第6話: スーパー美少女はこの国一番の女神様!ていうかガイア理論てなに?
「あのー・・・すみません。まだお名前を伺っていなかったんですけど、何て仰るんでしょう?」
そうすると、美少女はああっと言って涙をぬぐった。
「ごめんなさいね、みっともないところを見せちゃって。わたしはアマテラス、日本神界のCEOです。そして・・・」
「わたしは、このし(人)の弟、海の神界の責任者の奥さんでクシイナダってーの。お米作り担当だよ~」
「で、この人がわたしのお父さんで、あなたも含めたわたしたちヒノモトの神や人のご先祖様、ほらお父さん、ご挨拶くらいして、名前も言ってなかったんでしょ?」
「あぁ?そうじゃたな・・・いや、挨拶もしておらんで失礼した。ワシの名はイザナギ、国産み・神産みの始原の神じゃ。」
え?えぇー!?わたしも田島も歴史はまったく詳しくないけど、いちおう淡路県民局に来てるわけやから、淡路島の歴史くらいは勉強する。
「マジでこの島の神さんじゃん・・・」田島は現実感がなくて呆然とする。わたしかって、さっぱり意味がわからへん。
「そやけどそのぅ・・・すみません、ご家族のことに立ち入って聞くみたいで・・・あ、でもわたしら行政なんで、やっぱり困っている県民の人がいてはったら支援せなアカンというか・・・」
ところが、この言い方がおかしかったのか、アマテラスさんクシイナダさんをは一瞬キョトンとして、次にクスクス笑いだした。
「行政だからって・・・あなた面白いこと言うのね?わたしたち神も一応市民ってことになるのかな?あんまり面白いから涙が止まっちゃったわ・・・」
そういうと、アマテラスさんはわたしのことを抱きしめて、「ありがとう」って言わはった。うわー・・・なんか甘酸っぱいメッチャいい匂いする。こんな美少女に抱きつかれたら脳みそ蕩けてまう。
「あなたたち、とっても優しいのね。こんないい子たちが育っているなら、この国も捨てたものじゃないかも・・・でも、お父さんは兵庫県民かも知れないけど、私たちは違うのよ?三重県と島根県だからね。」アマテラスさんがそういうと、クシイナダさんもニッコリ笑って、やっぱり抱きしめてくれる。うわぁー・・・こっちも良いにおいするぅ、お母さんみたいや~。
「そうだわ、ねぇ今度松江に遊びに来なぃな。こげな年頃の可愛ぇ女ん子には、ええ男ん子を見繕ぅてあげなね。知っちょーかしら?わたしって縁結びの神様なのよ。」
え?マジでっ!それ良いかも!よし、じゃあ松江行きます!・・って言おうと思ったら、田島がちょっとムスッとした顔でわたしとクシイナダさんの間に入ってきた。
「すみませんクシイナダ様、わたしたちにお見合いを斡旋して下さるのはとてもありがたいのですが、少し先ほどのお話をお聞かせいただけませんか?お父様・・・イザナギ様は、本来カップラーメンをスーパーに買いに来られる必要なんてないように思うのですが?また、霊脈の枯渇ですとか、アマテラスさまがそれを食い止めようとしてきた、というのはどのような意味でしょうか?それにここは、ちょっと普通じゃない気がするのですけど・・・」
公務員モードになった田島は矢継ぎ早にアマテラスさんとクシイナダさんに質問したが、なんか様子がおかしい。
しかし、しばらく話を聞いてたクシイナダさんは、あぁっと何かに気づいたみたいで、ニヤリと笑みを浮かべるといきなり、「エイっ!」っと田島に抱きついた。
「えっ!?ちょっと!何するんですかっ!いやっ!夏菜ぁ!」田島は必死で逃げようとしてジタバタするが、クシイナダさんはガッチリ捉まえて離さない。
「むーふふふ・・・ねぇ美紗ちゃん、あんた、お義姉さんとわたしにやきもち妬えてしまーた?」そう言われて田島はハッとして顔を真っ赤にする。
「ち、ちがいます!そんなことありません!それに・・・ちゃん付けはセクハラです!」
いや、それはいっつもわたしにベタベタくっついてくるオマエやんけ、と思ったが、コイツの中ではそれはノーカンらしい。
そんなことを考えている間に、クシイナダさんに抱っこされた田島はいつのまにか赤ちゃんが拗ねたような顔になっていた。
「美紗、やきもち妬いてないもん・・・おかあさんたちがわるいんだもん・・・」
おいおい、どないしてん、完全に幼児退行してるやんけ。いやでも、確かにクシイナダさんに抱かれたときはわたしもヤバかった。まぁでも、この人わたしら全員のグレートマザーやからな。母性が半端なさ過ぎて、たぶん誰でもそうなるやろう。
それはそうとして、さっき田島が言ったことはわたしも気になった。
「まあその・・・田島はよう分からへんけど拗ねとるんやとは思います。でもわたしも気になってまして・・・霊脈の枯渇って、どういうことでしょう?あとなんか、イザナギさんが子供たちや孫たちが財産を無駄遣いする、とか言うてはって・・・」
すると、アマテラスさんはあーっと言ってカバンを取りに行くと、中から手鏡を取り出した。その鏡に向かって何やらゴニョゴニョ言うと、鏡にトンネルや原子力発電所、森がたくさん伐採されている場面が映った。
「えーとね、私たちの住んでいるこの地球ってね、それ自体が一個の大きな生き物みたいなモノなの。国之常立神っていうんだけど・・・なんだっけ?ガイア理論って知ってる?」
なんやそれ?美味しいの?田島に聞いてみたけど、彼女も首を横に振った。そーゆー難しいこと聞かれても、ウチら文系やし。
でもアマテラスさんはニッコリ笑って「大丈夫」と言った。うわー、それにしてもキレイやわぁ・・・栗色の神が光に照らされて金色に光ってるし、ほんのりピンクに色づいている白い肌にはシミ一つない、赤ちゃんみたい。
「ガイア理論じたいはね、地球には疑似的に生命に似た機能がある、っていう科学的な仮説なんだけど、実際には違うの。命・・・つまり霊、魂そのものがあるのよ。そのエネルギーが大地、海、大気を循環していて、それを霊脈って言うの。ここまでは大丈夫?」
わたしらは、ホンマはそんなに理解できてないけど、うんうんと頷いた。いや、だいたいわたしらなんかよう分からん世界に踏み込んでもうてるし。鏡に映ってる景色はなんやねん。ひょっとしてスーパー高度なAR?でもほっぺたをつねったら普通に痛い。信じるしかないやん。
ご覧いただきありがとうございます!
ついに正体が明かされました。
日本神界のCEOことアマテラス様と、包容力おばけ(?)のクシイナダ様です。
普段は強気な田島ちゃんが、クシイナダさんにハグされて「美紗、やきもち妬いてないもん」となってしまうシーン、書いていてとても楽しかったです(笑)。
やっぱり日本のお母さん的な神様の母性は凄まじいですね。
次回は、アマテラス様が語り出した「ガイア理論」について、そして人類の危機についてもう少し掘り下げていきます。
イケメンな「あの神様」たちも登場するかも……?
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