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後輩が騒ぐから、他のメンバーも寄って来たじゃねぇかっ!
「主任さんの家って、そんなに広いんですか?」って、課の若い娘が興味津々ってな。
「まぁね。
家の間取りが京間ってこともあるんだが、コイツん家の間取りが新団地間っうこともあるんだよ」ったらな、首を傾げられた。
をいをい。
俺は困ったように彼女を見たんだが…後輩を含み何人かが同じように首を傾げてんな。
分かってるメンバーは苦笑してんぞ。
やれやれ。
「あんなぁ、部屋の間取りには京間、中京間、江戸間、団地間、新団地間ってあるんだよ。
京間の6畳が約11平米なんだが、新団地間は約8平米なんだ。
関西は大体が京間なんだが、関東は江戸間とか団地間が多いな。
まぁ最近はコイツん家のような新団地間のマンションも増えてるし、独身間っう7平米のアパートも在るようだな。
家は関東では珍しい京間採用のマンションだから、コイツん家に比べたらなぁ」
俺が告げると、他のメンバーが後輩を哀れむように…
まぁ、実家通いの者や、江戸間や団地間に住む者が大半だろうからな。
「そんな哀れむように見ないで欲しいッス!
っか、そんな広い部屋の1つを、ウォーキング・クローゼットにしたり、2部屋の仕切りを外して12畳にしたり、1部屋とリビングの仕切りを外して広くしたりと、好き放題な先輩が悪いんッス!
あんな解放感満載な部屋で95インチ・ディスプレイ・テレビとシアターシステムでの映画鑑賞やゲームしたらハマるッス!
贅沢な先輩が悪いんッス!」
いやいや、その理屈は、おかしいからなっ!
誰だっ!流石は優雅な独身貴族ってんのはっ!
「いや、それは田舎だから…」ったらな。
「先輩ん家の近くに商店街に家電量販店が在るッスよね。
歩いて行ける距離にスーパが2軒にファミレスが5軒、コンビニが7軒に、焼き窯を持つパン屋とピザ屋が1軒づつ。
個人の飲食店やハンバーガーなどのファーストフードの店やドラッグストアも3軒ッス。
他にも色々と揃って便利って思うんッスよ。
あそこを田舎扱いにしたら、家の実家付近が哀れッス!」
「何気に俺より詳しくねっ!」
ビックリだわいっ!
っか、周りもドン引きなんですが。
「あそこが遠くなければ、俺も住んでるッス!
でも遠過ぎッスよっ!」
「たかが片道二時間半だろうがっ!」ったらな、皆にさ。
「「無い、無い」」って…
そ、そうかなぁ?
「だけどさ、家賃安いし、近くに激安の業務スーパがあるんだぞ。
小規模のモールができたし、出版社の本社がイベント会場施設込みで移転したから、町へ色々と誘致されて施設が増えてるしな。
この家賃と利便性を考えると、少々通勤時間が長いくらいはさ」
「「いや、遠過ぎるからっ!」」
ダメかなぁ?