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私が魔法少女!?

「魔法少女」


子供の頃、いつかは私も魔法使いになってみたい、なんて思う人は沢山いるだろう。けど、大人になるにつれ、そんな夢はバカバカしく思えてくる。


じゃあ、何の仕事に就きたいの? なんて聞かれる事がある。でも、ないんだよなこれが。ドヤって言う程の事じゃないけど。


小学生、中学生の時に、「将来の夢は?」なんて質問、どれくらい聞かれただろうか。典型的なのは、野球選手、お花屋さんとか、もう少し大きくなると、弁護士やら税理士だのと少し真面目な夢を見始めるようになる。


でも私は、「まだ考え中です」という言葉でいつも逃げてきた。いつかなりたい職業が見つかるだろう、なんて考え続けて23年。結局見つかりはしませんでした。


私は勉強も出来ないし、運動だって出来ないダメダメ女だ。そんなのに、何に就けばいいっていうの? だから、やりたい事だって見つからない。


「トオコー? 寝てるんだったらハローワークでも行ってらっしゃい?」


うちの母親がなんか言ってる。寝てるんだったらって、なんか理由になってなくない?


…… まあ母親の言う通りかもしれない。そろそろハローワークに行って、私らしい仕事でも見つけられたらいいな。




「はい、清永堂(きよなが) 堂桜子(とおこ)さんですね。今23歳? 就活とかしないの?」

「…… 私、資格も英検五級くらいしか持ってませんし、就職面接の時のアピールとかも苦手なので……」

「そっかぁ…… 」


相談員のおじさんは、渋い顔をしてまた書類とにらめっこした。私、会社で働いても邪魔者扱いされるかもしれないからね。友達から聞いた。


「…… まずはアルバイトからしてみない? そうだ、ほらこれこれ」


おじさんが見せてきたのは、遊園地とかでよくやる、魔法少女ショーでその役を演じる、というアルバイトだった。


「…… 何言ってるんですか。これ23歳にやらせる事なんですか?」

「じゃあ逆に、17歳がやると思う? 思春期な子がやるわけないでしょ? だから成人済みな人がやるのが最適なんだ」


…… 確かに、言えなくもない。でも、流石に抵抗ない? 魔法少女は一度なってみたいと思ったけど、こんな形でやるのは……。


でも、これはこれでチャンスかも。私の演技がよかったら、劇団とかにお声がかかるかもしれないし。


「…… 私、そのバイト引き受けます」

「本当!? いやぁー、このバイト、リストからさっさと外したかったんだよねー。キミのおかげで、リストから外れるよ! ありがとうね!」


…… えっ? もしかして私、ハメられた?




バイトの面接に行くのに、3駅も移動しなきゃ行けないのか……。せめて1駅がよかったわ……。


そして、商店街の裏道にポツンとあるドアの前に、私は立っていた。ドアの向こうは、薄暗くて、本当にやっているのか疑いたくなる程だった。


まあ、ここまで来て引き返す訳にも行かないし、ノックして1分しても出てこなかったら帰るとしよう。うん。


私は2回、ドアに向かってノックした。すると、


「入ってまーす」


という男性の声が聞こえた。…… いや、入ってるんだったら出てきてよ。…… そうか、2回ノックしたから、トイレと勘違いしたのか。じゃあ私が悪いわ。


そして再び、3回ドアに向かってノックし……。


「よーこそー! 君が今度うちで働い…… 堂桜子?」


──私の名前を知っている? 彼の顔を見てみると、私も見た事のある顔だった。確か…… 高校生の時同じで クラスだった……。


「…… 湊斗? あんた、来栖(くるす) 湊斗(みなと)だよね?」

「お、おう。高校卒業して以来会ってなかったな…… んじゃ、とにかく中に……」


湊斗は私をドアの向こう側へ連れてってくれた。…… 湊斗はこんな所で何してんの?


「んじゃ、椅子に座って面接を…… なんて、面接どころじゃないよね…… バイト探してたの?」

「うん。親にハローワーク行ってこいって言われて、そこでこのバイトをおすすめされたんだけど、行くって決めた後、なんかリストから外れるなんておじさんが言ってたんだけど…… どういう訳なの?」

「…… 実は、魔法少女のショーは嘘だ」


…… あー。ハメられたな私。おじさんの口車に乗せられてまんまと引っかかった私は本当にバカ。


「まあ、半分本当で、半分嘘みたいな感じだね」

「…… どういう事?」

「堂桜子には、実際に魔法少女になって、悪い敵をやっつけて貰うからね」

「…… は?」


何言ってるのこいつ。魔法少女勧誘して収入得てるの?


「…… 信じるわけないよね。じゃあちょっと見てよこれ」


湊斗は私に向けて、魔法のステッキを見せてきたいや待ってこれ市販とかでよく見るおもちゃじゃん。これでやれと?


「まあ流石にこれだけじゃあ機能はしない。この手袋とコンタクトを装着すれば、すぐ魔法少女になれるよ!」

「…… 手袋とコンタクトで魔法少女になれるの? てか私もう少女って言える年齢じゃないんだけど?」

「でもやりたいんでしょ? やりたくてここに来たんでしょ?」

「そ、そんな訳! …… あるかも」


いつだかテレビで、魔法少女のアニメがやっていて、私もいつかなってみたいなーなんては思った事がある。だって魔法が使えたら、色々と出来ない事だって出来るようになるんだよ? なれるのならなってみたいけど……。


「魔法とは言っても、疑似体験みたいなものだよ。とりあえず装着して試してみない? ほら、手袋付けて……」

「ち、ちょっと! 何勝手に付けてるの!?」

「素直になりなってば。昔から堂桜子はそうなんだからさ、こうしないとやってくれないでしょ? 香織だって困ってたじゃん?」

「…… 香織を出して来るのは反則だよ…… まあ、ちょっとだけなら良いけど? 」


私はもうヤケになって、手袋を付けてコンタクトも付け痛たたた! コンタクト初めてだったんだ……。後はステッキを持って……。


「これでいいわけ?」

「うん。試しに、ここにある空き缶に向かっ、て好きな物を言いながらステッキを降ってみて」

「好きな物……? えーと…… オムライス!」


するとステッキから霊魂らしきものが出てきて、空き缶を粉々にしてしまった。


「ほ、本当に魔法が使えたの? すっごーーい!! なんでこうなってるの!?」

「…… 秘密です。まあ、魔法少女になる気になった?」

「なるなるなるなる!! こんなの使えたらもう苦労しないじゃん!!」

「予想以上の反応で何より。何も出来ない堂桜子にやりたい事見つかってよかったね」

「うっさい! 何も出来なくないもん!」


まあでもいいや! こんな魔法が使えるんだったら、部屋を掃除したり料理作れたりも出来るんじゃない!?


「…… 勘違いしてない? 堂桜子が使える魔法は戦闘用魔法だよ?」

「え…… そんなので何がいいって訳? てかお金はどこから入ってくるの? バイトなんでしょ?」

「報酬形式だ。そのコンタクトを付けてれば、倒した敵に応じて、団体から報酬が出るようになってる」

「…… 団体? まあ難しい話はまた今度でいいや。とにかく、敵をぶっ倒さないとね!」

「じゃあ早速、敵を倒しに行ってもらおうか」


湊斗はパソコンを見ながらそう言った。もしかしたら、もう依頼が来てるのかな?


「場所は…… 卯月高校前でウロウロしてるらしい。隙を狙って倒せ……だって。じゃあ車出すからさっさと倒そうか」

「う、うん……」


えー…… 車移動とか色々とダサくない? なんか飛べる道具とかないの? いや、それはそれで恥ずかしいかも……。



車で移動して約10分後、困難もなく、無事卯月高校に着くことが出来た。しかし、怪しい影は見当たらない。


「…… おっかしいなー。何処に敵なんて居るっていうんだよー?」

「とりあえず、また来るかもしれないから、気長に待ったみたらいいんじゃない?」

「それもそうだね」

「…… ねぇ、湊斗はなんでこんな仕事やってるの?」

「こんなって言うなよ……。俺もこの仕事に就いたのは、ほんの2ヶ月前なんだ。堂桜子と同じように、ハローワークに行ってこの仕事を勧められたんだ。んで、この建物に来た時に偉そうな人から、君は魔法少女を育む為の人材に任命する、って言われて、誰かがここに来てくれるのを待ってたんだ。…… まさか来てくれたのが同級生なんて、驚いたよ」

「アハハ…… まあ何かしらの縁なのかもね」


…… でも、誰かが来るのを待っていたって事は、私が一番初めにここに来たって事だよね? この2ヶ月間、私みたいな人は現れなかったのかな…… 現れるわけないか。魔法少女ショーって所で既に怪しいし。


「…… 堂桜子はさ、魔法少女になれるって行って直ぐに受け入れてくれたけど、どうしてなの?」

「──別に、魔法少女に限らず、ヒーローだって超能力者だって、居てもおかしくないと思うんだよね。ガラケーがスマホに変わっていく時代なんだから、そういう人が出て来てもおかしくない時代なんじゃない?」

「…… そっか。そういう思考だけはずば抜けてるよね」

「褒めてんのそれ? …… ねぇ、アレ見て?」


私が見たのは、帽子を被っていて、作業着を着た男性だった。ここの辺りで工事をやっている形跡はないし、何か怪しい……。


「とにかく、車降りて追いかけよう!」

「うんっ!」


私らは即座に車から降りて、男性を追いかけた。


「見つけたぞ! メカニズミカル!」

「め、メカニズミカル? なんのことかな青年よ?」

「とぼけるな! もうこっちには魔法少女がいるんだぞ!」


ちょっと湊斗! 大声で魔法少女とか言わないで! 近所迷惑だから!


「…… 魔法少女? …… プッ…… 」


男は突然顔を隠し、笑いを堪えながら震えていた。


「ば、馬鹿にしたなぁ!! 変身してやるんだから…… 湊斗、変身ってどうやるの?」

「そんなのないよ? 私服で戦って?」

「…… プップップッ……」


また男は、笑いを堪えながら震えていた。…… また恥かいたぁ!! 魔法少女って変身するのが醍醐味なんじゃん!! この世界おかしいよ!!


「と、とりあえず…… 存在を知っている奴はさっさと始末しないといけないけど…… なんか面白いから始末するの勿体ないプププ…… ああ死ぬ……」

「始末するのなら私と戦ってからにしてよ! てかツボにハマるな! てか湊斗! あんたも何か出来ないの!?」

「俺は指示担当だ。本当に非常事態じゃなきゃ助ける事は出来ない」


ひどい! 何その某豚侍みたいなの!


「ま、まあ始末はルールだから、さっさと消えようか?」


すると男は、物騒な拳銃を私に向けて来た。…… いやいやいや、銃刀法違反じゃん? こんな町に銃持っている大人いたらダメじゃん?


「堂桜子、気にしちゃダメだ。この世界のルールだ」

「なんでよダメでしょ! 警察とかに連絡しなきゃじゃん!」

「その魔法のステッキ持って通報するの? どっちが怪しい人だと思われると思う?」

「あんたどっちの味方なの!?」

「ごちゃごちゃうるさい! うぉりゃ!」


男は容赦なく、私に向かって弾を打ってきた。あぁ…… こんな情けない姿で死ぬのか…… あれ?


「ば、バリアだと!?」

「ハート・プリティ・バリアだ。コンタクトが危険を感知して、バリアを生み出したんだ」

「…… やっぱり魔法少女っぽい所あるじゃん! 今度はこっちの番! シャイニング・ウェーブ・モーショォォォン!!!」


ステッキを敵に向け、なんか適当に思いついた名前を叫ぶと、ステッキから光り輝く波動が生まれ、そのまま男にドーーン!! とぶつかった。


「…… やったな!」

「はぁ…… はぁ…… 私、本当になれたんだ…… 」


未だに実感が湧かない…… 私の手で敵を倒した…… のかな? そんな自分を疑ってしまう程だ。


「…… それで、この人はどうするの?」

「浄化魔法を使って、敵が最後に睡眠を取った場所へ連れていかせるんだ。ほら、ダーク・プリフィケーションって言って」

「わ、わかった! …… ダーク・プリフィケーション!!」


天にステッキを捧げると、空から光が降り注いで、男にかかった。すると男はだんだん薄くなっていき、ついには完全に姿が消えた。男は消える瞬間、体が震えてい…… また笑ってるなあいつ!! 最後の最後まで笑うなああ!!!


「…… あのー、今授業中ですので、静かにしてもらってもいいでしょうか?」


あまりにもうるさかったのか、誰かが注意しに来たようだ。名前プレートを見ると、教頭と書かれた字が…… 教頭!?


「すすすすすすみませんでしたぁ!!! 堂桜子! さっさと車に乗って逃げるぞ!」

「え、ちょっと湊斗! 手を引っ張らないで! …… あっ! すみませんでしたー!」


湊斗に引っ張られながら車に乗った私は、まだ状況を完全に把握する事が出来なかった。教頭は、苦笑いしながら顔をかいていた。本当にすみませんでした。


何とか逃げきれた(?)私達は、建物で今回の振り返りをしていた。


「と、とりあえず初仕事お疲れ様。金額チェックするから少し時間ちょうだい?」

「う、うん……」


魔法のステッキ…… というよりはただの玩具。それがどうして本当に魔法が出るようになるんだろう?


「ステッキマジマジとみてどうしたの? …… ああ、なんで魔法が出るようになるかって? それはね、この手袋に秘密かあるんだ」

「手袋…… に?」

「その手袋はイマジングローブ、通称イマグロって言うらしいんだ。何でも、玩具を本物の武器にする事が出来るらしいんだ」

「という事は…… 刀の玩具だったら、本当に切りつける事が出来るの?」

「さあね。僕も実際使ってるのを見るのは堂桜子が初めてだから…… お、金額出てきた。値段は…… 2000円!」

「に、2000円? ちょっと安くない?」

「理由は、敵は最弱レベルだから、そんなものだ、らしい」


えー…… まあ、お金入っただけでもいいか。これからどんどん増えていくだろうし。


「…… 香織、今何処にいて、何してんだろうな」

「そうだね…… 私達が再会出来たように、いつか会えるよ」

「…… そうだな」



仕事の帰り道、LINEで親にケチャップを買ってきてとお願いされたので、仕方なく卯月商店街のスーパーでお買い物することにした。地元の立間市は結構充実した店が多いけど、ここはあまりないなぁ…… 不便そう。


でも、私はこういう感じ、嫌いじゃない。のどかでいいと思うんだ。


さて、さっさと買って帰ってネットサーフィンでもしようかな……。そう考えてたらいきなり、私の肩から圧を感じた。どうやら当たってしまったらしい。


「ご、ごめんなさい!」

「あ、悪い。怪我は…… お、お前……!」


え、私の事を知ってる? このたくましく、男らしい口調で話す女性…… あ!


「か、香織!? 香織だよね!? 」

「ああ、そうだ! お前こんな所で何してるんだ!?」

「か、買い物だよ買い物。香織だってどうしたのさ!?」

「わ、私か? 買い出しだ、買い出し。近くのアパートを経営してるから、色々と溜め込みをな……」


か、香織アパート経営してるの!? やっぱり、親が凄いからお金もあるのかな?


「…… 少し時間あるんだったら、家に来ないか? 夕飯食べさせるからさ」

「あるよあるある! 私もどんな所に住んでるのか知りたいし!」

「んじゃあ、今日はいつもより沢山買わないとな」


香織の家かぁ……。こうやって、元同級生の人の家に行くのって、楽しいなぁ……。


「ほら、そこが私のアパートだ」

「き、綺麗……」


新築のアパートなのだろうか。新品ですという感じが凄く出ている。


「ほら、入ってくれ」

「お、お邪魔します。うわぁ…… !ヌンチャクまだやってたんだ!」

「ま、まあな……」


そう言えば、香織がヌンチャクをやってると知ったのは高校に入学してすぐだったっけ。香織の鞄に入ってるのが見えて、私がそれを取ったら慌てて取り返されたんだよね。


「大家さん。ただいま帰りました」

「お、三月お帰り…… どうした堂桜子?」


い、いや、そりゃ驚くでしょ…… 中学生の女の子が香織と仲良くしてるなんて…… てかこの娘、買い物袋を手に持ってるし…… まさか香織の奴隷!?


「あー…… 三月の事か。彼女は色々あってな、ウチのアパートで住ませてあげてんだ」

「は、初めまして、私は一応三月という名前で生活している者です。家事の手伝いをするという条件で、タダで住ませてもらっています。貴方はもしかして、大家さんのお友達……?」


…… この娘、どんな事情があって香織と住んでいるんだろう? まあ、奴隷という訳ではないのはわかったよ。


「あ、あのっ! 大家さんの高校生の頃の話とかありますか!?」

「山ほどあるよ。まず何処から話そうか?」

「おい。勝手に進めるな」

「じゃあ、出会いから話そうか!」

「話聞いてんのかよ!」


香織はなんか言ってるけど、お構い無しに私と三月ちゃんは話を始めた。何か面白い話は出てくるかな?









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