第3話 お家は神社?お爺ちゃんはナニモノ?
「ホンマは造りか塩焼きが美味いんやけどな・・・」
「アハハ!関西のお笑いって面白いよね!この「三木」って兄弟ユニット最高だよー!」
わたしが慌ただしくマナガツオをさばいて魚すきの準備をしている間、なぜか田島は関西ローカルの漫才をみてケタケタ笑っている。
「ちょっと!なんであんたウチにだけ晩飯の用意さしてんねん!ちょっとは手伝わんかいな!」
「えー、なんで激おこなんだよ~、あーし往復1時間も運転したんだよ~。それにあーし料理できないし~」
田島はそう言いうと、またも抱きつき甘えて誤魔化そうとする。くっそ!可愛いっちゅうねん!女のわたしからみても可愛いやんけ!
「ま、まぁそやな・・・しゃあないわ、とりあえずグラス冷やしといてんか。もうちょっとで出来るから・・・ちゅうかアンタ、三木って東京でもやってるやん。それ新宿ルミネでやっとったネタやで!」
「面白いんだからいーじゃん、あ、いい匂いがしてきたよ!美味そー!早く食べよー!」
「待て待て!いま鍋持ってくから!あ、IHヒーターのスイッチ入れてや。締めは…ラーメンやな。」
「え?なんで?あーしパンが良いなぁ!パンに出汁かけてチーズ乗せて焼いたらメッチャ美味いんだよ!」
「なんやその謎のコンビネーション。ええから早よ食べ。冷めるで!」
ところで、この話を読んでるみんなは、今日ウチらが食べてる魚すきってわかるかな?
「魚が好き」なんとちゃうで。すき焼きのサカナバージョンみたいなヤツで、「うおすき」って言うねん。
似たような食いもんは、千葉県とか島根にもあんねんけど、ウチはお父ちゃんが好きやった。
サバとかイワシみたいな青い魚でも、タイとか白身魚でも食べるんやけど、もちろんマナガツオでもシズでもOKや!なんなら高級料理やて!
さて、田島はその高級魚の魚すきがエライ気に入ったらしい。
「夏菜!これメッチャうまーい!毎日でも食べたい!あーしの嫁ちゃんになってよ〜!」
「おまえアホか。いまの法律で女同士は結婚できひんわい!行政やねんから知っとけ!あと、マナガツオはそないしょっちゅう上がらへんわ!」
「なーんだ、そうなんか〜。でもあーしは夏菜のこと大好きだからずっと一緒がいーなぁ〜」
田島は冗談っぽく、やけど真剣な目でじっと見てきた。
(なんやコイツ…酔うてるんか…)
「そんなアホなこと言うてんと早よ彼氏探せや。アンタくらいベッピンやったら男くらいなんぼでも引っかかるやろ。淡路島は漁師も百姓も稼ぎええからな。玉の輿やで。」
「夏菜はどうすんのよ?」
「ウチはええわ。だいたいウチみたいなゴロゴロしたんなんか、誰が相手してくれんねん!」
「え〜?そんなことないよ〜。夏菜めっちゃ可愛いじゃん。料理も得意だし、優しいし。」
コイツはわたしの何を見てそない思とんねん。それよりも、わたしはずっと気になってることを田島に聞いてみた。
「なぁ田島、今日のおじいちゃんな…」
「あ?うん、なんだったんだろね?見間違いかな?」
「いや、間違いなく、あの神社に入っていったで?そやけど、あの宮司さんは知らんっていうてたやん?なんでやと思う?」
「うーん・・・アレかなぁ、あのお爺ちゃん、実は認知症で徘徊しちゃってるとか。で、身内にそんな人いると世間体が悪いから知らないふりしてるとか?」
「ない話やないけどなぁ・・・」
ただ、わたしが見た感じでは宮司さんはホンマに知らんようやった。だいたい、顔も全然似てないし言葉も違う。親兄弟とか親戚やなくて、赤の他人っていうこと?
「なぁ田島、明日もう一回あの神社いってみいへん?っていうか、アンタぼちぼち帰らんでええんか?」
「なに言ってんの?もう飲んじゃったんだし帰れないよ、ケーサツに捕まっちゃうよ。っていうかあーし公務員だし。」
「?どないすんねん?」たぶん帰ってくる答えが分かっているんやけど、いちおうわたしは聞いてみた。
「え?なに?ここに泊まるんだよ?あたりまえじゃん、夏菜んちでご飯食べるっていうのはそういうことじゃん!着替え持ってきてるし!」
まぁ・・・確かに夜通しって言うのはそういう意味とも取れへんことないけどな・・・っていうか、最初から泊まるつもりやったんかい。
「あんなぁ、布団一個しかないんやって。こないだもそうやったやろ。」
「え?一緒に寝れば良いじゃん?」
「おいちょと待て。もう6月やで?暑っついやんけ!」
「パンイチで寝ればいんじゃね?」あかん、コイツに聞いたわたしがアホやった。




