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濾過装置についての考え

ぼくが作る濾過装置は携行型ではない。

水源は小川だから、小川の傍に設置しよう。

鉢でも壺でもいいが、水汲み用の道具を用いて人力で汲み上げるのか……水車なんて造れないからなあ、そう簡単には……。


小川の流れはそれなりに傾斜があるが、しかし滝というほどじゃない。そこから水の流れを導引するのは……。

若木の幹を掘り削って4mくらいの樋にするとして、それで引き出せるか……。

ただ、それだと場所がかなり山寄りに……安全確保が問題だが、ま、多分そうそう問題は……どうだろうか、獣がうろついている可能性はあるんだよな……。


無理に危険を冒さず、確実に水汲みをできるように、人力でやっても良いのでは?

その為に、跳ね釣瓶みたいな装置が作れれば、労力軽減できるんだが……桶一つないんだ、ぼくたちには。

仕方が無いから、この前トヨが作った土器のうち、壺の予備を貰って、ホルダーを作って、落ちないようにしっかり吊るして、か……。

木製の天秤の機構は……単純なシーソーでいいな、壺の重さと均衡とる錘は後付けで。

あと水平回転させたい……シーソーの中央支柱をどう回せるようにするか……軽く、回せるように。回せても重くちゃ困る……。

シーソーの下側の軸受けは丸太か? ……シーソーする上の棒は、それだけの長さがあって、壺や水の重さや流れの勢いの力が懸かって折れないか?

上の棒の太さは? 石斧で伐れる最大限か? 少しだけ、あくまでも少しだけ中央を窪めて、それで軸の丸太に噛ませるか。

そうなると……シーソーさせた時に噛み合わせが浅いから、不安定になる……どう安定させる?

シーソーに座ってる者から見たピッチングはこの場合、シーソー運動そのものだから問題にならない。

問題は、その意味でのローリングとヨーイングだ。

ヨーイングは水平回転だから、完全に外れてしまわない限りは、むしろ有難うってなもんだが、制御できないヨーイングは問題だ。

そしてローリングは軸から外れて転がり落ちる直前と言えるから、とても拙い。


構成要素の一つ一つが未整備なうちに無理に跳ね釣瓶にしようとすると、そういう風に困難が増えてしまう。

別の方法を考えてみよう。


あ。

堀切を造る時に、もっこで土を土塁構築側へ引き上げるのが大変だから、頭上の太い枝とかから縄を固定してもっこを吊るし、もう一本縄をもっこにかけて斜めに引き上げることで、少しでも楽に引き上げようって……同じじゃん、これ。土が水に、もっこが壺になっただけ。

じゃあ、そういう風にすればいいのか。

兎にも角にも、縄だなあ……まず縄。

或は太くて切れづらい蔓だ、うん。


それでまあ、あまり無理しなくても、少しは楽に水を小川から壺で汲み上げられる、と。

ただ、絶対に壺を間違ってガチャンっ! と割らないような工夫が、主に縄の張り方とか、場所の選定で必要になって来るなあ。


で、汲み上げられる場所はそっちの条件で決まって来るから、まずはそれをやる。

縄が作れたら、実際に汲み上げの仕組みを作ってみる必要がある。


うまく汲み上げられたら、その壺の水を注ぐ先が、濾過装置の注水部分だ。

木の葉やゴミが溜まると厭だな……まあ、とにかく、水を濁らせる泥をどうやって取り除くかだ。

小石と川砂と炭かな?

粘土は駄目だろう、粒子が細かすぎて、水すらも通さないから。

だから逆に、容器は石と粘土の分厚い壁で作れるだろう。

きっと最後に水を磨くのに炭を使うことになるだろうから、小石と砂の二層を先に水が通る……どちらが先だ?

粗い篩となる小石を先に通って、それから細かい篩となる砂の層を通るべきなのか?

濾過の原則が分からない……。

杉の葉とか使っていなかったっけ……。

駄目だ、覚えていない。もっとよく見ておけば良かった……。


あ、そうだ。

お爺さんとこへ行って、使っていないか訊いて来よう。

もし使っていれば、どんな構成か、必ず知ってる筈だ、まだ開拓第一世代なんだから。

よし。

開拓村にも濾過装置はあった筈で、それ故にすぐ思いついた主人公。

『生水は怖いよ』

と言われて育ったのだろう、煮沸の必要性も知っている。

しかし濾過装置については、肝腎の仕組みや理屈をよく知らなかった。

気にしていなかったから。

トモコ辺りは知識があったかもしれないが、今居ないので、お爺さんのところへ。

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