幕間 セレストの観察記録No.4
ヴェロニックの手帳には、綺麗な丸文字でメモが書かれている。
その中に、以下のような記述がある。
王暦1024年6月11日
観察対象:セレスト・ヴァスール
グエッラとの最初の戦いが始まった。
その際、彼の行動に不可解な点があったためここに記録を残す。
この日彼は、いつも持ち歩いている和傘で大量の敵を葬っていた。
撃退数はおおよそ、兵器数百体と兵士二十名。
武器の割にはかなり健闘している。
前からその戦い方に疑問があったけど、肝心なのはそこじゃない。
生身の兵士を倒す際、彼は必ずあることを聞いていた。
「施設の入り口はどこだ?」
グエッラの人達は、誰一人として答えなかった。
あの様子だと、口を噤んでいるというより本当に知らないみたい。
セレストはその度、舌打ちをして一切躊躇せず兵士の首を切り落とした。
施設とは、一体何のことだろうか?
このイニーツィオの地に、一体何があるのだろうか?
殺された兵士が全員知らないということから考えると、グエッラの機密事項の可能性もある。
だとしたら、なぜ彼が知っているのだろう?
いずれにしろ、ナタンの疑惑が事実であるという証拠が増えた。
やっぱり、セレストはとても重要なことを隠している。
でもスパイにしては、グエッラの戦力を一人で減らしすぎている。
可能性が消えたわけではないけど、調査は続けないといけない。
幸い、師匠に手紙で相談したら部下に調べさせると返事が来た。
彼に白黒をつけられるのは、時間の問題だと思う。
一体セレストは、何を抱えているの?
彼は、ウチ達の
(ここで記録が終わっている)




