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第29話: 皆はどっち!? 愛が重たいオカンの「大阪風」 VS 清盛入道の「牡蠣入りスペシャル」!

本殿の土間(めっちゃ広い!)に行くと、ジーパンでエプロン姿の八幡さんが、真っ赤でド派手な作務衣を着たゴッツイおっちゃんとお好み焼きを何枚も焼いてた。

「あらまー、夏菜子ちゃん、美紗ちゃん、よう来たねぇー、姫も無事着いてくれて良かったわぁー。総ちゃん、新ちゃん、ごっつありがとうなぁー、あ、半次郎もな。そや、アンタらよう頑張ったさかい、飴ちゃんやろ。手ぇ出し。」

せやけど、ガム新さんはブンブンと首を振る。


女将(おかみ)さん、俺らガキじゃねぇんだし、飴ってこたぁねぇでしょう。それよか、なんか食わしちゃくれませんか?せっかく大阪に来たってのに、昼飯を食い損ねちまって。出来りやぁソース味のもんが良いんですが。」


「なんや!アンタええタイミングで来たやん、ホンマ!今な、ぼちぼち昼やし、お昼にしょうてみんなで言うとったんやけどな、ほたらこの清ちゃんが、」

って八幡さんが言うたら、ゴッツイおっちゃんは腕をまくってコテを振り回した。


「ぬはは!吾輩特製のお好み焼きを馳走してくれようぞ!ガム新とやら!我が美味なるオタフクの芳香、とくと味わうがよい!」

変わったお好み焼き屋の大将やな。ちょっとテンション高すぎちゃう?


「あの、こちらはどなたでしょう・・・名のある武将?あ、お坊さんですか?あと、これって広島焼きじゃないんですか?私が京都の烏丸からすまで食べたのと全然ちがうんですけど…」

理沙ちゃんが言うと、そのおっちゃんは、なんと!と言ってため息をつく。


「嘆かわしや!この入道を知らぬと!?いや、それは良い!今の世は令和ゆえ!しかして、広島焼きとは何ゆえ!?此方こなたこそお好み焼きじゃ!其方(そなた)が食したのは大阪焼であろう!」

そしたら、となりにおった八幡さんがおっちゃんの脚を蹴った。

「こら清ちゃん!大阪焼てなんやねん!これがお好み焼きやろ!アンタ半分以上関西なんやから、もっと地元をリスペクトせんかい!」

「なんと!お方様、それはパワハラでござるぞ!それにこの入道、そば飯は作れど、大阪焼きなどというパチモンは作り申さぬ!ガム新とやら!ソース味を食さんとて大坂のものを求めるなど言語道断、愚の骨頂!わが宮島の牡蠣入りスペシャル、()く堪能せよ!」

そういって、そのおっちゃんがお好み焼きを突き出すと、ガム新さんは匂いに吊られてお好み焼きを口に入れた!


「熱っつ!いや!だけど!・・・うっま!おっさん!これめちゃくちゃ美味ぇじゃねぇか!総司!ちょっと食ってみろよ!もんじゃなんぞより百倍は美味ぇぜ!いや、てぇしたもんだ!この際大阪だの広島だのってなぁどうでもかまやしねぇ!まぁ長州ってなぁアレだが!ところでオッサン、なにもんだい!みたところ坊主みてぇだが?」

ガム新さんがそういうと、ごっついおっちゃんは当惑した顔で八幡さんを見た。


「む!ガム新とやら、坊主とはなんじゃ!入道と呼ばぬか・・・いや、其方そなた吾輩を知らぬとな・・・?お方様、こは如何なる??現世の娘らはともかく、天津軍で吾輩の名を知らぬ者がおろうとは?」でも、八幡さんはお好み焼き(大阪のヤツやで!)を焼きながら、おっちゃんをキッ!と睨んだ。え?なんで怒ってはんの?

「あんなぁー・・・清ちゃん、ウチは浮気する男は大っっっ!!嫌いなんや!なんやねんホンマ、ちょっと別嬪さんやからいうて、宗像(むなかた)三女神に熱上げよって!女神ハーレムでも作りたいんか!自分はここではアウェーもアウェーやっちゅうねん!」あ、コテコテの関西人は、「あなた」の代わりに「自分」って言うんやで!


「あ、あの八幡さん・・・そろそろこのおっちゃんの紹介してくれへん?女神ハーレムって・・・」

わたしが聞くと、八幡さんの代わりに、太子のおっちゃんが笑いながら教えてくれた。

「ガハハ!入道よ、形無しやのう!まぁまぁ、千年以上たっとんねんから、諸行無常どころやあれへんわ!夏菜子、美紗ちゃん、理沙ちゃん、コイツは平清盛、またの名を清盛入道や!」


えぇーー…またしても教科書に出てる有名人出て来た!まぁ、今更やけど…っていうか、浮気ってなんなん?

「あの、八幡さん、浮気ってなんなん?八幡さん結婚してるやん?」

わたしがそういうと、八幡さんはちゃうちゃう!って言うた。


「せやないねん!夏菜子ちゃん!コイツごっつ悪いんやで!武家はな、誰でもどこでもウチを拝むもんなんや!平家かて元々はウチを拝んどったんや!それをコイツは!」

そういうと、お好み焼きのコテを清盛さんの方に向ける。

あ、ソース飛ぶからやめて欲しい。


「こともあろうに!あんのいけすかん、ことあるごとに美人自慢をする!かしまし娘みたいなヤツらに!・・・めっちゃエエ神殿を奉納しよってん!ウチにはしてくれたことないのに!」


ええー・・・そんな理由?なんやろう?女神さまの嫉妬、ちょっとアレちゃう?同じことを思ってたんか、田島も、理沙ちゃんも呆然としてる。

「あのー・・・八幡さんさ。それ言うのヤバくない?例えばだよ、別に付き合っているわけでも無いけど、キープしときたい男がいるとすんじゃん?メッシーとかアッシー?なんかウチのママが言ってたけどさ。で、その男が、自分じゃなくて、別の女にプレゼントしたら激オコみたいな?そんな話しちゃってる?」

田島よ、そんなん言うたら八幡さんが痛い女みたいやないか・・・


「あの、初めまして。私、文化庁から来ました、滝沢・バーキン・理沙と申します…時にあの八幡大菩薩の神功皇后じんぐうこうごう様と存じますが…」

「お!アンタよう勉強しとるやないの!えらいえらい!飴ちゃんやろか?」

「あ、いえ、そうではなくて、私、思いますに、八幡様はちょっと独占欲が強くてらっしゃるのかなと…失礼ながら拝見しておりまして。」

え!?理沙ちゃん、何言うてんの!しばかれるで!

そやけど、意外にショックやったみたいで、八幡さんはヨロヨロってなった。

「な、なんやアンタ…会うて早々そないなこと…」なんや?八幡さん、いつになく弱気やな。


「それは確かにぃ!ウチのお父ちゃんも!(ダンナさん、仲哀天皇っていうんやって)、ウチの可愛いボンも!(息子さん、誉田別命って言うらしい)、『お母ちゃん重い、愛が重たい』って言うてたしぃ!?ウチの子らも(これは部下のことやで)、いちいち陣中でご飯作らんでも自分で出来ます、重たいです、とか言うとったけど!…独占て、アンタ…ウチは別に…」

っていうと、八幡さんはお好み焼きの焼き加減も忘れてワンワン泣き出した。


「理沙ちゃん…そういうことは言うたらアカンて…いろいろあんねんから…八幡さん、コレ焦げそうやからひっくり返すで?あ!これ油カス入ってるやん!美味しそー!ウチこれ食べよ!」

「グス…ありがとう…夏菜子ちゃん。やっぱり男はアカンな、なんぼしたっても文句ばっかり!挙句の果てには清ちゃんみたいに浮気しよんねん!」


「いや、吾輩は別に浮気をしておるわけでは…我が一門は代々海運と水軍をなす故、どちらかと言うと、市杵島姫様を崇敬申し上げる方が先と申すか…」

「清盛、やめとけ。話ややこしなるから…姐さん!別にええがな。重たい女が好きな男もおんねん!ほら、藤吉郎とか!アイツなんか嫁も妾も重いやんか!他にも~、ほら、義仲とか!姐さんの大ファンの!あそこの嫁かて重いわ~!ワシやったらええわ~!そやから、ちょっと仕事の話しょうや!あ!ワシも姐さんのお好み焼き食わしてもらおか!うわっ!このイカ玉めっちゃ美味いやん!」

うーん、太子のおっちゃん、それはフォローになってない気がするで・・・


「なんやねん・・・ウマちゃん・・・仕事仕事って・・・ウチはもう嫌や!1800年間頼りない男共に成り代わって頑張ってきたのに、なんで重たい女やねん!」

八幡さんは突然お好み焼きのコテを放り出すと、ふてくされて布団に潜り込もうとした。あ、これはアカンやつや!しばらく復活せぇへん!


「夏菜子さん、ありぁいけません!女将さんはああなっちまったら二日は起きてきませんよ!」

沖田さんが叫ぶと、境内に集まったお侍さんたちがザワザワと騒ぎ出す。特に源氏系のお侍さんたちが。

「お方様がお伏せになられたと?」

「なんでも、清盛公が無礼を働いたそうじゃ!」

「おのれ平家!やはり、この石清水に入れたのが間違いじゃ!叩き出せ!」

境内のあちこちで、『源』の字が書かれた白い旗と、『平』の字の赤い旗がバサバサと振られ、抜刀する音がシャキーン!て響いた。マジ!ここで源平合戦始まんの!?やばいやんっ!敵と戦う前に仲間割れになってまうやん!


そのとき、姫がすっと前に進み出て、パンッ!と強く手を打った。「お静かになさい!」

ぜんぜん大きい声とちゃうのに、凛とした声は、まるで神社の大きな鈴(本坪鈴)を鳴らしたみたいに空気をビリビリ震わせて、殺気立ってたお侍さんたちの動きが、魔法みたいにピタッと止まった。

え……なに今の? ひょっとして「言霊(ことだま)」ってやつ?


その静寂の中、総大将の護良さんが、すっと姫の前に進み出て、恭しく跪いた。 それを見たお侍さんたちの顔色がサッと変わる。

大塔宮おおとうのみや様が、礼を尽くされた・・・!あのお方は!」


親王は、よく通る声で皆に告げた。 「ものども! 剣を引け! このお方こそ、我らがこの地に参集して護らんとする、我らの皇大神(すめらおおかみ)! 天照大神さまなるぞ! みな頭が高い! 控えよ!」


そしたら、お侍さんたちは、「おおっ!」とか「誠かっ!」とか口々に言いながら、まるでドミノ倒しみたいに、ザッ!ザッ!と音を立ててその場に跪き、一斉に平伏した。 誰一人、疑ったり逆らったりする素振りがない。 すごい……時代劇みたいやけど、これが「天津軍あまついくさ」、神の軍団なんや……。


「護良、大儀です・・・皆さん、よくお聞きなさい・・・いま、この日ノ本は未曽有の危機に見舞われています・・・わたくしも、禍事(まがごと)を企む者たちに狙われています・・・」


【お好み焼き論争と、愛が重すぎる戦女神さま?】


いつも『神話夫婦のやりなおし』を読んでくださり、ありがとうございます! 第29話、お届けしました。


ついに登場! 平清盛入道! まさか初登場シーンが「お好み焼きを焼いている」だとは……(笑)。 しかも「広島風 vs 大阪風」の仁義なき戦いが勃発!? 皆さんはどっち派ですか?

まま、関西人にとっては、お好み焼きは基本家で作るものなので、食べ物としてポジションが違いますが。


そして、八幡神(神功皇后)の意外な弱点、「愛が重い」説。 理沙ちゃんの容赦ない分析に、泣き崩れる最強の武神……。 でも、1800年も国を守ってきたんだから、それくらいの情熱がないとやってられないですよね?皆さんのご家庭では如何でしょう?


ラストは、アマテラスの一喝でピリッと締まりました。 次回はいよいよ、「日本最強の英雄たち」が大集結!? どうぞお楽しみに!


年末年始のお忙しい中、ありがとうございます!

こたつの中でみかんでも食べながら、まとめてお楽しみください!

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