第三章 25 『伝言②』
ロッキーは一人総司令官室でこの後問題児三人の相手をしなければならない不安や緊張を少しでも解消する為に、大きな深呼吸を何度も何度も繰り返していた。
結局少し前に出た予言の件は全く進捗がないし、それどころか悪化の兆しを辿っている。オークション会場や料理大会の会場は騎士団総出で異変がないか確認した上で何人もの人を警備に割いているし、外から運ばれてくる食材や魔道具はいつも以上に入念に確認しているが何一つ異変はない。
それどころか、最近帝都ではピンク色の謎のカエルが廃街地区から少し離れた場所にある料理店の料理に紛れ込み、何人もの人が気絶する事件が起こっていると報告があった。その報告を聞いてすぐに人を派遣してそのカエルを確保したのだが、捕獲した瞬間カエルが勝手に消滅するせいで対策を練るために調べようとしても出来ないのである。
今は片手程の報告だけで済んでいるが、仮にこのカエルが増殖をしたらいずれ帝都全体の危機に発展するだろう。今まで『世界で最も平和な国』としてして名をあげてきた帝都イリステリアがこうして危険な場所として名前が売れてしまえば、築き上げてきた皇帝陛下の顔に大きく泥を塗る事になる。
国の治安維持を担当する責任者であり、陛下の側近でもあるロッキーは、何としてでもこれ以上の被害を出さないようにする必要がある。ここ最近立て続けに起きている負のイメージを払拭する為にもロッキーは今まで以上に時間と頭と人を使って解決のために動いている。
――それなのに、このタイミングで皇女様を勝手に外へと連れ出しただけに飽き足らず、よりにもよって騒ぎの中心になってるカエルへと変えたロジェ殿に関しては怒りしか感じない。だが、彼女に八つ当たりをしてしまった件については私も反省せねばな....。
腐ってもロッキーは上級貴族であり、この国を纏める騎士団のトップだ。それを分かった上で『あーあー、もしもーし。私の声は聞こえてますかー? 』などとふざけた態度を取ってくるのは怒りしか感じない。だが、彼女はいつだって何か狙いがあって行動しているはずだ。
これはネオリスの残党との戦争が始まる前もそうだったし、サウジストに向かわせた時もこうやってふざけた態度を取っていたが、その度に彼女は最終的に想像以上の実績を残してくるのだ。その光景をこの目で何度も見ている以上は、ふざけているようにしか見えないあの行動も強く否定出来なかった。
だから今回もいつものようにどこかから情報を仕入れ、きっと事件の解決の為に動いてくれているのだろう。今回やった事については多少の注意はするが、協力してもらってる以上は口煩くやめろとは言うつもりはない。
そういえばロジェ殿は料理大会に出るんだったな。もしかして、予言が指している事件について既に分かった上でそれを潰す為だけに参加をしているのか...?
関係者から聞いた話だが、表向きには人見知りが激しい事になっているあの皇女様が推薦枠をロジェにしたと聞いた時は驚きが隠せなかった。何せ、初めて皇女様が王城から堂々と抜け出してロジェ殿に会いに行ったのだ。あの者にはそれだけの事をする価値があると判断したのだろう。
――となればこれ以降も皇女様はロジェ殿に会いにいくだろう。であれば尚の事しっかりと注意しなければ...
「失礼します。団長、少し耳に挟んでおきたい事があります!」
そんな事を考えていると、部屋の中に一人の騎士が入ってきた。誰かが呼びに来るという事はつまり、ギルドから派遣された受付嬢が例の問題児達との報告会を終えた証拠だ。
「どうした。今、ギルドから例の騒ぎについて聞きに来た受付嬢がロジェ殿と話をしているはずだが、話は終わったのか? それならすぐにでも向かうが――」
「いいえ、それはまだ終わっておりません。今回はその件ではなく、皇女様から直接我々に一つ要望がありまして、その件についてお伝えしたい事があります」
皇女様自らの要望だと...? 彼女が大のスイーツ好きなのは知っているが、今までそんな事をしてくる事なんて一度もなかったはずだ。それなのに直接言ってくるだなんて一体なんのつもりだ?
「この国ですぐに調達できる物であれば私に話を通す必要はない。使いの者に話を通した上で、しっかりと衛生面に配慮してものを出してやれ。この国を支える陛下に仕える者として、我々が陛下のご息女の要望に口出しするつもりはない」
「それがですね、依頼してきた内容がすごい事になってまして,,,『氷結熱鳥の丸焼きをロジェお姉様が所望しているので、出来るだけ早く準備してほしい』と言っております。どうしましょうか? 」
「........よく聞こえなかったので、もう一度言ってくれ」
「はい、皇女様が氷結熱鳥の丸焼きを所望しております」
――――は?
「....私の聞き違いか? 今、はっきりと氷結熱鳥と聞こえたが、流石にこれは何かの冗談だろ」
「いえ、これは紛れもなく事実であり、確実に皇女様自身が氷結熱鳥の丸焼きを所望しております。どうしましょうか? 」
意味が分からない。氷結熱鳥は災害を起こす討伐難度が☆7を誇る怪鳥だ。そんなものを求める理由が全く見えてこないし、一体何を吹き込んだんだ! そんなものは何年掛かろうが用意出来るわけがないだろうがッ!!!
ロッキーは一度自身を落ち着かせる為に深呼吸を挟み、唸り声を上げながらこう言った。
「......奴らは今、どこにいる。特にロジェ殿に関しては色々と話しておきたい事がある」
「はい。彼女らは現在も例の部屋で受付嬢と話をしております。ですが皇女様が『ロジェお姉様は悪い方ではないですし、きっと理由あって私に頼んできたのでそう怒らないであげてください。あと、この後お父様に、ロジェお姉様達三人を私の正式な護衛として紹介するのでこちらの準備の方もお願いします』と言っておりまして...皇女様の言いつけを守るのであれば、我々からあの者達に口出しする事は出来ません」
「......」
――本当に何を吹き込んだらそうなるんだッ! 私は彼女達が護衛になる事を許可しておらんし、いくら皇女殿下の要望でもこれは許容出来る範囲を大きく超えているだろ!!!
ロッキーは鬼の形相をしながら急いで外へと向かった。噂通りの人間なら奴の仲間以上に何をするか全く予想が出来ないし、誰よりも失礼で不敬の塊であるロジェ殿だけは絶対に陛下に会わせるわけにはいかない。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
「なんか忙しいのに王城まで来てもらっちゃってごめんなさい。無駄に大きな騒ぎになっちゃってて…」
「いえいえ、全然構いませんよ。この一連の騒動は私が受け持ちましたし、こういう状況確認も私の仕事ですから。むしろここまで足を運んでもらった訳ですし、私の方から謝らせてください」
「元々私達はロッキーさんのお説教を聞きに来る予定だったので、アリナさんが気にしたり謝ったりする事じゃありませんよ」
ロジェ達はメロールと共に王城内部の会議室に案内されていた。グレイ達には大人しく座っといてと伝えているので、この部屋にいる限りは勝手に王城の人間に手を出す事はないだろう。
正直王城の敷居を跨いだ瞬間に頑丈そうな手錠を付けられ、この部屋までノータイムで連行された事だけは未だに納得してないが、グレイとあーるんにちゃんとした前科があるので仕方のない処置だろう。――まぁ、この強度の手錠なら私はともかく二人は簡単に壊せるから意味ないんだけど...
「お説...教......? ま、まぁロジェさん達にも色々あるという事は分かりました。皇女様も、わざわざ貴重なお時間を割いてまで同席して頂きありがとうございます。あまり長い時間同席してもらうつもりはありませんから、少しの間だけ協力してくださいね」
「わ、私は別に...大丈夫です。お、お姉様とどどど、同席しているので」
ところで王城に来てからずっとメルが猫被って大人しい女の子を演じてるんだけど、急にか弱い皇女を演じるのやめてくれない? 普段の立ち回りと違いすぎてびっくりするじゃん...
「ふふふ。か弱い事で有名な皇女様を手懐けるなんて流石ロジェさんですね。まぁそんな世間話は置いておいて、そろそろ本題に入りましょうか。単刀直入に聞きますけど、あの騒ぎはなんだったんでしょうか。話をよれば何人かの見物人をカエルに変えたとか街中で大きな砂嵐を発生させたとか――って聞きましたが、なにをしてたんですか? 」
「カエルの方はまぁ――事故みたいなものですよ。本当なら相手に使う予定だったんですけど、ちょーーーっと効果範囲の設定を間違えちゃって...あはははは」
「私は魔法に詳しくないので分かりませんけど、そういうものなんですか...? ロジェさんの実力は私も知ってますし、命に関わるようなものを使わないのは分かってますけど、街中で強力な魔法を使うだとか、見物人をカエルに変えただとか、あまり大きな騒ぎを起こすと皆さんの評判に傷がつきますから気をつけてくださいね。ロジェさんはこの国の危機を何度か救った経験のある帝都最強の英雄様なんですから、極力自分の名前は大切にするようお願いします」
「,,,,,全部誤解なのに帝都最強だとか変に担ぎ上げてる人に文句言ってやりたいですけど、その前に一つだけ確認させてください。私の使った魔法が解除されてないって人は居ました? 報告は特に受けてないんで大丈夫だと思うんですけど、それだけちょっと不安で...」
ロッキーさんからのクレームを受けたがその件は何も言われていない。だから多分大丈夫だとは思うが、もしまだカエル魔法が続いているのであれば大問題だ。そうなれば責任者として魔導書片手に解除しに向かわなければならない。強制解除術式は魔導書に載ってるけど、難しいからあんまりやりたくないんだよなぁ....
「今の所はそういった連絡はこちらには入ってませんね...だから多分大丈夫だと思います。ちなみにですけど、被害にあった《霜刻の凍鳥》の皆さんはめちゃくちゃ怒ってるみたいですよ。話によれば見掛け倒しの魔法を使った上に変な口約束を言われたとかで...」
「えぇ...やっぱり怒ってるのかぁ。でも大丈夫、次戦う時には『条件』を満たした時だって言っておきましたから。これ以上の問題は起こらないと思います! 」
まぁそりゃ怒るよね。見物人は結構居たし、あんな時間差で解除される見掛け倒しの魔法を仲間に使われて命を交渉の道具にされただけでなく、リンとタイマンで勝ったら戦ってやるって言ったんだもん。怒らない方が不思議か...
すると、何かを言いたげな顔をしていたメロールを発見したので、会話を振ってやると彼女は少しずつ喋り始めた。別に受付嬢さん相手なら演技を解いても良いと思うんだけどなぁ...
「う、受付のお姉ちゃんは知らないと思いますけど、あの時のお姉様はと、とてもカッコよかったです。一つの魔法だけで相手を完全に無効化しましたし、『てめぇらなんかじゃ私達に勝てないから、あの大魔導師のリン・アシュフォードに勝てるくらいになるまで出直してこい!』ってちゃんと宣言してたので...」
あれ? 私、そんな煽りになるような宣言した覚えないよ。一体どこのロジェさんがそんな事言ってたんだろう、全く知らないなぁ...私はそんなつもりは無かったんだけど、周りからそう聞こえてたのかな。その言葉を聞いてアリナさんは口を開いたまま固まっちゃったし、もうやだ...現実逃避した――って、あちっ!
現実から目を背ける為、猫舌なロジェは手元にあった美味しい紅茶相手に苦戦しながら飲んでいると、後ろに座っていた二人が茶々を入れ始めた。
「ヒューヒュー! ロジェちゃんかっこいー! まぁ実際あいつらは強くないし、そのくらい言っておかなきゃしつこく粘着してくるからそれ言うのは正解だよ。僕もそのかっこいい宣言聞きたかったなぁ。雑魚しか居ない廃街地区でゴミ掃除してないで着いてけば良かった」
「発言内容はともかく、まぁロジェの言ってる事は事実だから間違えてはねえし問題ねえだろ。ロジェの覚えたての魔法にビビってるようじゃ勝てるわけねえしな! 」
――いや、大問題ですけど? ただでさえ何故か粘着されてるのに、戦えない私の身に命の危険が迫ってるんですけど!? 笑ってる場面じゃないわよこれ!!!
「なるほどなるほど、ロジェさんは《霜刻の凍鳥》に負ける気はしていない...と。それを発現出来るくらいに肝が据わってるなら確かにとてもカッコよく見えますね! 」
「アリナさんもそんなどうでもいいまでメモしなくていいですから。私の発言にそんな意味合いはないし、彼らにこれ以上粘着されるのは正直懲り懲りなんですよ。これ以上余計な反感は買いたくないので絶対に伝えないでくださいね」
「その割には発言が矛盾してる気がしますけど、本人の希望でしたらやめておきましょう」
私の言葉を聞いてアリナさんの温もりを感じる優しい視線が冷ややかなものへと変えながらそう言ったが、そうされる理由が分からない私は見なかった事にした。
「そういえば、なんで皆さんは彼らをロリコン呼ばわりしてるんですか? 相手はその件で一番怒ってましたよ。なんたってあの人は小さな子供が嫌いな事で有名なのに、何度も何度も自分に向かってちびっ子を差し向けたとかで――やっぱりロジェさん、わざと相手を煽ってますよね? 出てくるのはどれも高度な煽りばかりだし、こっそり煽りスキルなるものでも取得してるんですか? 」
「いやいや、私はそんな事した覚えは一度もありませんから。酒場にいる時に相手が自分からロリコンだと名乗ってたので機嫌を直してもらう為に子供を貸してあげようとしただけですよ。あの人がちびっ子が嫌いな事をこの時まで知りませんでしたし、あの一連の行動もわざとなんかじゃありません。全部善意ですから」
「え、あの《氷嵐》が自分からロリコンだと名乗ったんですか!? 子供が嫌いだという話が世間で出回ってる以上はにわかには信じ難いですけど...」
普通に武器を持ってた男の人がそう名乗ってたよ? 普段なら少しは聞き間違いの可能性を考えたりするけど、今回に関しては聞き間違いじゃない自信しかないし、あまりにもインパクトがある名前だから間違えてるわけないじゃん。私はそこまでポンコツじゃないもん!!
「ちゃんと彼の隣に立ってた武器持ちの男がそう名乗ってましたよ。この人はロリコンだからどうだだーって。そうだったわよね? グレイとあーるんも聞いてたでしょ? 」
二人に質問すると、思い出し笑いなのか知らないが顔を隠しながら声を押えて爆笑していた。口元は見えなかったが指でグッドの構えを作り答えてくれているので、YESと見ていいだろう。
すると軽く笑っていたアリナさんが落ち着くために軽く咳払いをして口を開いた。どうやら堂々とロリコン嫌いを公表していたのに、ロリコンだと判明した事が相当面白かったらしい。分かる..私も最初笑いそうになったもの。
「ふぅー...こほん。《霜刻の凍鳥》の右腕であるキース・カルマンがそんな事を言うとは思えませんけど、本当なら凄い事ですね。ロジェさんがそうおっしゃるなら私から深く追及しませんが、そう言った挑発行為は極力控えてくださいね。実力のある冒険者との戦いって被害規模が予想出来ませんから」
「分かりました」
――分かりました...? いや何も分かってないでしょロジェ。挑発ってなに? 何も思い当たる節がない癖に適当に話すぎでしょ!? ねぇ、ねぇーーー!!!!!
「こちらからは大体の事は確認が取れましたので、次が最後の確認になります。相手に伝えておく事とかってありますか? 特に無ければ彼らの印象とかでも構いません。まぁでも今回はロジェさんの方から『条件』を突き付けてるのであれば何も無いと思いますが、念のため教えてください」
「...もしかしてアリナさん、何か私に変な事でも言わせようとします? 別にそんな事確認する必要なんてないと思うんですけど」
「いえいえ。そういうつもりではなくてですね、冒険者とギルドに登録されていない一般人ではコンタクトを取るのにも何かと苦戦しますから、相互間の仲介役の受付嬢として聞いておかなくてはならないんです。これは冒険者ギルドとしての決まりなので、私は責務を全うしているだけなんですよ」
絶対嘘だと思うけ――いや、待てよ? そういえば前の時も同じような質問をされた気がするし、もしかしたらホントなのかしら。よし、今度お兄さんの所に行ったら確認してやろう。
「なるほど。そういう事なら是非ともお答えしますよ。うーん、そうだなぁ...私が彼に抱いてる印象としては、氷結熱鳥を倒せるくせに本人の沸点は鳥と違ってかなり低いし、顔は熊みたいな感じがして怖いし、スライム以上に粘着質で面倒くさいし…あとは―――なんかあるかなぁ」
というかアリナさんが時折見せるこの満点スマイルがとっても可愛いんだよなぁ。元々何もしてなくても幼さを感じて素敵なんだけど、要所要所で大人っぽさを感じるから理想の受付嬢と言っても過言じゃないわね......
てか待って。ロリコンさんは子供は嫌いって言ってたけど、もしかしたらこのアリナさんが狙われる可能性とかあるのでは? この人は前からギルドで働いてるのはこの目で確認済みだし年齢的には大人のはずだ。相手はあくまでも子供が嫌いなだけであって、子供っぽさを感じる大人は嫌いどころか、むしろストライクゾーンの可能性がある...あれ、それって逆に危なくない? 私のせいでトラブルとか起きたら最悪なんだけど.....
――よし、相手に宣戦布告はしなくても良いけど、アリナさん本人には彼らを警戒するように伝えといてやろう。
「これは本人に伝えなくてもいいですけど、いくらロリっ子が嫌いだとしても見た目が可愛いらしくて幼さを感じる私のアリナさんに手を出すな――って事ですかね」
その言葉を聞いて顔を少し赤らめながらアリナさんが素っ頓狂な声を出す。
「ふぇ? わ、わたしの!? 」
「アリナさんは見た目が貧相だし、相手の好みに刺さってる可能性があるんです、彼らに手を出されそうになったら最悪私の名前を出してもいいので、全力で逃げてください。巻き込んだのはこちらですし、死なないようにアリナさんの身を守るくらいはしないと申し訳な――って、どうかしました? 」
私の言葉を聞いてからアリナさんの顔がどんどん赤くなるし、どこか様子がおかしいんだけど何かあったのかな。もしかして風邪でも引いてる?
「そ、そのぉ....もしかしてですけど、ロジェさんが女の人を積極的に狙うタイプだったら申し訳ありませんが、私は女同士のそれがちょっと受け付けないタイプというかぁ...私の事を一生かけて守ってくれるなら、グレイさんのようなかっこいい男の人がいいなぁって思っててぇ」
――ん?
「あ、でもでも。ロジェさんは勇気を出して言ってくれたわけですし、少し考えさせてください。こういうのって勢いで決めるものじゃないし、時間をくれれば私もそれを受け入れる事が出来るかもしれませんから。今後の将来に関わる事は慎重にならないと...」
「いや違う違う。私にそんな特殊な癖はないし、さっきの発言にそんなつもりはないからモジモジしたり頬に両指を添えるのはやめてください。本当に違いますからっ!!!」
――というか、そんな告白みたいな変な誤解をする発言ってあったっけ?
「私が言いたいのはそういう事じゃなくて、あの人って子供は嫌いなんでしょ? だったら見た目的にも少し幼さを感じる可愛い大人...つまりアリナさんが結構危ないなーって思ったの。まだ予想の範疇でしかないけど、あの人は恐らく体つきが貧相な人が好きだと思うから気を付けてくださいね」
メルがアリナさんの言葉を聞いてずっとポカーンとしながら私のローブの裾を引っ張って詳しく聞こうとしてくるが、あなたは知らなくていい事なんだからそう無理に知ろうとしないでください...あなたにはこの世界は早すぎるわよ。
「な、なるほどぉ...そ、そうですよね! 失礼しました。急に言われ慣れてないプロポーズみたいな事を言われて私もびっくりしちゃって。あーびっくりしたぁ....ふぅ」
そう言いながらアリナさんが小動物みたいに小さな手をパタパタ動かし、顔を冷やそうと必死になっている。どうやら彼女は感情がすぐ表に出るし、意外とポンコツな思考回路を持ち合わせているようだ。女性の私から見てもその姿はとても可愛く見える。
「分かりました。ロジェさん達は色々大変だと言うのに相手に喧嘩を売ってまで私の身を案じて頂き、ありがとうございます。今回の事件の件の確認が終了しましたし、私はこれで――」
その時、突如として爆発寸前――というより爆発真っ只中の巨大な爆弾が会議室に殴り込んできた。相手は連絡石越しに説教したり、私達に王城まで来いと言っていたロッキーさんだ。
「おいロジェ殿、一体皇女様に何を吹き込んだんだ。何をどうしたら皇女様自ら氷結熱鳥の丸焼きを持ってこいなどとめちゃくちゃな注文をするようになる! いい加減、変な事を、吹き込むのはやめろッ!!! 」
――うわぁ。なんか凄いタイミングで凄い怒ってる人が乱入してきちゃった。いつも以上に怒ってるから今日こそは本当に殺されるかもしれない...てか、なんで怒ってんの?




