第5話 神社の朝ごはんはメッチャ美味い?
「わぁ…何これ?」一歩入るなり、田島が目をキラキラさせて辺りを見廻す。
境内は敷石の一個一個が輝いていて、拝殿の屋根もキンキラに光っていた。
社務所みたいなのは無くて、わたしらは直接拝殿に上がると、その奥に土間があり、そこが台所になっていた。
え?普通神社のお参りするところに台所とかある?しかもかまどやし。そんなんお祖母ちゃんの家でしか見たことないし。
土間からちょっと上がったところには畳が敷いてあって、優しそうなお姉さんは膳にご飯と味噌汁と漬物を載せると、わたしたちに畳のところに持っていくように言う。
「あんたたち、好き嫌いは無えわね?今日はしじみ汁と赤米いり玄米ご飯と奈良漬、ノドグロの干物だけど?」
マジかっ!いきなり朝からそんなご馳走食べれるんかい!となりを見ると、田島もヨダレを垂らしそうになっている。
「めっちゃ良い匂いする…あーしシジミ初めてだけど超美味そう…」
わたしらは、好き嫌いありません!ゴチになります!と言うと、膳を運んだ。
しばらくすると、美少女に支えられてお爺ちゃんが入ってくる。
お爺ちゃんと美少女が席につくと、優しそうなお姉さんもエプロンを外して席についた。
それを見届けると、美少女は、コホンと咳払いする。
「じゃあ、今日も日々の糧に感謝して朝餉をいただきましょう。えーでは…」
お姉さんは、一礼して柏手をパンパンと打つと、何か呪文みたいなんを唱えた。
「広前に 秋の垂穂の 八握穂を 持清まはり 御炊きて 供る御食は 柏葉に 高らかに拍つ 八平手の 音平けく 安けく 神は聞きませ 宇豆の大御膳〜」
これって、祝詞ってやつかな?七五三のときに神社でやった気するけど…
言い終わると、彼女はもう一度礼をして、
「さ、食べましょう。」と言った。
わたしたちがいただきます、というと美少女は変な顔をしたけど、わたしは特に疑問にも思わずしじみ汁を食べる。
「うっ!…うっま!なんやこれ!?メチャクチャ美味い!」思わず叫んでしまうと、優しそうなお姉さんにじっと睨まれた。
「これ…食事中にそげな大声を出す子がおぅかね。女子なのにはしたなぇだわ。」
割としっかり目に怒られるが、なぜかそれも優しいというか、お母さんみたいでほっこりする。
隣を見ると、田島が一心不乱にご飯と奈良漬けを食べていた。
「このごはん・・・モグモグ・・・美味しい!モグ・・・あーし奈良漬にがてなのに・・・モグモグ・・・うまーい!」
そしてもちろん、田島もお姉さんに怒られる。
「ご飯を食いながらお話はえけんよ。あと、肌を出しすぎ。あんたみたぇな美人さんはえなげな男のしがいっぱい寄ってくーけんね。」お姉さんは一通り小言をいうと、にっこり笑った。
それを見た田島が顔を真っ赤にしてポーっとして応える。
「う、うん・・・わかった、おかあさん・・・」
「ちょ!アンタ!お母さんって!?すみません・・・この子ちょっと昨夜飲み過ぎたみたいで・・・ハハ・・・」でもお姉さんは、ちょっとキョトンってしたものの、またニコニコ微笑んだ・
「良いのよ、別に間違いじゃないし。」間違いとちゃうって?え?どゆこと?
「ところで」わたしが首を捻っていると、美少女がお茶を入れながらわたしに聞いてきた。
「県民局の方なんですよね。お名前は、そちらが田島美紗さんで、えーと・・・」
「あ!すみません!小路夏菜子です。今日は名刺ちょっと持ってなくて・・・」
「良いですよ、今日はお休みだったんでしょう?ところで、父が徘徊していたというのは?どんな感じだったのかしら?」
「あ、いえ、実は今週の月曜日にも同じ洲本のマルナカでお父様をお見掛けしまして・・・なんて言うか、とてもしょんぼりしておられて、あまりお買い物をするお金も無いようでしたし、昨日もカップラーメンと納豆だけでしたので、てっきりお一人で住んでおられてるものかと・・・」わたしはそう言いながらお茶を一口飲んだ。うっま!めちゃ美味い!っていうか甘い!?えっ!?お茶って甘いもん!?あまりの驚きに呆然としていると、彼女はふうっと溜息をついて、畳に手を付くと、わたしに向かって深々と頭を下げた。
「ごめんなさい。父が迷惑をかけてしまったみたいで・・・そうね、確かに最近はあまり来れてなかったかも。仕事にかまけてばかりで・・・はぁダメね・・・」
「しゃあなえだわ、霊脈が枯渇してきちょって、お義姉さんだってそげ何とか食い止めようとしちょっただら?……それにウチの人やナムジ君も言っちょったわ。こりゃあ子供らの問題だって。」美少女が頭を抱えて悩んでしまったので、優しそうなお姉さんが心配そうに背中をさする。
「やっぱり・・・わたくしじゃダメなのかしら・・・お母さんの本当の子供じゃないから・・・やっぱりこの国のお母さんはイナちゃんの方が良いのよ・・・うっ、ううっ・・・」
「義姉さん!しっかりして!誰もそげなこと思ーちょらんわよ!」
「でもわたし、肝心なところでいつもダメで・・・スサ君が暴れたときも岩戸に逃げ込んじゃったし・・・」はらはらと泣く美少女を、イナちゃんと呼ばれたお姉さんが抱きしめて慰める。ああ、なんて美しい姉妹愛。
そしてこんな気の強そうな超々美少女が弱気になって泣くところ、とっても良いかも。美しい。
いや!そうやない!今の会話おかしない!?霊脈とか、この国のお母さんとか、岩戸とか!なんならご飯食べる前の呪文とか!えーとなんやったかな?一生懸命思い出そうとしていると、田島が肘を突っついてきた。
「ねーねー、ひよっとして、この人たちって神様じゃない?」
「神様?いやそらなんでも・・・」
「だっておかしいじゃん?あの光る輪っかを潜り抜けたら、なんか神社が変なふうになってるし、ご飯があり得ないくらい美味しいし、ガスコンロとか炊飯器なくてかまど?っていうの?なんか木燃やしてご飯炊いてるし。お姉さんたちも見たことないくらい美人じゃん?」
「たしかに・・・」わたしが同意すると、田島はそれにさぁ、と言って台所の神棚を指さした。
「さっきからさ、神棚の扉を開いたところが光ってんだよね、ふつうそんなことある?」
これは・・・私は思い切ってお姉さんたちに聞いてみることにした。
本日も読んでくださり、ありがとうございます! ノドグロの干物にシジミのお味噌汁……神様のご飯、美味しそうですよね(じゅるり)。 書いている自分もお腹が空いてしまいました(笑)。
さて、美味しいご飯を食べたあとですが……どうやらこの神社、ただの場所ではないようで?
次回、第6話は明日(11/27)の19:00更新予定です。 いよいよ、美少女たちの「とんでもない正体」が明かされます!
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