幕間 運命の出会い
テアトロから少し南下した、とある森の中。
そこではあの激しい戦場の音は全く聞こえない。
鳥のさえずりと、葉が擦れる音、川の水がさらさらと流れる音が綺麗な旋律を奏でている。
とても平和な、自然に満ち溢れた場所だった。
そこに突然、バシャンという不協和音が鳴り響いた。
「――ゲホッ、ゲホッ!!」
川に落ちたレイモンが、突然水中から顔を出したのだ。
彼は無我夢中で、かろうじて掴んでいたセレストの体を引き寄せた。
そして川岸まで必死に泳ぎ、水から這い出ることに成功する。
レイモンは横に気を失ったセレストを置くと、力尽きたように岩場に倒れ込んだ。
(寒い……体の感覚が、ない……
何とか……体を、温めないと……)
高いところから川に落ちたせいで、背中がすごく痛い。
骨にひびが入っていてもおかしくないほどだ。
だがもう体力は尽きていた。
その上真冬の川にしばらくいたせいで、体温も下がっている。
動こうにも体は言うことを聞かない。
それ以前に、意識がぼやけて視界もかなり歪んでいた。
(セレストの……傷を……治療、しないと……
それから……あれ……何を……考えてたん、だっけ…………?)
もう何も考えられなかった。
レイモンはただ抵抗もできずに、そのまま眠るしかなかった。
何かをしないとという焦燥感も、徐々に薄れていく。
目の前の光景も、どんどん暗くなっていった。
「……ぁ……ぅ…………」
レイモンが気を失う寸前、うっすらと何かが見えた気がした。
……それは、金髪の女性のようだった。




