝の懐刀である自分が相手の息の根を止めると自身の愛剣に誓った。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
「これは一体何事だ…?」
まだ事件現場には辿り着いないが、西側のエリアに辿り着くまでに転がっている騎士の数が異常だった。
このような事件はあーるんが屋敷に襲撃してきた時以来だが、あの時と明確に違うのは屋敷の一部がかなりの火力で燃えている事だ。恐らく炎魔法か何かを使ったのだろう。割と冗談にならないレベルで火が燃え始めており、王城にいる魔導師が束になって火を消している。
とりあえず今は進むしかないのでロッキーは先に進んでいくと、火の海の近くに倒れた騎士の様子をじっくりと観察している派手すぎない着流しを着た見知らぬ1人の男がいた。
その男は、あーるんと同じく何か怪しげな仮面を被り、片手で刀のような物を担いでいた。相手から感じる気配が明らかに異常だし、もしかしたらこの男はロジェの仲間なのかとすら錯覚するほどの強者の気配がする。
「おい!貴様は一体何者だ!どこから入った!」
「おー!この国で結構権力持ってそうな奴がようやく来たな!どんだけドンパチ騒いでも誰一人として偉い奴が来ないから偉い奴は全員留守にしてんのかと思ったぜ。俺はおっさんみたいな奴をずっと待ってたんだ!それにおっさんは結構な上玉だし良い素材になるかもしれねえ!」
「どこから入ったのかと聞いてるんだ!答えろ!」
「まぁまぁそんな怒らず少しは落ち着けって。そんな怒ってたら血糖値上がって死にやすくなるぞ?今の時代はラブ&ピースが大切だ。このラブ&ピースってのは俺の仲良い友達がよく言ってる口癖みたいな物だけど、言葉としては悪い響きじゃないだろ?」
――この男は一体何を言っている…?この状況で私相手に指でラブ&ピースを再現するなど何がしたいのか全く読めないではないか。
「それに俺はこの場所を完璧に壊しに来たわけじゃねえんだ。だから俺はおっさんの敵じゃない保証はしてやるよ。話もせずに暴れ始める脳筋女と違って、俺は話をしてから一方的に攻撃する男なんだ。だから安心してくれ。」
「………色々聞きたいことはあるが、先程の揺れとこの火事は貴様が起こしたな?それなのに敵対するつもりはないというのはどういう事だ?何が目的だ。」
「俺の目的か?俺はこの国にいる馬鹿2人に会いに来ただけだ。家に置いてあった置手紙を読んできたんだけどよぉ、そいつはこの国で捕まってるって話なんだ。だからおっさん、その馬鹿についてなんか知らねぇか?」
「……貴様は一体誰を助けに来た。返答次第では私が命を落としてでも貴様を切り落とすことになる。」
襲撃時期的にもネオリスの関係者である事を疑わなくてはならない。エリー・アーロンは結局護送が遅れているのでまだ獄に居るのだ。奴らの元には高ランク冒険者を配置しているのであまり気にしていないが、これほどの強力な気配を放てる男なら突破されかねない。
「え?じゃあ俺もこの場所にいる奴ら全員斬っていいのか!?って事は周りで倒れてる奴らをわざわざ回復させたけど、もっかい斬って素材として貰っていいって事だよな!おっさんが俺に攻撃するって事は、俺もここにいる奴らを攻撃していいって事になるだろ?」
「話をすり替えるな!私はそんな話はしていないし、攻撃許可は出しとらんわッ!」
――――もしかしてこの男、話が通じないタイプなのか?自分が負けない事に自信があるのはいいが、話してる内容が少しズレている。さっきも思ったが言っている事が色々とめちゃくちゃだ。
「なんだ、結局ダメなのかよ!せっかく少しは有効活用出来る可能性のある奴らがゴロゴロいるから悪くねぇって思ったのに。ちなみに言っとくが、俺はそんな簡単に負けねえぞ?おっさん、一回やってみるか?」
「私は貴様が敵では無い可能性がある以上、すぐには手出しはしない。相手の表情を見抜く力を持つ私の前で嘘をつくのは無駄だ。とりあえず貴様は誰を助けに来たのか吐いてもらう。というか良い加減私の質問に答えろッ!」
「……まぁおっさんは悪いやつじゃなさそうだし、特別に教えてやるよ。だがその前に――おっさんには1つだけ条件がある。大丈夫。簡単に死にはしないし、死んでも俺が確実に治してやるから安心しろ。」
そう聞くと、仮面を被った男が鞄から1つのポーションを取り出し、ロッキーの目の前に見せつけるように近付けてくる。色自体は普通のポーションに見えるが何かとても嫌な予感がする。
「その薬品を使ってこの私に何するつもりだ…?」
「俺はな、訳あって常に人を疑う事にしてるんだ。だからおっさんが俺達の目的を知る覚悟が出来ているのか見せて貰いたいんだよ。そ・こ・で・だ!俺が作ったこの水色のポーションをおっさんが飲んだら教えてやるよ。ちなみにこれはただの色水だから命の危険はない。だから1度手にしたらその瞬間どんなに不味かろうと全部飲んでもらう。さぁどうする。」
狐のような赤い仮面を付けた男の顔を見るが、その表情からは相手の心理を読む事が全く出来なかった。恐らくこの男は表向きに表情を出さないように常に生活しているのだろう。情報が何一つ読み取れない。
ロッキーはどうするかかなり悩んだが、断るとあーるんのように何をするか分からない以上、覚悟を決めてポーションを手に取ることにした。そもそもロッキーは1人の騎士であり、何時でも死ぬ覚悟は出来ているので今更死に怯えるつもりは無い。
「おっと。そうこねーと面白くねえよな!それでこそ男だ!」
そうしてロッキーは一気に飲み干し、ポーション入れを相手に返却する。
「やっぱりおっさんは魅力的だな!帝都の奴らはこれにチャレンジする奴が1人も居ないせいでつい何人か試しに斬っちまったが、今回はそんな事をする必要はなさそうだ!」
何か今凄い事を言ってる気がしたが一旦スルーする。ポーションを飲んだ感覚は特に何も感じなかった。どうやら本当に無害な色水だったらしい。
「さぁ、宣言通り飲んだぞ。貴様の目的を教えろ!」
「おっさんがそこまで覚悟決めてるなら俺も男として答えるしかねぇよな!じゃあ約束通り教えてやるよ。俺はこの国にロジェとあーるんっていう問題児2人組を探しに来たんだが、今あいつらはどこにいるか知ってるか?分からないから何か問題が起きてるところを案内してくれるだけで良いんだ。どうせそこにあいつらは居るからな!」
「もしかして貴様があのロジェ殿の言っていた仲――ッ!?」
その時、ロッキーの体内に何か痛みが走った。まるで何か棘が何本も喉元に直接突き刺さったかのような…
「ロジ――!?き...貴様は……私にな…何をした!」
「あーこれか?これは特定の名前を喋ろうとした瞬間に棘が刺さったと錯覚するよう細工した特殊な色水だ。凄いだろ?実はこれ、俺が出かけてる間に作った自信作なんだぜ?性能実験のついでにおっさんの覚悟を見せて貰ったんだし、俺達の事は既に知ってそうだからちゃんと解除してやるよ。ちょっと待っててくれ…」
そう言って仮面の男が緑色のポーションを手元から取りだして無理やり飲ませてくるが、これすらも本当に解除用なのかも疑いたくなる。少なくともこんな事をされれば疑わない奴などいない。
ロッキーはこの時に改めて確信した。
まだ彼女達の仲間だと確定していないが、この仮面の男はあーるんやロジェと同じく化け物であり、相当危険な思考回路を持つ危険人物の1人であるという事。
そしてこの男は、誰よりも他人の命を軽く見ており、最終的に治ればそれまでの過程は何をしてもいいと思っている――とも。
そしてロッキーは、暫くの間深い眠りについた。どうやら飲まされた薬品に睡眠作用のある物を飲まされていたようだ。
「あちゃー。解除用のポーションには、睡眠促進の効果も入れてみたんだが…失敗だったか?これじゃあ使い物にならねえし、配分は気をつけねぇとダメだなぁ。まぁ約束通りちゃんと助けてやっからもう少しだけ眠っててくれよ。おっさん。」
そう言ながら仮面の男は、ロッキーを背負いながら火の鎮火に向かった。魔導師が何人も束になって魔法を使う事でようやく火が消えていたはずのに、この男が歩けばその場所で燃えていたはずの火が一瞬で弱くなり、少し時間が経てば完全に消滅した。
――まるで、この男が王城の中で燃えている全ての火を操っているかのように…。




