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30分

作者: 虎子

注意!微量の下ネタが入っております。ぷぷっと笑っていただければ幸いです。




 「あ、リカ?今仕事終わったから。今から帰るよ」

 「お疲れ様、じゃぁご飯温めて待ってる、気をつけてね」


 そう彼氏から電話があったのがついさっき。時計は22時を回ってる。

彼の職場からここまで40分程かかる。電車がすぐ来るかどうかで最長1時間は見込んでもいいだろう。

今日は付き合って2年目の記念日だけど、記念日とか無頓着な彼はどうせ覚えていない。

 半年前から始めた同棲生活も、最初こそ楽しかったけど全く家事をしない彼に、少し苛立ちすら覚えるときがある。


 「でも浮気もしないし、優しいし、良い彼じゃない。結婚も考えてる仲なんでしょ?」

旧友の女友達にも私の悩みは聞き届けられそうにない。

「まぁ、優しいけど、私だって昼間働いてるんだよ」

「そういうのはね、調教あるのみなのよ。ちょ・う・きょ・う。」

 

 そんな会話をしてお茶をしたのが一昨日、ついでに彼へのプレゼント選びに付き合ってもらった。


私が悩みに悩んで買ったのは、スーツ姿が多い彼に、品のよい淡い緑のネクタイと名刺入れ。

 「あ、私も寄りたいお店あるのよー」

そういう彼女と行った先は路地裏にあるアダルトなSMグッズのお店だった。

 「ちょ、ちょっと、そういう趣味あったっけ?知らなかったんだけどっ」

「まぁ・・・今のパートナーがそういう趣味でね、リカもどう?」

「いや、私はそんな趣味ないからっ」

「楽しいって、2年目でしょ。マンネリ化対策は必要よー、これホントッ」


 明るい店内は、色とりどりの様々なアイテムがディスプレイしてあり、意外とエロっぽさやイヤラシイ感じはしなかった。

それでも初めて足を踏み入れた私は未知の領域。


「そ、それで何買うの?」

「避妊具と、あとぉ・・・あ。」

「?」

「これ!リカこれ買いなよ。セクシー下着!きっと彼も気に入るよー」

「えぇ!真っ赤だし、透けてるよ!やだよー」

「透けてるのが良いんじゃない、そんな高くないし、黒もあるよ?」

「・・・」


 「じゃぁ、私が買ったげる、2周年のお祝いね。その代わり、当日は彼の為に着てあげてネ」

「い、いや遠慮させて頂きます・・・」

「リカと私の仲じゃなーい!それに絶対コレは喜ぶって!男のロマンだって!私は嘘つかない!」

「・・・」

「今まで私が嘘ついたことある?」

「・・・ない」




 それが一昨日。

ごそごそと押入れの奥に隠しておいたプレゼントと例のセクシー下着黒色を取り出す。


 「・・・どうしよう・・・」

でも買ってもらった手前、一度は着ないと彼女は怒りそうだ。いや、ぶちキレる。

今、着けてみるだけ着けてみて、似合わなかったらやっぱりやめよう。

まだ時間あるし。


 いつもより時間を掛けて作った彼の大好きなハンバーグとミネストローネ。

時間を見ながら料理を温める傍ら、ひっそりこっそり身に着けてみる心もとない薄い下着。


 うーん、やっぱりエロチックー。

つか、全然隠れて無いし。

姿見の前でくるくる回ってチェックしながら、自分で自分の身体に正直ドン引き。

・・・やっぱり無理、脱ごう・・・・。


 『ガチャ』



え?


不意に開いた玄関の音、まだ彼が帰ってくるまで最低30分は掛かるはず。なのに、何故?


 「ただいまーリカ、先輩に車で送って貰っちゃってさー」

そう言いながら

トントンと軽快にキッチンのある部屋まで早足で一直線に足音がやってくる。

いつも早足の彼が、今は非常に恨めしい。


やめて、今来ないで、やめてーーーーーー!!




 『ガチャッ』  





「キャァァァァァ!!!!!!!!!!」





 後にも先にも、彼の目の前でこんなに叫んだのはジェットコースター以外は無いだろう。

私はセクシー下着着たことありません凹

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