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第一章 02 『おつかい①』

 


 これは、突如として帝都で起きたドラゴン襲撃事件を1人女性が解決する6時間前まで遡る。




  △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼




 私は帝都へ向かって空を飛んでいた。


「帝都に1人で遊びに行けるなんて中々ない機会だし、色んなとこを回って可愛い服とか探したり!美味しいもの食べたり!書物を読んで楽しんだり…!とにかく色々と楽しみたいな〜!」


 私の名前はロジェ。詳しくは知らないが何かすごい伝説を作ったとされる魔女の末裔らしい。普段は癖の強い友達2人と小さな村で暮らしている。


 今回は「おつかい」を頼まれたので、帝都に行くだけなのだが1人で村の外に行く機会なんて中々ないのでテンションが上がっていた。


 普段ならば自称ガードマンのグレイや、何をするか分からないがとても頼りになるあーるんが勝手に来るのだが、今回は彼らが村に居なかったので1人で外に出てきたのだ。


「そうだ!今回来てない2人が喜びそうな魔道具を探して後でプレゼントするのも良いかもしれないわね!」


 一応グレイから薬品鞄(ドラッグバッグ)を常に持ち歩くよう言われているので、生まれつき運の悪い私でもこれがあれば大体何とかなると思うのだが、少し不安だった。


 …ただのおつかいなんだし、何も起きないよね?


 不安だったので鞄の中身をチェックすると、紫・黒・緑と言った色々な色のポーションが大量に詰められていた。


 鞄にあったリストを見てみると「爆発」「翻訳」「目眩し」「恐怖」「氷結」「幻覚」「雷撃」「石化」などの攻撃用のポーションと大量の回復ポーションがあるらしい。色事に効果が分けられているし、薬品にも名前のラベルもあるし、薬品のリストと照らし合わせれば基本間違えることはないだろう。


 単独行動への不安よりも1人で村の外に出られる喜びが勝っていたので、普段よりも明らかにテンションが高い私は、鼻歌を歌いながら箒の速度を上げようとしたその時、視界の端に何かが映った。


「あれは…龍の群れ?てかめちゃくちゃ多くない?」


 ロジェの前には、大量の風龍(ウインドラゴン)が飛んでいた。


 龍という種族は、警戒心が特別強くて縄張りを貼る生き物だ。私はこれでも400年以上生きているが、龍がこんな昼間に大量に飛んで移動するのは珍しいし、よく見ると怪我をした者もいる。周りには明らかに小さな龍が混ざっていたので何か不自然だった。


「なんだか傷が痛々しいし、私の回復ポーションに余裕があるから治療してあげようかな…」


 遠くから見ても分かるような傷が沢山あって見ていて可哀想だった為、私は「翻訳」ポーションを飲んで龍達と交渉することにした。




  △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼




『…我らに何の用だ。か弱き小娘よ。』


「こんにちは、ドラゴンさん。私はロジェと申します。どうか私にあなた達の怪我の治療をさせて貰えませんか?」


『どうして小娘が我らの治療をしようとするのだ。確かに我らは深手の傷を負っているが、そこらの小娘なんぞに情けを掛けられるなど恥だ。今すぐ引き下がれ!』


(命より、大事な、物なんて、あるわけ無いでしょうが! プライドなんて小さなものは捨てなさいよ!命とプライドならどっちが大事なんだコノヤロー!!!)


 私はそんな事をふと言いたくなったが、グッと堪えて、いつもの冷静沈着キャラになる事を徹底する。


「しかし…遠目から見ても明らかに凄いダメージを受けているのが分かります。このまま冒険者達に見つかれば討伐される可能性もありますし、下手すれば全滅の可能性も出てきませんか?」


『!? 貴様は我らを馬鹿にしているのか!我ら龍族がちっぽけな人間なんぞに負けるわけがなかろう。深手の傷を負っているが、なんの問題もない!』


「私は馬鹿になどしていませんし、あくまでも私は可能性のお話をしただけです。あなた達のような強い龍が弱いとは思っていませんが、冒険者達は手段を選びません。何をしてくるか分からない相手に深手のまま戦うのは、いくら弱い人間とはいえ準備も相手に対する敬意も足りないと私は思います。」


『…。』


 とりあえずそれっぽい事を言ってみる。龍達に思い入れがある訳でもないが、私なら簡単に治療が出来るのに、怪我した者たちを見捨てていくなどあまりにも最低だ。


 私は悪魔だろうが龍だろうが全ての者を笑顔に出来る魔女になりたいと思っている。


 まぁ一応魔女なので目立つ行動は避けたいんだけどね…。


 しばらく龍達が考えていたが、こういった。


『良かろう。我らが人間なんぞに負けるはずが無いが、こんな状態で相手するのは敬意が足りておらぬし、怪我をして60%程度の力で倒すよりも100%の状態で我らがが一方的に倒す方がより恐怖を与えることが出来るだろう。治療の許可を与えよう。』


「!? 本当ですか!?」


『本当だ。あれだけの担架を切ったのだからもちろん治療は出来るのでだろうな?我らの中には少なからず幼少の者も混ざっている。今すぐ治療を開始せよ。』


 ロジェは攻撃をされる覚悟をしていたのだが、予想外の回答が帰ってきてびっくりしていた。


 一応龍達に話しかける前に私はプレッシャー耐性を上げる魔法をかけているが、それだっていつまで持つか分からない。


 なんせ相手は龍の群れだ。龍達全員が全力の威嚇をすれば私は秒で気絶してそのまま落ちて死ぬし、彼らが風の斬撃や(ブレス)を吐けばすぐに死ぬだろう。


 ずっと龍達怒らせて攻撃される事を考えていたのだが、どうやら無駄だったらしい。


「分かりました。私が全員助けるので、まずは広い平原に行きましょう!」


 私の治療魔法は並か平均ぐらいの実力しかないが、生成の天才であるグレイが作った回復ポーションを使えばなんとでもなるだろう。


 彼のポーションは、傷はもちろん治るし人間のちぎれた腕ですら1時間程度で再生する。オマケに恐怖の魔女が世界に残した最強最悪の呪いですらも簡単に解除出来てしまうらしい。あまりにも優秀過ぎるのだ。


 これが龍に効くかは分からないが、彼のポーションと私が使える1000以上の魔法を何かしら組み合わせれば基本的に不可能はない…と思う。


 そんな事を考えながら私は龍達に案内されるがままに広い平原へ向かい、治療を開始した。




  △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼




 治療する彼女の真後ろに立ち、仮に何かしてきた時の為にいつでも首を取れるようにしていた風龍の長、ウグは驚いていた。


 各龍毎にダメージや症状などが違うのにも関わらず、彼女は全て秒で治療完了しているのだ。


 右手にはポーションを持っているので、恐らくはその力なのだろう。

 しかしあれは見れば見るほどあれは人間用であり、龍には効かないという事はウグには分かる。


 恐らく彼女は魔法を駆使し、常にポーションを龍用に変換して治療を行っているのだ。ポーションで足りない部分は彼女自身の治癒魔法で解決しているように見える。


 ポーションを常に魔法で変換しながら、自身の治癒魔法を使用し続ける事が出来る魔導師などこの世に僅かしか存在しない。

 ウグは800年以上生きてきたが、そのような事が出来る者など片手を数える程も居ないし、見たことがない。


 それに加えて彼女の最も恐ろしい点は、無詠唱で魔法を使っている点である。他の2つの魔法を同時に使いながら、無詠唱で使える魔導師なんてウグは今まで見たことがなかった。


「小娘よ。貴様何者だ…?」


『私ですか?私は…ただの魔導師です。』


 恐らく身柄をバラしたくないのだろう。そのような者は今まで何人も見てきたし、彼女が話そうとしないので無理に問い詰めなかった。


「しかし…我々は小娘に返しきれない恩を作ってしまった。少しくらい何か返さねばならぬな…」


 すると彼女は目を見開き、驚いたような顔をして言った。


『!? いえいえ大丈夫です!大丈夫ですから!私は大したことしていませんし、勝手にやってる事なので気になさらないでください!』


 なんという優しい子だろうか。思わず感動で泣きそうになるがグッと堪える。人間は年をとると涙脆くなると聞いた事があるが、竜も同じなのだ。


「しかし、龍族には受けた恩は倍にして返すという習性がある。もちろん仇も倍にして返すのか龍という種族であり、恩すら返さずに過ごすなど一族の恥なのだ!」


  『別に返してくださらなくても大丈夫なのに…。』


「本当に何も無いのか?我らで良ければなんてもするが…?」


 龍は義理堅い種族である。ウグも昔からそういう教育を受けてきた。今回はあまりにも大きな恩の為、ウグの残りの寿命を全て差し出して、契約龍として使役することになっても返しきれないだろう。


 どうするか悩んでいると彼女は言った。


『…でしたら1つお願いがあります。あなたが角に着けている龍の紋章が入ったペンダントを私に譲って頂けませんか?私はそれで十分です!』


 ウグがつけていたペンダントを彼女は所望してきた。

 これは、先程【双龍の砦】というダンジョンの近くに落ちていた普通のアクセサリーなのだが、本当にそれでいいのだろうか?


 ダンジョンの近くに落ちていたという事は魔導具である可能性が高く、危険な代物の可能性もあるのだ。


 だが、ウグにそれを止める権利はない。彼女が所望しているのであれは差し出すのみである。


 一応渡す前にこのペンダントを拾った場所や危険性を伝えてから彼女に渡し、ウグはいつでも彼女の力になる事を約束してその場を離れた。




  △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼




「ふぅ…無事に終わってよかったぁ。」


 ロジェは治療が上手くいったことに安心していた。


 訳あって私は攻撃魔法を使う事を昔から禁止されている。自身の魔法や手で直接相手の命を取る等の攻撃行為などをすれば違反行為とされる。


 これを破ると体内にある魔力が棘のように突き刺さり、ロジェは意識を失ってしまう呪いがかかっているらしい。


 ちなみにグレイが作ったポーションに魔法で範囲や威力を変えて敵に投げたりするのはOKのようだが、どこからがOUT判定されて攻撃されるのか分からないので少し不安だった。


「にしても、ポーションの物質変換って本当に難しいもんだなぁ。何回やってもこれだけは未だに慣れないよ…」


 治療が上手く言ったかは分からないが、仮に何か失敗していても彼らが近くの集落に戻るくらいまでは持つだろう。回復ポーション沢山使ったし私の治癒魔法だってある。


 攻撃魔法が使えないので、変わりになりそうな変な魔法を片っ端から極めていたら、いつの間にか私は村一番の魔法使いになっていたし、大体の魔法を無詠唱で使えるようになっていた。


 昔から変な魔法しか使えないので魔法を使うとよくトラブルを起こしていたが、今は違う。あれからかなり経験を重ねて成長したし、今回こそは大丈夫だろう。


 昔よりも魔法の知識もあるし、あの頃よりも立派に成長したのだから心配しなくていいはずだ。


 そんな不安を振り切り、貰ったペンダントを個人的に使っている小さな時空鞄にしまい、再び帝都に向かって箒で飛んだ。




 …そういえば、魔法の心配ばかりしててあまり話を聞いていなかったんだけど、ドラゴンさん達が見つけたこのペンタントはどこで拾ったって言ってたっけ?

ロジェの持っている薬品鞄(ドラッグバック)は、ポーションしか入らないし、個人用の時空鞄(マジックバック)には財布と最低限の日用品しか入りません。


小説初投稿になります。小説活動自体初心者なので、誤字脱字などあれば気軽に指摘してください。

感想など頂けると嬉しいです。


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