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第32話: 石清水の戦い 中編① ~いざ出陣や!(ちなみに戦の解説は理沙ちゃんですわ!)

「うっしゃ!やっと(いくさ)や!どや、源さん!腕がなるな!そう思わへんか!?ほんで、どない行く?」

馬に乗った美少年侍の義経さんが、同じく馬に乗ったイケメン侍、信繁さんに声を掛けた。

なんかそれを見た理沙ちゃんが、「こ、これは貴腐人(きふじん)・・・いえ、汚超腐人案件では?」とか言いながら目をキラキラ?あ、ギラギラさせてる。っていうか「きふじん」ってなんや?


「九郎殿・・・まさか、アレをまたやるのではござるまいな?いや、それがしは遠慮致し申す。」

「なんでやねん!?鹿が通れるんやったら馬でもいけるやろ!っていうか、俺らの馬、神馬やけどな!」

「いやいや、男山の結界内では、ただの馬と同じですぞ?・・・と申したところで、九郎殿が大人しくなさるとは思うておりませんが。」

「当り前やがな!戦っちゅうんはビビらしてなんぼやて!そないゆう源さんもなんぞ悪いこと企んどるやろ!?」

義経さんにそう言われて、信繁さんはニヤッと笑う。


「要は、結界の中で無ければ、神馬の機動力を最大限生かせ申そう。お山を北にくだり、京阪本線にある霊道を用い、防賀川を南下致さば。」

「なんや?エライ遠回りやな?まぁ自分、そういうん好きやしな。まぁええ!ほな戦場で会おうで!遅れんなや!オレが全部潰してまうで!」

「ははっ!まさかっ!九郎殿こそ勇んで駆け下りたら、敵が誰もおらなんだ、などと仰せにならぬよう!」

そういって、二人は馬で参道を駆け下りて行った・・・


「かっこいいーーー!マジパネェって感じ!ね、ね!ガム新さんと総司さんもあんな感じ行こうよ!ほら、歩きだと地味じゃん!ね、理沙ちゃん!」

「ですです!あ~ん!源次郎さま、九郎さま、尊すぎる!マジ神!」

なんか、田島と理沙ちゃんが手を握り合ってピョンピョン跳ねてる。


「なんでぇ、お美紗さんよ…俺ら浪人崩れなんだから、馬なんざ乗れねぇっての…だいいち、京都の市中を見廻っている俺たちに馬がいるわけねぇじゃねぇか…ったく、女子ってな、これだからいけねぇ…ちょっと男前だからって…ちょっとじゃねえけど…っていうかよ、義経公や信繁公と比べられても困るぜ!」


「こらガム新!日ノ本で一番カッコええのんと2番目にカッコええヤツ相手にひがむな!オマエかて生前はモテモテやったやないか!」

「ん?・・・こりゃ楠公なんこう!どうしなすったんです?そろそろ攻め手が上って来るでしょうに。」

ガム新さんがぼやいていると、髭がダンディーなおっちゃん、楠木正成さんがやってきた。


「ふふん!なんやオマエ、ワシみたいな備え万全の智将がやで、九郎はんや源次郎ちゃんみたいにブァーって行くわけないやんけ!もうちょっとやな、デェーンって構えて、敵が網に引っかかったらガっ!!て行くもんや!せやろ!南洲殿、清盛はん!」

正成さんは、そういって、後ろから歩いてきた西郷さん、清盛さんに呼びかけた。っていうか、ブァーって行ってガって・・・まんま河内のおっちゃんなんやけど。


「ふふふ・・・まこと、お主のような智将がおれば、我が一族も壇ノ浦で滅びずに済んだものを・・・まぁそれも歴史の必然じゃな!」

「左様でごわすぞ、入道殿!我ら幕末の志士が師と仰いだ楠公の采配が直に見れるとは!これは楽しみで仕方がありもはん!」


「まぁ、ゆるゆると行こやないか!南洲殿、あんたのところには、ワシ並みのやつらがゴロゴロおる!そういう連中を束ねられんのがアンタの力や!せやろ!入道殿!」

「かか!さすがは軍神 楠公じゃな!南洲殿はこの入道が我が一門の総力を挙げてお助けしようぞ!」


「おお!いざ参りもんそ!こん吉之助ん砲術、しかとご覧くだされ!」

そういうと、正成さんの姿がフッと消えて、清盛さんと西郷さんは、舟に乗り込んで、はるか空高く飛んでいった。


「なんか…みんなエライ楽しそうだよね…これから戦争するのに…怖く無いのかな?」

田島が不安そうに言うと、半次郎さんが怪訝な顔でウチらを見た。


「なんね?こげん当代一ん英傑たちが、共に戦うがなっど?楽しゅうてしょうがなか。怖気おじかなんてそげんこつなかとぞ?」


「なんやなんや、ガム新、総ちゃん、半次郎!あんたらも出陣の準備をせんかい!」

だべってるとこに八幡さんが来はった。

「おっといけねぇ…西郷さんの話じゃあ、こちらが優勢になった時が危ねぇってことだったが…で?お夏菜さん、銀さんからぁ何て返って来てんだい?」

あ、そやそや。今回の作戦で、アレ君に質問してたんやった。ちょうど返信来てるわ。


「えーと…神兵召喚システムは、対象を受肉させるものではなく、一時的に霊波動の位相をチューニングして、三次元空間に干渉できるようにしたものです??何のこっちゃ?田島、分かる?アレ君言うこと難しんやけど?」

「そんなんあーしに分かるわけないじゃん…だいたい…」

「あ!それっ!私わかるかも!要は、クォークの振動する位相に合わせて物理現象に干渉するって意味じゃないですか!?すごい、アレクセイさん、天才!」

理沙ちゃんは一人はしゃいでいるけど、もちろん、わたしらも、八幡さんやガム新さんも意味が分からない。


「まぁ…ええわ。それよりほら、義経が行きよったで!いよいよ戦の始まりや!」

八幡さんに促されて、わたしらは地図の上に映るみんなの戦いぶりに見入った。え?ぜんぜん分からん・・・と、思ってたら、理沙ちゃんが出てきて解説してくれた!



というわけで、読者の皆さん、夏菜子さんは戦争なんてぜんっぜん!分かりませんので、ここからは私、滝沢・バーキン・理沙が解説して差し上げますわ!心してお聞きなさい!おーほっほっほ!


「あ、物部の軍が動いたんじゃね?…ってか、なんか踊ってるみたいなんだけど?なにアレ?・・・あ、なんかお神輿みたいなの出てきて・・・なんか、頭の横にチョココロネくっついた人出てきたよ。誰だろ? 甘いもの好きなのかな?」

美紗さん・・・語彙がクソ過ぎますわ。チョココロネって。


「美紗ちゃん、あれは食べもんやない、角髪みずらっていう髪型や。・・・ちゅうかアレ、邇芸速日命ニギハヤヒノミコトはん本人やな。」

「戦うんちゃうの?なんであんな祈禱みたいなんしてんの?」夏菜子さんが聞くと、八幡さんはハァーって溜息をついた。


「アレはな、ウチの神威を貶めようとしとんのや。まぁ、戦う前に、ウチより自分の方が上やっていうことを、この地域一帯の神々に知らしめるための祭祀やな。まぁ確かに、そこらの神やったらそれで力を奪うことができるやろけど。」

ここで、八幡さんはにやっと笑った。うわっ!かっこいい!某少女歌劇団のトップ様みたい!

「生きてた頃は新羅征伐をして、神となってからは元寇も退けた、ワールドワイドな神さんであるウチに向かってええ根性や・・・」

「え?なに?八幡さん、ワールドワイドって・・・またどっかで覚えたビジネス横文字使っちゃって・・・」

美紗さんが吹き出しそうになってたけど、八幡さんは不敵に笑って弓を引き絞り矢を放つ! ヒョォォォォォォォッ!!! 矢は笛のように空気を切り裂く音を響かせた!


「行け九郎! お前ら源氏のちから、物部のアホどもに存分にコミットしたれ!」八幡さん!ボコボコにしばくのはコミットではありませんわ! 意味が違いますわ!


ヒューっという笛の音に反応して、突然、ドドドっていう地響きが聞こえたと思った刹那!斜面……いや、垂直に近い崖を、一群の騎馬武者が雪崩なだれのように駆け下りてくるのが見えた! 先頭にいるのは、笑いながら手綱をさばく義経様! うっそ! あれ傾斜70度くらいあるわよ!? あんなところ馬に乗ったままで降りれるの!?


「ヒャッハーーーッ! どけどけ物部のスカタンども!坂落とし(さかおとし)令和バージョン、その目ん玉に焼き付けんかい!九郎判官義経様のお通りやでぇーーッ!!」

敵の姿が無いことに油断して戦勝祈願をしていた真っただ中に、義経さんとその部隊の騎馬武者が突撃する!慌てふためく敵の兵士と、ニギハヤヒ様!


「て、敵襲!敵襲!!殿!急ぎお下がりを!東夷(あずまえびす)どもが攻めて参りました!先頭は・・・ま、魔人!魔王尊の使徒、非情なる義経です!」知らせを聞いたニギハヤヒ様の顔がみるみる青ざめる!

「な!・・・なんと!戦の儀礼を一切わきまえず、平気で寝込みを襲い、名乗りを上げている相手を射殺す卑怯者か!いかん!下がれ下がれ!応じては思うつぼじゃ!」


「遅いんじゃボケがっ!!いまやっ!車懸くるまがかりにて展開!一気に射掛けぇいっ!」崖を駆け下りる軍馬の轟音に驚き浮足立った敵兵に、義経様麾下の武者が次々と矢を放つ!

すごい!義経様は、敵の盾がある正面じゃなくて、あえて左翼方向の崖から降りてきたのね!


敵は必死で盾の向きを変えようとするけれど、その間にも、義経様たちは風のような速さで駆け抜け、そして矢を盾の守りがなくなった無防備な隙間に叩き込む!

「ぎゃあああっ!」 「盾が間に合わぬ! ど、どこを守ればいいのじゃ!?」


一個の部隊が矢を放つと、すぐさま入れ替わりの部隊が出てきて矢を放ち、それが終わるとまた次の部隊が矢を放つ!あっ!これは円環戦術カンタブリアン・サークルね!さすが義経様!スキタイの戦術も知っているなんて!

最前列の敵兵は盾を構えて何とか陣を立て直そうとするが、矢の放つ速度があまりに早く、一人、また一人と斃れ、混乱の波が全軍に広がっていく!


「慌てるでない!敵は寡兵!盾を並べ矛を押し出せ!」あらま、冷静ね。義経様の矢による波状攻撃に狼狽(うろたえ)えず盾を並べて、突撃されないよう矛を突き出すなんて。誰かしら?この武将の方は?

「なんやコイツ、物部守屋やないか?修羅になっとんかい。さっさと輪廻しといたらええもんを。」振り向くと、太子様が立っておられましたわ。でも・・・いつも夏菜子さんに向ける優しいお顔じゃない・・・とっても冷たい、軽蔑するような・・・


「あっ・・・義経さん、なんかだんだん下がって行ってるで?どないしたんやろ?優勢っぽいのに・・・」夏菜子さんの声で、ハッと盤上を振り返ると、たしかに義経様が円環戦術を保ったままじりじり後退して・・・あっ!山の方に向かって逃げた。表参道を、後ろ向きに射撃しながら(パルティアン・ショットですわ!)、登っていって・・・あ?林間に消えて行った・・・どういうこと?


「ふ、ふはは!痴れ者め!所詮奇をてらうしか能のない軽業師よ!守屋よ!追え!義経の首級(みしるし)を上げるのじゃ!」

ニギハヤヒ様が、守屋と呼ばれた将軍に指示すると、陣太鼓がドン・・・ドンっと鳴った。

それを合図に、物部の兵士が雪崩を打って参道を登っていく。ああ、でもこれって・・・


「あっほやのーー!!九郎はんみたいな悪ガキが、馬鹿正直に退却なんかするわけないやろ!」

盤上で別に点がひかり、楠木正成様が出てきたわ!キャーーーおじ様ぁーーーかっこいいーー!!


「この石清水八幡宮は天然の要害!籠城戦か火攻めにするのが常道や!それをわざわざ九郎はんのおちょくりに乗るとはな!ほいポチっとな~」

ポチっとなって何かしら?パパが言ってた、ビックリドッキリメカ、発進!っていうのかしら?良く分からないけど?そう言った瞬間、崖の上から巨木や岩が轟音と共に転がり落ち、物部の兵士たちを次々と押しつぶした!


いつもお読みいただき、ありがとうございます!


お正月休みの間に、この物語を見つけてくださった方がたくさんいらっしゃるようで、昨日(1/4)のアクセス数が急増していて本当に驚いています。

(グラフを見て、思わず二度見しました…!笑)


さて、本日は第32話のお届けです。楽しんでいただけましたでしょうか?

「義経の坂落とし(令和Ver.)」と「楠木正成のゲリラ戦法」。

日本史最強クラスのチート武将たちが現代の地形で暴れ回るのを書くのは、作者としてもワクワクしました。理沙のハイテンション解説と共にお楽しみいただけていれば幸いです。


石清水の戦いも、いよいよクライマックスへ突入します。

ここから先も、予想外の展開と熱いドラマを用意していますので、ぜひ最後までお付き合いください!


もし「続きが気になる!」「義経たちがカッコよかった!」と思っていただけましたら、ブックマークや下の☆☆☆☆☆から評価をいただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします!

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