エピローグ〜風の始まり〜
ーここは?
目覚めたあたしの目に最初に入ったのはたくさんの木。そうだ、あたしはこの森のどこかにいる妖精世界の女王に会うために種族を代表してここに来たんだ!
この妖精世界は4つの種族にわかれ、それぞれ平和に暮らしていた。それぞれの領地でそれぞれの宝玉に守られて。でも、1年前に変化はおこった。宝玉の力が弱まったのだ。けど、それはあたしの種族にだけおこったわけではなかったらしい。どの種族も国は荒れついに国境では民たちが争いまでもがおこりはじめた。
そこで、領主たちは決めたのだ。各種族の代表にこの迷宮の森のどこかにいるといわれている女王に会い、力を借りられるように頼むことを…
この世界の4つの種族の頂点に立ち、各国と世界と均衡を守る女王に。
しかし、それには2つの憂いがあった。
まず、この迷宮の森には各種族が1名ずつしか入れないこと。そして、民たちがもめているため、国境を越えられないこと。いや、魔法を使えば行けないことはないのだか、迷宮の森まで転送しかつそのあと女王を探すとなればここで魔力やアイテムを使うのは得策ではない。
そこで、各国の神殿から転送されたあたしたちはそれぞれバラバラに着地してしまい、今1人で森のなかに倒れていた、というわけだ。
「それにしても、あたしが代表になるとは…」
あたしの種族は風を司るウィンディアの代表としてここにいる。ウィンディアはもともと援護系の魔法を得意とする種族でそのなかでも一応魔力が強いといわれるあたしが代表となったわけだけど…
「あたし、援護系の魔法以外は特にできることないんだよなぁ…」
そうつぶやく顔にはまだあどけなさの残る。しかし黄緑色の長いポニーテールと同色の瞳がどこか大人っぽさをかもしだす。大人と子供の狭間、その言葉がとても似合う。
この状況で魔物とかきたらどうしようかなぁ…
魔物は闇を根源する魔法を司る異形。黒い翅をもつ人形もいる、と聞いたこともあるがその真偽は定かではない。迷宮の森以外ーフェアリーエリアーにでることもあるがそれは本当に稀、だった。1年ほど前の宝玉の力が弱まる前までは…
今では魔物は倍以上の数が見られるようになったし心なしかその力も強くなっている気がする。
ーだから一刻も早くティターニアに会わなくちゃ
「その前に、まだ見ぬ種族の代表さんとやらを探しますか。」
こうして、あたしーウィンディアの妖精:レシェナの任務は始まったのでした。