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サンマって美味しいですよね。自分もオイシイ小説を書きたいです。(意味不明)
「精神グラフ、身体状況、共に目立った異常は無し。被験体A-1、第1678回目の実験は無事終了」
手元のカルテに何かを書き込みながら白衣の男が告げると、桐嶋和也は眠りから目覚めた。
データで作成されたとは思えない程のリアルな空間だったと、和也は回想する。飛び散る血も、骨を折る感覚も、床に跳ねる薬莢の音も、銃声も、雲も、瓦礫も、埃の臭いですら現実と見紛うばかりだった。
頭部に接続していたケーブルが、一本一本丁寧に抜き取られる。外された後の頭部には、鈍い輝きを放つプラグがあるはずだ。
白衣の男が近づいて来る。男は彼の頭を覗き込む様な体勢になると、人工皮膚をぺたり、と貼る。毛髪が既に生えているそれは、セロハンか何かのように簡単に引っ付いた。
三重にもなっている強化ガラスのドアが開かれる。白衣の男が出ると、入れ替わりで幾人かのガードマンに守られて、一人の男が入ってきた。真っ白な部屋ではやたらと目を引く緑色の軍服。恰幅の良い男だ。赤らんだ顔に青い目。頭には白髪をたっぷりとたくわえ、胸には勲章を示す様々な略綬。そこから、和也は彼が叩き上げの軍人だということを知る。第三次世界大戦初期の激戦区で戦ってきたに違いない、と和也は思った。
そんな軍人に、所長のブレンダンはハグをしに近づく。
「良く来てくれた、アレックス」
「君が掛け合ってくれたから来れたんだよ、ブレンダン。早速だが、君が桐嶋和也少尉だね?」
所長にアレックスと呼ばれていた軍人が、こちらに向き直る。
「なんだ?」
「和也君、目上の人には敬語を使えと何度言ったら…」
副所長が、抑えた怒り声で和也に訴えかける。
和也はどこ吹く風だ。
「知らん。こいつがどれだけ偉いかなんて、俺には関係ない」
「…まあ、君にそんな気の利いた事は望まないよ。僕は注意したからね」
はあ、と副所長はため息をつく。ズレた眼鏡を戻し、モニターに向き直った。
当の中将は、「聞いていた通りだ。安心したよ、桐嶋少尉」と怒る素振りも見せない。軍人向きではなさそうだな、と和也は冷めた目で見つめた。
「すまないな、アレックス。冷静な顔して聞かん坊というか、ワガママというか…」
「まだ16だろう?その位元気な方が良いさ。…ああ、自己紹介がまだだったね。環太平洋同盟統合陸軍中将、アレックス=ワシントンだ。ブレンダンとは古い友達でね、無理を言って来させてもらった」
「そうか」
何が面白いのか、ワシントン中将が笑う。外見に違わず、聞いてて心地の良い笑い声だ。
「あー、ところで和也君、昼食はまだかね?君が良ければ、ランチを一緒に、と思ったんだが」
アレックスが和也に尋ねる。
「実験後2時間は物を食べてはいけないと言われている。それに、まだ実験はあるだろう」
断わった。
「それが終わったら、どうだね?」
だが、中将は諦めない。どうしてこれほどに食いついて来るのだろうか、と和也は少し鬱陶しく思ったが、彼の視界の端であるものが揺れた。
所長だ。口の動きで、「穏便に済ませろ」と言ってくる。仕方ないので、彼はそれに従った。
「昼にしては遅くなる」
「ディナーでも構わんよ。終わったらブレンダンを通して私の秘書まで連絡をくれ。迎えに来よう」
「中将が少尉にわざわざ誘いに来るとはね」
「色々聞きたい事もあるのさ。好きな食べ物は何だね?やはり肉か?」
「和食だ」
「ならば南部だ。刺身が美味しい所がある」
言うと、アレックスはガードマンを促す。「ではな」とブレンダンと一度握手をし、実験室には所長と副所長、それと和也が残った。
アドバイスをくれるとこの小説がオイシクなる…かも。