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あるところに王子様がいた。美しい女性と王子様は恋に落ちた。

しかし身分が違うので結婚できない。


王子様は、護衛騎士と女性を結婚させることにした。護衛騎士も女性に恋をしていた。

そして、王子様は自分の会いたい時に、その女性と会う。護衛騎士はその関係を認めている。護衛騎士は二人の関係を隠す役割だ。


月日が流れて、女性と護衛騎士の家族には多くの子どもができていた。

一人目は金髪の、王子様にそっくりな男児。

二人目は、護衛騎士に似た黒髪の女児。

それから、もっとたくさん。王子に似た子に、女性に似た子に、護衛騎士に似た子たち。


さて、その一人目の子だ。


王子様の隠し子であるその家の長男は、血のつながっていない養父、護衛騎士が大好きだった。

家族として、父として、母と一緒に自分を育ててくれていた。


成長するに従い、彼は、親たちの一般的では無い関係に悩んだ。

彼は非常に聡明だった。養父も母を愛している。自分の存在は義父の心痛になると悟っていた。


とはいえ、多くの時間を話し合い、彼は、養父と良好な信頼関係を築くことができていた。


一方で、彼は自分の立場が非常に微妙だと理解もしていた。

彼は隠し子だが、王子の第一子の男児である。

実父の王子は、貴族から正妻を迎え、2人の子どもに恵まれた。

しかし誰の目から見ても、隠し子の彼の方が優秀らしい。容姿と気品さえ、隠し子の彼は備えていた。


ただ、彼は実父の王子に複雑な思いを抱いていた。

加えて、隠された血筋のせいで、実父の正妻たちに、命を狙われる可能性もあった。


彼は、血のつながらない養父の方を慕っていた。

ただ、養父の家を継ぐ気にはなれなかったし、そう表明していた。間違いなく養父の血を引く子が他にもいるのだし、彼は養父を裏切りたくなかった。


だから彼は、ふらふらと広くを渡り歩くような暮らしをしようと考え、そのように生きる事にした。


結果として、勇者の称号も手に入れた。


彼はその中で、不特定の大勢の女性とまるで恋人のようになった。

彼は特定の一人と懇意になりたくなかった。

自分自身が好きでは無く、かつ、血筋的に厄介な存在だと自分を判断していたからだ。


が。

彼が帰還すると暖かく迎えてくれる家族。養父に、将来について真剣に確認された。

特定の女性はいるのかと養父に尋ねられたが、きちんと答えを返せなかった。


次の帰還時、彼は養父に頭を殴られて、まるで分別のない子どものように叱られることになった。

彼が不特定多数の女性と関係を持ちながら、その後一切関わりなく放置し、女性たちが今どこで何をしているのかさえ把握していない、と白状したからだ。


「親の不始末で一番苦労するのはその間に生まれた子どもだ! お前自身が良く分かっている事だろう! 責任を持て! お前のように苦労する子を増やすつもりか!」



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