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Dominator  作者: 秋刀魚3号
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file:3

私用で更新が遅くなった上に微妙な出来。

申し訳ありませんが、何卒宜しくお願いします。

イアンは、潜水艦の僅かな揺れで目を覚ました。

現在、水深は350m。攻撃目標までは約5km程の場所に位置していた。出撃地点にいる事を備え付けのスクリーンで確かめると、イアンは未だ寝ているパートナー達に起床を促す。

「ルイス、着いたよ。カエデも」

そう言うと、それぞれ軍人とは思えない返答をしてくる、茶髪と金髪の美少女。

「もうちょっと寝かせて下さいよぉ…」

「うるさいわねー…アンタだけよ、そんなにヤル気に満ち溢れてるのは。一人で行ってよ、あたし寝る」

イアンは、バレないようにため息をつく。

(…いっつもこうなんだよなぁ…いくら能力があるって言っても、任務をしっかりやってくれないならどうしようもないよ)

「聞こえてるぞーイアン」

「聞こえてますよ〜イアンさん」

「また不当に脳波回線を使用したでしょ、カエデ。電子戦担当って言っても限度があるからね?」

「作戦は行って帰ってくるまでが作戦でーす。よって作戦行動中は成功に繋がる事であれば何でもしていいってアリスに習いましたー」

「こんなことが成功に繋がること?いい加減にしてよ…ていうか、なんでルイスまで僕の思考読めるの?」

「カエデさんに情報を送り込まれました〜」

「カエデ!」

「うるさいうるさいうーるーさーいー。良いからとっとと細工してこいこんちくしょー。そうしないとあたし動いても仕方ないじゃん」

「僕の扱いが毎度毎度酷いんだから…。分かった、分かったから。銃を向けないでよ銃を。じゃあ、いつでも動けるように準備だけしておいてよ」

言うと、ルイスは「了解しました〜」と素直に従ってくれる。天使だった。しかしカエデは、本来10代の女の子がする事はないであろう般若のような顔で「チッ」と舌打ちをすると、イアンを押し退けてドアから通路に出て行った。悪魔だった。

それを見て、イアンは自分の銀髪を弄くりながら再びため息をつく。

「どうしました〜?」とすぐに心配してくれるルイス。天使の囁き声だ。

「ルイスはああやってすぐ怒ったり、人のことを貶すようになっちゃダメだよ」

言いながら、ルイスの金髪を撫でる。目を細めて照れたように笑う天使を目の前にしたイアンは、1%でもいいから、この可愛さがカエデにもあればなぁと思わずにはいられない。

「さてと、僕も準備しよっか」

兵員室から出ると、イアンは右へ、ルイスは左へ別れる。少し歩くと、イアンは『第五装備室』と書かれた部屋に着いた。指をパネルに押し付けIDをスキャンし、中に入ると自動でロックがかかる。だだっ広い部屋の中には、クレイドルと呼ばれる人型のベッドのような物が置いてあった。

横たわり、手元のスイッチで信号を送る。機械の揺り籠が、赤と黒のバイザーを、ゆっくりとイアンに被せる。


その瞬間、銀髪の少年は、漆黒の怪人となった。


白い肌、優しそうな眼差し、ふわりとした銀の髪、その細身な身体でさえ、ルービックキューブで色が変わるように、全て黒く光る金属へと変貌していく。

その怪人は、自分の身体を確かめるように手足を軽く動かしたり、手を握ったり開いたりする。

そうしていくつかの動き…銃を構える動きなども…を行った後、

「うん、大丈夫」

イアンのソプラノの声が響いた。それと呼応して、怪人ののっぺりとした顔に「ALL RIGHT」と表示される。

『なーに独り言ブツブツ言ってんの?キモいんだけど』

「…そんな言い方しないでよ、カエデ」

備え付けのモニターにカエデの顔が映し出される。彼女も黄色い鎧のような物を纏っており、頭には埋め込み式の接続装置が目立つ。バックパックには巨大な円形のアンテナが二つ張り出しており、それが電子戦を行う為の物だということを物語っていた。どうやら彼女はまだ「途中」らしく、カシャカシャという静かな音を、マイクが敏感に拾っていた。

『うわ、初めてアンタのエイジス見たけど気持ち悪いわねー。酷い、これは酷いわ』

「…あの、ルイスは?」

ここで自分が怒っても埒が明かない。そう思ったのか、イアンは喉まで上ってきていた反論を押し殺し、カエデにそう尋ねる。

『終わりましたよ〜』

すぐに別のモニターが開き、ルイスの可愛らしい顔が浮かび上がる。だが、それとは対照的に、彼女の細い身体は巨大な赤いアーマーに隠れており、背中には彼女の本来の身体の三倍程の大きさがありそうな銃が、二丁。両腕にはシールドが一つずつ装着されている。

「じゃあ、行こうか」

イアンの視覚に、ディスプレイが直接映される。ミッションナンバー662、ミッション名『プレゼント』、只今午後9時20分より開始。

彼はそれを確認すると、口を開く。

「…兄さん」

呟くと、彼は文字通り『消えた』。

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