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黄金が再び輝く時  作者: 清月 郁
第一幕 始まりの事件
1/6

プロローグ

――世界の輝きが、死んだ。




肌から感じるのは、戦火の熱さだけ。

ただれるような痛みと、傷口の焼けつくような感覚が、全身を駆け巡る。

かつての人の温かさと感触は、とうの昔に忘れ去ってしまった。

握りしめる武器から、誰のものか分からない冷たく赤黒い液体が滴る感触が伝わる。




耳を澄まして聞こえるのは、鼓膜が破れるほどの大きな空爆の音。

相対するは、殺戮兵器と生きる屍の集団。

どちらも互いを滅ぼすために生まれ、駆逐されるまで止まることはない。

それは未来永劫、世界を支配する闇のように潰えることはない。




目を閉じて見えるのは、最愛の人の最後の姿。

かつては金色に輝き、誰もが彼女を崇拝した。

だが信頼する者達に裏切られ、無実の反逆者として断頭台でその命を散らした。

彼女の死に顔は悲哀に満ち溢れ、多くの人の脳裏に焼き付いたことだろう。






「…………」






……希望は、潰えた。


ただ唯一の拠り所は、この手にある禁忌の術のみ。

何百万もの人の命を糧に、時空を遡る奇跡の術。

それでも、この世界の運命が変わることは神にも保障できないだろう。




だとしても、僕は時間を巻き戻そう。

大切な人の幸せを取り戻せるのなら、何でも差し出そう。




僕は、アンデッド。

最愛の人の最高傑作。


何百万、何千万回死んでもこの肉体は砕け散ることはない。




数多の贄の死を全て肩代わりし、僕がこの世界の運命を変えてみせよう。

心が壊れ理性を失ったとしても、不死でも耐え切れぬ苦痛に耐えてみせよう。

今度こそ、あの黄金の輝きを守り抜いてみせる。






「……すべては、ミュリエルのために」

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