0006
ガルウイングのドアが下がり、入り口が閉じる。
一瞬、暗闇となったが、すぐに照明が灯り、辺りのディスプレイが起動した。
入り口のドアにもディスプレイが設置されていたようで、そのディスプレイへ女性の姿がな。
コンパニオンとは違う女性だか、こちらも別嬪さんである。
金髪ロングで青い目をした白人さんなのだが…言葉は通じるのか?
俺は日本人だかんな、英語は喋れんよ。
っか、日本語オンリーだかんな。
そんなん思ってるとな。
「アキラ少尉殿。
少尉への任官および機動兵サーシャムのパイロット就任おめでとうございます。
自分はアキラ少尉のサポーターとして着任いたしましたマチルダと申します。
以降、よろしくお願いいたします」ってさ。
えらい流暢な日本語やな、をい!
日本生まれの2世か3世か?
「日本語が上手ですね」ったらな。
「いえ、自分はカタナリカ語を話しております。
ご存知でしょうが、宇宙世紀である昨今は植民惑星が増えて言語が多様化しており、翻訳機の性能も向上しております。
特に連合軍では、出自が異なる方々が所属しておられ、より高性能な翻訳機開発が急務となっているのです。
特に連合軍主力兵器であるサーシャムへは、率先して最新機が搭載されておりますので、この程度の翻訳など、できて当然であります」
おおぅ、なげぇ説明だな、をいよぅ。
しかし惑星移民に連合軍って…どんだけ未来やねんな。
現在の科学力では、火星探索やアストロイドベルト探索ができる程度だぞ。
有人にて太陽系から外への移動など無理だからな。
結構、壮大なストーリを、ぶち込んで来たもんだ。
「了解だ。
それで、俺は何をすれば良いのかな?」
左右のフットペダルはあるが、ハンドルも操縦桿もないので、操作できないんだが…
んだぁ、このゲーム?
「先ずは、壁へ掛かっている手袋を嵌めて下さい」
そのように指示がな。
ああ、これか?
壁面へコードが繋がっている手袋が、左右に1つづつな。
俺は告げられた通り、壁から手袋を外して手に嵌める。
嫌に手へフィットするんだが、妙な感じもな。
んだろね、これ?
そんなん思ってると、サポーターってた美人さん…そう、マチルダさんだったな。
彼女からね。
「手袋を嵌められたようですので、操縦方法について説明いたします。
これよりは音声ガイドとしてサポートいたしますので、正面モニターへガイダンスを映写いたします」
そう告げられると同時に彼女の姿が消え、ガイダンスが流れ始めた。
美人さんが眼福だったのに、残念です!