第7話 : 人類超ヤバいやん!っと思ったらイケメン登場
「でもね、例えばお肉ばっかり食べてお酒ばっかり飲んでたら動脈硬化になって病気になるでしょ?それと一緒で、トンネルを作ってエネルギーの流れを乱したり、森を伐って地球全体の新陳代謝を妨げたら、この星は病気になっちゃうよね?」
それはそうやね・・・実際 温暖化っていうて、夏メッチャ暑なってるし。
「あなた達が病気になったら、あなた達の身体ってどうなるか知ってる?」ん?どういうことやろ?そういえば労働する細胞って映画で、白血球がばい菌と戦ってる話あったな。そういうことかな?
「アマテラスさん、それって免疫の話ですよね?」わたしがうーんと言っていると、田島が難しい言葉で返す。おっ!さすが国立大出身や。ウチみたいな三流私大とはわけちゃうな。
「あ、そうそう。だからね、この星の命・・・国之常立神はあなた達人間にこれ以上、自分のエネルギーを取られないようにしようって思って、地脈を枯らしたり、地震や巨大台風を起こして人間を掃除しようとしたりしているの。もちろん、あなた達自身が大地を荒らしたり二酸化炭素を出すだけでもおかしくなっちゃうけど、この星はそれを加速させてあなた達の数をもっと減らそうとするのね。それを正のフィードバック、って言うの。」
え?それって、この星がわたしらを殺そうとしてるってこと?おそるおそる聞いてみると、アマテラスさんは頷いた。
「で!でもでも!正のフィードバック自体は地球物理的な現象なんじゃないんですか!?そんな、地球があーしらを殺そうしているとか・・・」田島がちょっとパニくって反論すると、こんどはイザナギさんが首を横に振る。
「もちろん、おおかたはそうじゃ・・・しかしの、こんな未曽有の危機なのに、お前たちはどうして団結できないんじゃ?それに、温暖化みたいな分かり切ったことがなんで分からないんじゃ?それどころか、こんなに暑くて豪雨が降っても否定する連中がおるのぉ・・・おかしいと思わんか?」
わたしはハッとした。確かに陰謀論?っていうんか、変なことにとりつかれた人らが、県民局によく抗議の電話をしてくる。すっごい汚いしゃべり方で。わたしは、一回ブチ切れて思いっきりアホボケカスって言い返したったけど、そのあと課長にメッチャ怒られた。
「あ・・・あの、それって・・・」
「国之常立神は、直接地震を起こしたり、台風を作ったりはせん。そんなことは出来んし、しなくてもお前たち人間がいくらでも原因を作る。アレは飽くまで霊的なもの。じゃったら直に働きかけるのは、お前たちの魂じゃ・・・」
「そんな・・・それじゃ、この星が人間に間違ったことを考えるように仕向けているってこと?・・・」田島は怖くなったのか半べそになっているが、クシイナダさんは否定する。
「間違ーた考えを持った氏がおーと、わたしたち神はそれを直接感じてしまうの・・・それを穢れってーんだども、穢れが生じーとマガツカミがやって来て、怒りや憎悪を引き起こえて間違ぇちょーことを気づかしょうとすーんだけど・・・ナオビノカミってーのがおらんと、気づけんの・・・だけん正確に言うと、国之常立神はあんたたちを殺そうとしちょーわけだ無ぇの。間違いに気づえて欲しえだけなのよ。だけん、なしてか上手ういかんのよねぇ・・・」
クシイナダさんが考え込んでいると、玄関でリンリンと鈴の音がする。それを聞いた彼女は、あっ、忘れてたわ。といって玄関に行った。
しばらくすると、クシイナダさんと一緒に、凛々しいイケメンのおじさんと、ちょっと小太りだけど可愛い顔の男の人がやってきた。
「義母上様、ほったらかしはひどえ!ずっとお呼び出しを待っちょったのに!おや!こらまたなんだら伯母上、祖父上、ごきげんようでござえまし!」小太りの男性は、クシイナダさんに抗議しながらも、ニコニコしてながらアマテラスさんとイザナギさんに挨拶する。
「まぁまぁそう言わんでやっておくれ。久方ぶりの親子水入らずなのだから。おや?ご客人であったか。どうせなら女房の迎えだけでなく、姉上と父上とのんびり酒でも、と思ったのだが。」
「あ!長居してすみません!ウチらそろそろ失礼します!ほら田島!お暇するで!」わたしが田島を立たせようとすると、コイツはなぜかイケメンおじさんを見上げてボーっとしている。
「こら!なんぼ男前やから、っていうてどないしてん!」わたしが田島の腕を引っ張り上げようとすると、田島はひとこと、「おとうさん・・・」という。
「ちょ!失礼やろ!神様がオマエのお父ちゃんのわけあるかい!だいたいオマエのお父ちゃん東京におるやないか!?ウチも会うたことあるし!」
すると、イケメンのおじさんはわたしたちの方をみてニッと笑う。白い歯が爽やか~。
「娘御、吾は構わぬゆえ、ゆるりとしていきなさい。ナムジよ、構わぬな。」
「え?義父上、夕方から太子様と鶴橋で会食だわ?あのし(人)待たされーの嫌いやしなぁ・・・ガラも悪ぇし。」
そう言われるとイケメンおじさんはガクッとうなだれる。
「まあなぁ・・・人の話をよく聞くって、アレは嘘であろうよ・・・長い付き合いじゃが、だいたいいつも河内弁でまくしたてられて・・・この間など、串カツをソースに2回つけるな、とそれだけで1時間は説教されたぞ・・・」
だけど、クシイナダさんがパンと手を打つと、立ち上がってお膳やらお茶を片付ける。
「大丈夫やよ、あんた。太子様が気短なのはいつものことだし。関西神仏ライオンズクラブは、あんたと太子様が主催しちょーんだけん、遅れーとね・・・お義姉さん、大丈夫かいね?」
「そうね、掃除もだいたいしたし、後は何日か分のおかずと味噌汁を作って氷室に入れるだけだから。」
「あ、そうそう」 クシイナダさんは思い出したように立ち止まると、わたしら二人に櫛をくれた。
「あんたたち、じぇひ松江に遊びんいらっしゃいね。そーからこりゃあ、わたしからの心ばっかりのお礼だ」 彼女はニッコリ笑って手を振ると、イケメンおじさん、小太りのお兄さんと一緒に出ていった。
「あのう・・・あの人たちって?」わたしがアマテラスさんに聞くと、彼女はあっと言ってごめんね、って言う。
「あの子たちったら自己紹介もせずに・・・一人はわたくしの弟で、イナちゃんの夫のスサノオ、もう一人は二人の娘であるスセリちゃんのお婿さんでナムジ君って言うの。大黒様とか、オオクニヌシって言った方が分かりやすいかな?あの子いつもせかせかしてるから。まぁでも、神域にずっといるのはあんまりよくないから、そろそろ帰った方が良いかな?今日は本当にありがとうね。」そういうと、アマテラスさんもわたしたちに何をくれた。
「それは鈴守り。何か困ったことがあったら鳴らしなさい。おおぴっらなことは出来ないけど、ちょっとだけあなた達を助けてあげますからね。ほら、お父さんからもお礼を言って。」
「うむ、すまんじゃったの・・・」イザナギさんはわたしらに一言お礼を言うと、急に周りの空間が歪んで、気が付くとわたしらはおのころ島神社の境内に立っていた。
「あ、あれ?やっぱり夢やった?」田島が時計を見ると、2時間ほどたっている。夢でも見てたんやろか?
「夏菜!ちがうよ!ほら・・・」田島は櫛と鈴を見せた。そしてそれはわたしのジャージのポケットにも入ってた。
ご覧いただきありがとうございます。
前半は少し真面目な「ガイア理論」と環境の話でしたが、後半で空気が一変しましたね(笑)。 ついに登場したスサノオとナムジ(オオクニヌシ)。
特に、荒ぶる神であるはずのスサノオ様が、「串カツのソース二度漬け」で友人に1時間説教されてシュンとしているシーン……書いていて自分でも笑ってしまいました。 実はこの二人、長い付き合いの友人同士という設定なんです。
さて、作中で名前が出た「関西神仏ライオンズクラブ」。 次回は、その強烈なメンバーたちが淡路島に大集合します。 もちろん、スサノオ様を説教した「例の彼」もやってきますので、どうぞお楽しみに!
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