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〜光の向かう先〜

ーアンタたちのせいだよ。



ひんやり冷たいキーチの一言に場は凍りついた。

「ここじゃ、仕方ない。移動しよう。」

キーチの言葉にうなづく以外のことができる人はいなかかった。





ここは…?

リィミルの転送魔法でついたのは大きな塔。

「ここはリィの場所。こっちに来て。」



連れていかれたのは塔の地下の開けた空間。一面真っ白で中央に透明な宝玉が、4方には赤、黄、青、緑の宝玉があった。

「この部屋、魔力が…」

サーファスがつぶやく。

そう、魔力が歪んでる。あたしより魔力コントロールに長けたサーファスのことだ。きっともっとつよく歪みを感じているのだろう。

にしても…


「大丈夫か?」

「うん、ありがとう…」

本当はあんまり大丈夫じゃないけど。気持ち悪い…ここまで魔力が歪んでるなんて…

でも、シルベがいつもみたいに優しくなっててちょっと安心した。

まわりを見てみるとサーファスはもとよりイズもリィミルもキーチまでもが顔を歪めていた。


「もう、行こう。」

リィミルの言葉にみんな足早にその場をあとにする。


ーあれは、なんだったんだろう…



次に通されたところは普通にテーブルとイスのある部屋。

「あれは、なんなんですか?」

沈黙を破ってイズが切り出した。

それに対してキーチが話だそうとしたのをリィミルは止めた。


ーリィが言う。

その一言でリィミルの雰囲気は一気に変わった。






「あれは、今のこの世界の魔力の流れだよ。」


ー魔力の流れ…?あのあんなに歪んでるのが…

「どうして…」



「だから言ったじゃん、アンタたちのせいだって。」

あたしのつぶやきに答えたのはやっぱりキーチだった。


「違うよ、あたしがいけないの。それに、そもそもの始まりはタイミングが悪かった、ただそれだから。」




ーもともと、この世界の管理はティターニアと呼ばれてる光の種族の妖精と炎、水、土、風の代表者:フェアリスで行っていたの。ティターニアは基本的には1人しかいなくて300年に1度の代替わり制でその代替わりが今から16年前にあったんだけど…

「そのとき代替わりがうまくいかなくて、次のティターニアであるリィが生まれた途端それまでのフェアリスが記憶を失ったままそれぞれの領地に戻っちゃったの…」


ティターニアはここからでることはできないし、1人ですべての管理をできるほどの力もないし。

「で、俺が召喚されたわけ。」


あぁ、フィードバックが大きかったんだ…大きな魔法を使えば副作用も大きくなる。それに耐えれられなかったってことか。


「なら、そのフェアリスをもう1度集めれば…!」

「きっと、いろいろと元通りになるはずなんだけど…」

そうしてリィミルは視線をキーチに向けた。

「キーチだけは元に戻らない…塔にある過去の記録に同じような事例が1件だけあったけど…」

その先は聞かなくても表情でわかってしまった。






「本当は、キーチを戻してからのほうがいいんだろうな...」

リィミルとキーチと別れ、あてがわれた部屋。

沈黙にシルベの声が響く。



ーそう、だよね。キーチって存在は歪んでから来たもの。戻れる可能性は歪みを戻す前のほうが高い...


「でも、それに何年かかるかわからない。その間にも...」

国の荒れも魔物による被害も悪化するだろう。


「無力だな。」


サーファスの言葉は、とてもとても痛かった。




ドオン!!


「なにっ!?」

大きな爆発音とともに揺れが塔を襲った。



「うそっ!!どうしてっ」

外にはリィミルとキーチとたくさんの魔物が…


「なんだ、あれ!」

「どうしてこんなに!?」

とにかく行こう、あたしたちは外に飛び出した。



「結界!」

リィミルとキーチの前に結界をはる。

けど、魔物からの攻撃が大き過ぎて…

「くっ」

いつまでもつかな…


すると、後ろからシルベとサーファスが魔物に向かって走り出した。

2人の剣は次々と魔物たちに、ダメージを与えていく。けど…

「シールド!」

数が多過ぎていつまでもつかわからない。時々ある危なそうなところにイズのシールドがなかったら…



「これは、どういうことなの?」

呆然としているリィミルの隣でキーチが顔を歪めていた。

「魔物たちが暴走してる。」



ー暴走…

多分キーチは必死で制御しようとしてる、でも。

戦況はどんどん悪化してシルベ、サーファス、イズの顔には疲れが滲みはじめていた。一方、魔物たちの数は減っているようには見えなかった。


「どうしよう、あれしか…でもそしたら、」

「俺のことで悩んでるなら辞めろ。」

リィミルにキーチがキッパリと言った。

「俺は戻れなくてもかまわない。それよりこいつらが暴走してこの世界がなくなる方が今はいやだ。


ーそれに、リィミルがどうにかしてくれるんだろ?仲間を作って1人じゃないお前ならできる。」


その瞬間、涙目で頼りなさげだったリィミルの目に光と意志が宿った。


「光よ、闇を閉じ込め我に安らぎのときを!」


ぱっと一面が輝くと魔物たちは白く光る膜のなかにいた。


「みんな、さっきの宝玉の間に!早く!!」


そういったリィミルはすごく頼もしかった。

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