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異世界人、戦闘凶と出会う

ようやくヒロイン!―――もとい、主人公の片割れ登場!

 ―――と、思っていた時期も私には有りました・・・


「手筈通り連れてきましたよ」

「おうおう、ご苦労さん。後は任せて先に帰ってな」

「へっへっへっお嬢ちゃん、こんな夜中にこんな場所にいるなんて危ないぜ?」

「そうそう、こんな所に居たら、こわ〜いオジサンに食べられちゃうぞ?」

「ヒャッハ〜! 今回のはなかなかの上物だな!」

「おいおい、はしゃぐのは良いが逃げられないようにしろよ?」

「大丈夫ですよ。入口は塞いでこの人数で囲ってますし」

「そうそう、簡単には逃げられませんよ!」


そう、路地裏で怪しい人たちに絡まれているのであった。



私の名前は朝日香奈、私立の高校に通っている、どこにでも居るような女子高生だ。


―――いや、だった。


何でこうなったんだろう、昨日までは高校に通う普通の高校生だったのに・・・

でも、今私は人生最大のピンチを迎えている


・・・っていうか私、異世界来てからまともな目に合ってないよ!


異世界召喚されたら戦闘能力無いからって追い出されるし! 一応おわびとしてお金貰ったら掏られるし!

掏られて一文無しになったところに、後払いでいいから宿泊めてくれるって、優しく誘われたら怖いおじさんたちが待っているし!

これ、1日のことだよ? てか、5,6時間内のことだよ!? 何で私がこんな目に合わなきゃいけないの?

何で、私が・・・


「おい、大人しく付いてこい・・・暴れるようなら、痛い目を見ることになるぞ?」


私が現実逃避していたら1人の男が近づいてきた!


「い、いや、こないで!」


反射的に、男と逆の方に逃げたため、奥に逃げる形になってしまった。

結果、表に出ずに、逆に奥に―――裏の方へ、彼らのテリトリーへと踏み込んでしまった。


「おい、逃がすな! 絶対に捕まえろ! 捕まえた奴には、最初にやる権利をくれてやる!」


何を、とは言わなかったが、それで通じたのだろう。

男たちは皆、目に加虐的なものを浮かべ、香奈を追いかけて来た。


「はぁはぁ、逃げなくちゃ、どこに、何処に逃げれば・・・」


逃げるにしても入口の方は彼らに抑えられている、必然的に奥に進んでしまう香奈。


そうしているうちに―――突き当りに当たってしまう。


「はぁはぁ、えぁ? ・・・いき・・ど・・・ま・り?」


ぼろい布団が敷いてあるが、人が生活しているのだろうか?それにしては汚れ過ぎだが、人が活動してる痕跡がある。

これ以上進めなくなってしまい、動揺して動けなくなって、取り留めの無いことを考えてしまう香奈に・・・


―――無常にも、追手が迫る。


「はあはあ、やっと止まりやがったか! ふひひ! これで初物は俺のもんだ!」

「ヒッ!」


―――ドスッ―――


今まで逃げるので必死で、後ろを振り向いていなかった香奈は、初めて、男の目に加虐性欲が有ることに気づき尻餅をついてしまう。

自分がこれからどういうことになるのか、そのことが現実味を帯びてきて・・・


 ―――じょわぁあああ


思わず失禁してしまった。


「!!」

「うっわ〜、漏らしやがったよこいつ!」


お漏らししてしまったことを恥じる香奈を、楽しそうに見ながら笑う男。


「しょんべん臭いのはやだけど、早く終わらせなきゃリーダーに怒られちまうからな」


そう言いながら香奈に手を伸ばし、押し倒してしまう。


「へ、へ、へ、おあつらえ向きに布団まで敷いて有るじゃねえか! じゃあ、早速!」

「ぃ、いゃ!・・・やぁ・・やめ・・て!」

「へへ、逃げてくれて助かったぜ! おかげで初物を奪えるんだからなぁ〜!」

「だれか、たすけ・・・」


ついに香奈の身が穢されようとしたとき―――


「・・・はぁ、人の寝床で盛ってないで―――余所でヤッて欲しい」


―――ドスッ―――


―――男のシンボルとも言うべきものが、この場から1つ(2つ?)、お亡くなりになられた。


「―――」


―――バタッ―――


「ぇ?・・・ぁ・・・ぇ?」


いまいち状況がつかめない香奈は、ちゃんとした言葉が出なかった。


「はぁ・・・しかも、漏らしたの? 洗濯・・・めんどくさい」

「ぇ?・・・ええと・・?」


またもちゃんとした言葉にはならなかったが、ある程度状況判断が付いた。

目の前に背丈が160㎝くらいの黒髪の少年が気怠そうに立っていた。

ここは彼の寝所なんだろう。で、その布団の上におもらs・・・それは、まぁ、置いといて・・・

要するに、彼に助けられたんだよね?


(―――余所でやってと言われたような気がするけど・・・)


まあ、助けてくれたんだし、感謝の言葉くらい言わないと


「えっと、ありがとう・・・」

「・・・どういたしまして?」

「・・・」

「・・・」


えっと、ここからどうしよ?話が進まない・・・


(ていうかここは、『大丈夫? 怖かったよね?』って言って、

 頭を撫でるか、抱きしめるところでしょ?)


「・・・そこの男持って、どっか行ってくれない?」

「え!? いや、そこの人に襲われそうだったんだけど!?」

「・・・? えっと、それが何か?」

「・・・!?」


何、この子・・・目の前で女の子が男に強姦されそうになっていたのに、顔色すら変えないの!?

・・・あ、いや、顔色は変えてたね・・・布団が汚れたという理由だけど。


「・・・ここじゃ、襲う襲われるはいつものことだよ? 力あるものが奪い、力なきものは奪われる。

 ・・・ただ、それだけのこと」

「なら、あなたも奪ったりしてるの?」


何で、こんなこと聞いてるんだろう? 悪い人には見えないから?

少なくとも、直ぐ襲って来ない分、さっきの人よりはましだけど・・・

だが、帰ってきた言葉はもっとマシなものだった。


「・・・いや、奪うことなんかしないけど? ちゃんと働いて稼いでるし」

「え? じゃあなんで、こんな所に住んでるの?」

「・・・宿屋を追い出されたから」

「・・・え? 何で?」

「・・・『周りも迷惑してるから、もう来ないでくれ』って言われて追い出された」

「・・・何をしたらそうなるの?」

「・・・さあ? 普通に暮らしてただけだよ?」


何なの、この子? この周りの汚さ見たら理由の一端は分かる気もするけど―――

でも、どうやったらそこまで言われるのかな? 追い出されるほど放置しないよ、普通?

それに掃除をコマめにしてもらえばいいだけだと思うし・・・


だけど、よりにもよって、なんでこんなとこに住んでるの?


(まあ、そのおかげで助かったんだけど)


ツッコミどころ多すぎて何を先に言えばいいかな・・・


「とりあえず、掃除をコマめにしたらいいんじゃないのかな?」

「・・・面倒だよ」

「それなら宿の人に頼めばいいのに」

「・・・」

「・・・ていうかさ、周りにそういうこと手伝ったり言ってくれる人居ないわけ?

 それ以前に、掃除くらい自分でしようよ!」

「・・・居たら、こんなとこに住んでない―――それと、掃除面倒」


いや、そんなキリッとした顔しなくていいから。

まあ、少し元気も回復してきたし、ここから離れようかな?

まだそこに転がってる男の仲間が居るだろうし・・・っと、そうだ


「ねぇ、その布団綺麗にしてあげよっか?」


ちょっと生活魔法を試してみることにする。


「え、今? ・・・というか、汚したの君だよね?」

「まあ、そうなんだけどさ・・・ちょっと貸して、清浄(クリーン)


そう私が唱えると、布団が見る見る綺麗になっていく。ふふふ、驚いたか!


「・・・驚いた、それ、魔法? さっきの奴も、魔法で撃退すれば良かったのに」

「あー、いや、それは無理なんだけどねえ・・・とりあえずさぁ、宿屋に移動しない?

 話はそれからで!」

「・・・? 何で宿屋行くの?」

「こんなとこで生活しているのはよくないよ?やむおえない事情があるなら別だけど。

 私、家事得意だからしばらく面倒見てあげるよ! それならここで生活する必要も無くなるでしょ?」

「・・・何でそうなったのかは分からないけど、そうだね。

 ベットで寝た方が気持ち良いし別にいいけど、宿屋出禁くらってるよ、オレ?」

「あ~まあ、探せば泊めてくれる宿も在るでしょ・・・あ~、でね、その〜」

「・・・ん? なに?」

「今手元にお金が無くてね? えっと、少し貸して欲しいんだけど・・・」

「・・・もしかして、掏られたの?」

「え!? 何でわかるの!?」

「・・・何で分からないと思うの?それの方がもっと不思議だよ?そもそも―――」


―――っと、話をしていたらそこへ乱入者がやって来た


「おい!居たぞ!」

「おいおい!1人やられてんじゃねえか!」

「おい、ジャンがやられてるぞ!」

「ああ!ジャンがやられた!」

「落ち着け!ジン!」

「くそう!ジャンの敵!」


―――あの、多分まだ死んでないですよ?


「・・・まさか、此処に逃げ込むとはな」

「おいおい、あいつ、カミナじゃねぇか?」

「は?あのカミナ?」

「・・・始めて見た」

「あれが、ベルセルクか・・・」


・・・は?カミナ?ベルセルク?誰が?


「・・・いやぁ///」


え?こいつが?ってか、何で照れてんの?照れる要素無くない?


「いやいやいや!こいつがベルセルク(狂戦士)って、無いでしょ!

 寧ろベルフェゴール(怠惰・堕落)でしょ!」

「・・・何言ってんだこの女?」

「さぁ?」

「頭おかしいんじゃないですか?」

「あぁ、気狂いか・・・」


ああ!通じない!!ここにきて、世界の差を初めて実感した!翻訳魔法、仕事して!


「まぁ、いい。で、カミナ、そこの女と知り合いか?」

「・・・んー、別に知り合いってわけでもないけど。それが何か?」


それを聞くと、おそらくリーダー格であろう男は、


「ちょいとそこの女に用が有ってな、渡してくれねぇか? 俺はアンタと戦いたくはねぇが、これも仕事なんでね。・・・渡してくれねぇとあっちゃ、力ずくで奪わなきゃならねぇ」

「・・・」


―――まずい、このままじゃまずい(主に私の貞操が)。この、カミナ(?)が庇おうが、引き渡そうが、

確実にこの男たちにどこかに連れて行かれるだろう。・・・なら、この子に迷惑をかけそうだし―――


「―――ねぇ、別に、私を庇う必要ないよ?騙されて付いて行っちゃったのは私だし、例え抵抗したとしても、この人数差じゃ、勝てないだろうし・・・」


―――ッピク―――


「勝てない」の辺りで、カミナの体が少し跳ねた―――気がした。


「・・・ねえ、勝てないって、今言った?」

「ええ、この人数差じゃどれだけ強くても―――」

「俺が、勝てない? この人数差で? バカ言うなよ・・・

 ―――分かった、こいつは渡さねねぇ!俺がこいつらに負けると言ったんだ!

 その言葉を後悔させるまでは、絶対に渡さねえぞ!」


何か、変なスイッチ入っちゃった・・・さっきまで眠そうだったのに、

今ではなんか目がぎらついてる。雰囲気変わり過ぎじゃないかな?


「・・・はぁ、理由がちとあれだが、交渉決裂ってやつだな。

 おい野郎ども! 戦闘準備だ! こいつはそこらに転がっているような雑魚じゃねえ!

 絶対に油断すんじゃねえぞ! 全員、気合入れてけ!」

「えっと、あれ?」


・・・あれ、おかしいな?思っていたのと違う。

しかも、何かカミナ、君?の雰囲気がさっきと別人なんだけど?


「―――こいよ、格の違いを教えてやる」


―――どうしてこうなった・・・






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