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第38話: 今日は鶴橋で焼き肉や!・・・と思ったら、精進料理でがっかりや・・・

「神職やて?ウチの子らに『しんぺー』を持たすんかいな?」八幡さんが聞き返すと、おっちゃんが「せや」といって頷く。

「人間そのものは、常世に入ってきたら(たお)せるやろうけど、人間の兵器自体は別や。それを破壊するには、物理干渉するために神兵召喚せなアカン。せやけど、ここに残るんは理沙ちゃんだけや。せめて20人は神兵召喚できるようにしとかんと・・・」


「そうか~・・・ほな、神職と、巫女のバイトの子と、近所の氏子さんと、ええっと、京阪の駅の職員と、テキヤの兄ちゃんと・・・」

え?駅員さん、そんなんに協力してくれんの?っていうか、テキヤの兄ちゃんって・・・


「ほな頼むで・・・ああ忙し・・・」そういうと、太子のおっちゃんは、ケーブルカー乗り場の方へ降りて行った・・・

「あれ?おっちゃんどこ行ったん?」ウチが八幡さんに聞くと、

「杉山谷不動堂に行ったんちゃうか?」やて。一体なんやろ?


「夏菜、それよかさ、ちょっと姫の様子見て来ようよ?あーしちょっと心配でさ・・・八幡さん、良いかな?」

「えっ!あ、ああ・・・そうやね、ええんちゃうかなぁ~・・・ははは。」あれ?八幡さんなんか様子がおかしい?とりあえず、さっきはあんな偉そうに言うてもうたから、ちょっと謝っとこうと思って、田島・理沙ちゃんと三人で本殿に入っていった。


「すんませ~ん・・・あれ?」本殿の土間(台所な!)に入ると、清盛さんがまたお好み焼きを焼いてる。で、その向こうに・・・

「う~ん・・・モゴモゴ・・・あっ!これすっごく美味しい!牡蠣とお餅とチーズね!・・・やっぱり餅とチーズは鉄板だわ~、ねぇ清盛さん、こっちのウドンのやつはまだかしら・・・」

Tシャツと短パン姿の姫がニコニコしながら、広島焼を食べてた・・・


「えーと・・・姫、それは?」ウチが聞くと、姫はマズイとこ見られた、みたいな顔をして、「エヘッ」って笑ってごまかす。いや、可愛いで?可愛いけど・・・ウチはごまかされへんで!


「アマテラス様・・・さっきは偉そうなこと言って済みませんでした・・・」ウチが頭を下げると、困ったような顔をしてウチに抱きついてくる。

「ちょっと~、夏菜子ちゃん、なんでアマテラス様なの~?姫でしょー?」うーん・・・これは・・・


「姫さぁ、さっきの演技だよね?」田島が言うと、姫はいたずらっ子みたいにウフフって笑う!?

「だって・・・そうしないとウマヤド君がニギハヤヒちゃんのこと逮捕して四天王寺に連れてっちゃいそうなんだもの・・・でもね、わたくし思ったの。ぜったい夏菜子ちゃんがフォローしてくれるって。それにね、護良(もりなが)さんや信繁さんも見てるのよ?身内に甘いって思われたらいけないじゃない?」


「あのなぁ・・・まぁ・・・ええけど、半次郎さんに謝ってや?めっちゃ可哀想やったんやで?泣いててんで?」

「そうですわ!アマテラス様!半次郎様のような男性が泣くのってキュンと・・・いえ、とっても辛そうでした!」

ん?理沙ちゃん、なんか今変なこと言おうとしたね?


「それは大丈夫。さっき、彼が『お上!命に背いた罰はいくらでも受けるので、夏菜子さんのことはお赦し下さい!』って、言いに来た時に、ギュっとしてあげたから!」

えー・・・半次郎さん、大丈夫かな~。


「ん~、でも彼って素敵ね・・・どうせ神婚するなら彼みたいな男の人が良いんだけど・・・妻帯者だから駄目だけど。」

「え?姫って半次郎さんがタイプなの?まぁ分からなく無いけど・・・」って田島がいうと、顔を真っ赤にして、うっとりとした表情になる。


「そうねぇ~すごく優しいし、誠実だし、勇敢だし・・・さっき『地獄行きでも良い、俺一人のことだから・・・』って言ってね、そのあと夏菜子ちゃんのことを泣きながら庇おうとしたの・・・キュって来ちゃって・・・」


「姫、半次郎が地獄行きのわけあらへんやろ。まぁ助かったわ。あそこで誰も何も言わんかったら、ワシかて甘い裁定はでけへんかったやろ。」

太子のおっちゃんや。なんや!それやったら頑張ったウチらアホみたいやん!


「おっちゃん、それヒドない?ウチ、姫がホンマに半次郎さんに処刑させるんやて思うたんやで?なんや、みんな分かってたんかいな?」

そやけど、おっちゃんは「いやいや」って言う。


「そういうわけやないんやけどな。この国は、だいたい4通りの力によって支えられとる。一つは姫=アマテラスを頂点とする神界、八幡神を頂点とする武士、人間たちの政府、そんで、それらの上位にあって、この三通りの勢力を監視してる仏界や。」

「なにそれ?八幡さんは姫の部下ちゃうのん?」ウチが聞くと、姫は「んー・・・」といって、首を捻った。


「まぁ・・・序列でいうとタラちゃんよりわたくしの方が上だけど・・・そもそも、ヤマトの王政が機能しなくなったから、タラちゃんは武家に統治させたでしょ?だから、武家ってものすごい力があるし、結束も強いの。さっきの戦い見たでしょ?武士っていうだけで違う時代の人たちが力を合わせられるんだよ?タラちゃん(八幡さん)の直属の部下って、護良さんと、頼朝さんと、家康さんだけど、特に家康さんの神格は、古代の神々より上だから。」


「あー・・・ということは、こういう事ですね?八幡様に戦を仕掛けた饒速日(にぎはやひ)様を赦すにはそれなりの形が必要。だから維新の英雄である半次郎様に、天叢雲(あめのむらくも)剣で討たせようとした・・・半次郎様の師匠である西郷南洲様はそんなことは望まない・・・だっだら、家康さまや頼朝さまも納得せざるを得ない・・・そういうことですね・・・?」

理沙ちゃんがスラスラと解説すると、姫はウフフ・・・って笑った。


「ま、しかし・・・」と、太子のおっちゃんは真剣な顔になる。

「結局それで良かった。もしホンマにワシが饒速日はんを四天王寺に連行でもしとったら、人間どもの思うつぼや。それでのうても、連中の企みの半分くらいは許してもうとる。」


「え?おじさんそれってどういう意味?」田島が聞くと、理沙ちゃんが解説した。

「単に、対神霊用兵器のテストだけが目的じゃない、ということですわ。一番の目的は姫様を奪取すること。それが出来なくても、姫様の権威を失墜させ武家を離反させることはできる。天孫である饒速日様を唆したのはそれが理由では?」


「せやけど計算間違いがあった。神兵アプリと、牛頭さんと馬頭さん、そんな感じ?」ウチが言うと、おっちゃんは頷いた。

「神霊を攻撃するアイツらの銃弾は危険やが、現世に召喚した神兵の力は想像以上や。しかも敵のからくり人形も、トラックも破壊したし、黒服どもは全部地獄に連れて行かれて、情報を持って帰る手段がない。いまのところ、敵はどんな想定外の事態が起きたんか、情報の把握も分析も出来てへん。この思考の空白は生かさなアカン。」



「っていうことで・・・とりあえず、四天王寺に行くことになったけど・・・」ウチが言うと、田島がこっちを見た。

「なんでウチが運転してんの?」せやけど、田島は「ん?っ」と笑う。

「だってわ・・・あーし、疲れたし!淡路島から石清水までずっと運転してたから!」うん・・・まぁそれもそやな。大阪の道ややこしいし。


石清水八幡宮についてから、ずっと常世の中におったから分からんかったけど、何気に二日くらい時間が経ってた。

確かに、石清水八幡宮に着いたんは昼過ぎやったし、それから軍議やら戦やら、その後始末やらで、結構な時間が経ってるはずやけど・・・・


「常世では、太陽が登ったり沈んだりっていうんが無い。薄明のような感じがずっと続いてるんや。今まで夜やったことって無かったやろ?」そういうたら、自凝島でも、石清水でも、夜やったってことがない。自凝島(おのころしま)神社では、みんなとご飯食べて、外に出たらいきなり真っ暗やった。


「それって大丈夫なん?ウチら、常世でのんびりご飯食べたり寝たりしてて、現世に戻ったら何百年も経ってた・・・とかない?」

「それはない。時間の進み方自体は同じや。せやから、時々時計見たり、スマホみたりしとったらええ。」

「ふーんそうなんや。あ、ぼちぼち高速降りアカンな・・・」

こうして、ウチらは四天王寺にやってきた。


「へぇ~、前に来たんは小学生のときやったからなぁ・・・めっちゃ久しぶりやわ・・・どや?田島、ここが日本の仏教が始ったお寺さんやで。」

「え?あ、うん・・・そうね・・・なんか小っちゃくなってる感じが・・・あ、なんでもない・・・あーはは!あ!五重塔あるよ!入ってみようよ!」

小っちゃいて・・・おかしいやろ?そら、東大寺とか法隆寺の方が大きいにしても、たいがいやで?


アレ?おっちゃんはどこ行ったんや?あたりを見廻すと、おっちゃんが割とエライ感じのお坊さんと話してて、しばらくすると、その人はおっちゃんに丁寧にお辞儀して歩いて行った。


「おっちゃん、いまのお坊さん誰?」

「誰て・・・ここの管長や。つまり和宗 総本山 四天王寺のトップやな。」

「え!?おっちゃん、そんなエライ人と知り合いなん!?」ウチが聞くと、おっちゃんは呆れた顔をする。

「あんなぁ・・・ワシこの寺作った張本人やで!?しかもその当時皇太子やってんで!?日出づる国の御子やで!?みんな尊敬のメザシやっちゅうねん!まぁそんなんええわ・・・ちょっとこっち来てんか。」



行った先は、境内の奥にある、六角形のお堂やった。

「ここは?」ウチが聞くと、おっちゃんは奥に祀ってある仏像に向かって手を合わせ、なんかお経みたいなんを唱えた。

「オン・マカ・キャロニキャ・ソワカ・・・えーと、お、開いた開いた・・・」おっちゃんがお経(真言っていうらしい)を唱えると、仏像の後ろが光って大きな穴が開いて、その向こうにいっぱい仏さんがいた・・・


「おっちゃん、なにこれ?」

「あ?これな、ワシが所属する胎蔵界(たいぞうかい)曼陀羅(まんだら) 蓮華部院ちゅうとこ。あそこに見えてんの、観音チームの同僚な。あのターラーちゃん(多羅菩薩)って言うんがメッチャ別嬪やねん!もう~あの子と一緒に仕事できるだけでワシ、観音なったん正解やったて思たわ~。ちょっと待ってや。打合せするさかい。まま、10分くらいや。」

なんやそのセクハラ、って思ったけど、しばらくウトウトしながら待ってると、おっちゃんが突然「ええっ!!」て叫ぶ。ほんで・・・

「夏菜子、美紗ちゃん、ホンマごめん!今日焼肉なし!緊急事態や!きょうはここに泊まりな!」

「え?ほな晩御飯どないすんの?」

「そらオマエ、ここお寺さんなんやから精進料理やろ?大丈夫!ごっつ旨いから!」


「えーーーっ!!ウソ!わ・・・あーし、鶴橋で焼き肉とかホルモン食べ放題だって思ってたのに!」

いや、田島よ。これそもそも食べ放題ツアーちゃうからね?


鶴橋の焼肉がおあずけになった田島(美紗)の悲鳴が聞こえてきそうです(笑)。 焼肉の代わりに待っていた「緊急事態」とは……?


次回、四天王寺にて待ち受けているのは、歴史の教科書に出てくるあのお坊さんたち……ではなく、そのパートナーである「最強のお姉様がた」です!


聖徳太子も空海もタジタジ?「こわい(けど頼りになる)お姉さんたち」が、悩める美紗と夏菜子に授ける衝撃の授業とは!?


【更新について】 物語がいよいよ核心に入り、内容がどんどん濃くなってきました。 クオリティを維持して、より面白い展開をお届けするために、これからは**「週2回程度(水曜・週末など)」**のじっくり更新で進めていきます。


次回更新は、1月22日(水)頃の予定です! (書け次第アップします!) 四天王寺に集結するオールスターズの活躍、ぜひお楽しみに!通知をオンにして待っていてくださいね!

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