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坂本龍馬人物論

作者: スー・ミン

司馬遼太郎が坂本龍馬を描くまで、坂本龍馬という人物は知られざる歴史の人物というか、ほぼ無名の人だった


今では、色々な人が坂本龍馬を語り、学んでいる

坂本龍馬は維新志士の代表的な人物として知られているが、坂本龍馬とはどのような人物であったのだろうか



倒幕に活躍し、明治政府の基盤を築き上げた薩長と、土佐

日本の端に位置し、中央政府の江戸から遠いそれらの藩が歴史の表舞台の主役になれたのは、維新三傑を始めとする維新志士たち、そして坂本龍馬の活躍によるところが大きい


田舎の土佐で育った坂本龍馬は、かなり奔放で無骨な人物だったように思う

剣術も優れてはいるが、反則技に近い実践的な剣術を身につけていただけで、学問も自分の興味のあること以外はからっきしだった


小説で描かれるよりも、口下手で風貌も冴えない、経歴も良くないし素行も悪い

財産もなければ特別な人脈もなかった

どちらかというと身体もそれほど強くはなかったのだろう

精神的にも脆く、突っ走る傾向もあり、無茶ばかりする

周囲はそんな彼を心配して、悩みの種としていた


では、そんな彼が何故、維新の動乱の中心人物になっていったのか


坂本龍馬は、持たざる者だった

地位も財産もなく、身体も弱かった彼は、床に伏して物思いに耽ることが多かった

自分が持たざる者とわかっていた彼は、自分の欠点や長所など、自分を見つめ直すことを怠らなかった

また、自分が長生きできるとも思っていなかっただろう

現代では簡単な風邪が、幕末の時代では深刻な重病だったのだ

元来の身体の弱さを思えば、自分が短命の運命であることを自覚していた

何にこの命を使うべきか

彼は志を養い続け、常に使命感を強くしていた


また、坂本龍馬は決して人を軽んじなかった

人生で最も大事なのは、人の信頼や恩であると常々考えていたのだろう

感受性が人よりも強く、優しい性格で涙もろかった坂本龍馬

そんな彼だからこそ、なにを差し置いても、友情、恩義、信頼を優先して行動し、生きたのだ


彼は自分が信じることに関しての行動力が群を抜いていたし、人と違う環境で生きた彼には、物事の見方や視点も他と違っていた

学識が広いわけでもないのに、物事や人物の本質を見抜く目が格段に優れていたのだ

鷹が千里先まで見通すように、彼の眼力は当時の日本全土を見通し、西洋というよりは、世界的な視点で日本を客観的に見通していた


そしてなにより、根が真面目で素直でもあった

人が彼を思う言葉は、耳に痛くてもしっかり受け止めて咀嚼したし、何事にも真剣に向き合っていた

そんな彼を師である勝海舟は愛したし、多くの友人が彼を慕い愛した


坂本龍馬は知識よりも知恵、弁論よりも行動、貴賎よりも信義、苦労と努力の人だったのだ


誠実かつ信念と覚悟の行動の人は強い

歴史を動かす熱い魂は、そうした人間にいつも宿る

坂本龍馬と出会った人の多くが、彼の中に大きな夢を見ただろう

それだけに、彼の暗殺劇には落胆するばかりだったに違いない

若くして世を去った坂本龍馬の人生に、学ぶことは多い


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