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第27話 ついに来たで石清水八幡宮!

大山崎のインターで降りると、わたしらは石清水(いわしみず)八幡宮に向かった。

「あれ?ケーブルカー止まってますね?歩いて昇るしか・・・あ、参道も通行禁止になっている・・・なんでしょう?」

滝沢さんが怪訝な顔をしていると、太子のおっちゃんが2回柏手を打った。そしたら、自凝島(おのころしま)神社とか、西宮神社と同じように光る茅乃輪が出てきたので、わたしらはその中に入った。


「わっ!何これ!?お侍さんがいっぱいやん!」茅乃輪を一歩中に入ると、参道の下から上まで、びっしりお侍さんが並んでいて、それぞれ槍・薙刀や、弓・鉄砲(火縄銃?)で武装していた。それと、参道の登り口のところにある運動公園が、茅乃輪の中から見ると騎兵の練兵場になっていて、馬に跨ったサムライがひっきりなしに行ったり来たりしながら弓矢の練習をしてた。

「姐さん・・・気が早いことやな、完全に臨戦態勢やないか・・・騎馬武者に笠懸(かさがけ)犬追物(いぬおうもの)までさせるとは・・・」

太子のおっちゃんが厳しい目つきで見ていると、上の方から高そうな鎧を着たお侍さんが坂道を降りてきて、おっちゃんの前で平伏した。


「太子様!太子様ぁ!お待ち申しておりましたぞ!ささ、お方様がお待ち故、こちらに・・・」せやけど、そのお侍を見ると、おっちゃんは少し複雑な笑顔を浮かべ、跪くと彼の手を取った。

「太子様!?もったいのうございます・・・」驚いたようにおっちゃんを見上げる顔が・・・めっちゃ男前やん!え?なんちゅうの!?高貴?みやびな~って感じ!?それでいて、ワイルドかつ凛々しい。えぇ~誰このひと?


護良(もりなが)、大義やな・・・かつてのようなことがあっても、姫のために馳せ参じてくれた其方の忠義、篤く感謝するで・・・」おっちゃんがそう言うと、そのお侍さんは、感極まったように俯いて、肩を震わせた。

「あ、有難き仕合わせ・・・さ、参りましょう!少し歩き申しますが、戦時ゆえ牛車・籠などはご容赦を・・・ときにそちらの姫君たちは?もしや太子様の寵妃にござりましょうや?あ、皇大神(すめらおおかみ)の女房がたとか・・・」お侍さんが言うと、おっちゃんは言い忘れていたように、ああって言う。


「すまんすまん、紹介しておらんかったな。こちらがその皇大神、アマテラス様や。其方(そなた)、会うたことなかったか?」

「…!なんと!?此方様が、我らが皇大神ですと!?い、いやしかし、かつて伊勢にて拝謁(はいえつ)賜った時は御簾(みす)越しであったゆえ分かりませなんだが、斯様(かよう)なお姿で在らせられたとは…まるで当世の娘らのようと申すかなんと申すか…こ、これはご無礼を!麻呂のごとき下郎が大神の玉体を拝するなど!」

護良さん、っていうお侍さんは、姫のTシャツと短パン姿を見ると、あっと言ってもう一度平伏する。


「あ、いやいや、護良よ。今は令和、21世紀や。きょうびの武士もののふはそんなことはせぇへんからな。そないに気にしたらアカン。」

おっちゃんがそう言って、護良さんを抱き起こそうとすると、いつの間に出てきたんか、中村半次郎さんが出てきた。


「失礼、先ほど「もりなが」て聞けもしたが、そこもとはもしや、後醍醐(ごだいご)帝ん御子、護良親王殿下にあらせらるっるか?」

「いかにも、麻呂は帝の一子、護良じゃが?」もりながって名乗ったお侍さんは、明治の軍服姿の半次郎さんをみて怪訝な顔をしたけど、半次郎さんはそれを聞いた途端、その場で平伏した。


「おお・・・なんちゅうこっじゃ!建武ん新政で、帝をお助けなされた英傑にお会いでくっとは!・・・いかんいかん、失礼いたしもした。そいがしは中村半次郎、別名 桐野利明ち申します。明治大帝にお仕えした薩摩藩ん武士でごわす。なにとぞ良しなに・・・」

半次郎さんがそう言うと、もりながさんも目を細めて彼を見た。


「おお…其方が、ご維新を成し遂げた西郷南洲殿のお弟子か…いや、我が衣鉢を受け継ぎ、ご親政を果たした忠臣に見えるとは…半次郎!誠に大義じゃ!これは何とも嬉しい!我らの主上おかみたる皇大神を助けんがため、古今の英雄が時を越えて集まるとは!・・・ときに、そこのだんだら模様の羽織を着た侍は・・・なんじゃな?明治政府の者のようには見えぬが・・・」

もりながさんに見られて、沖田さんとガム新さんがバツの悪そうな顔をしてはる。どないしたんやろ?


「あー・・・いや、俺たちはその・・・京都御所を守っていたっていうかなんていうか・・・」沖田さんが言葉を濁すと、護良さんは腕を組んで少し考えはった。

「御所の守護?はて・・・あ!もしや其方ら新選組か!・・・そうか・・・うーむ、もしや気にしておるのか?」護良さんが心配そうに沖田さんの顔を覗き込むと、彼は小さく頷いた。


「なんていうんですかね?オレらも一応「尊王攘夷」だったんですけどね・・・時の帝は攘夷派でいらっしゃったし。でもなぁ…気が付いたら逆臣、謀反人で・・・」

けど、沖田さんが謀反人と言うと、護良さんは沖田さんの手を取って、首を横に振った。


「たしかに・・・我らの名誉を回復してくれたのは、明治大帝であり、直にお助けした薩摩・長州ではあろう・・・しかし、其方らもまた、「誠」と「忠」を尽くさんとて集まったのではないのか?謀反人などと、淋しいことを言うてくれるな・・・さぁ!共に参ろうではないか!せっかくこのように集まったのじゃ!此度(こたび)こそ疑いなく己が誠を尽くそうぞ!」

なんや~めっちゃもう、仲間思いのナイスガイやん!わたしも田島も、断然この人が気に入ってもうた。


「時に、太子様、そこな女御(にょご)何方(どなた)にござりましょうや?装いを見るに、当世の娘らのように見えまするが?」

「お?ああそうか、言うてへんかったな。こっちの色が黒うてチビなんが夏菜子、叡福寺に所縁(ゆえん)の、いうたらワシの子孫や。あと、美紗は外宮のトヨウケヒメの化身でな。二人とも姫の世話を買って出てくれとる。」


「なんと!太子様の姫であられたか!しかも主上おかみにお仕えしておられるとは!これはご挨拶が遅れ申した!麻呂としたことが何たる不覚!」っていうて、護良親王さんは、わたしの前に跪いた。

「西洋風にて失礼つかまつる・・・」そういうと、そのままウチの手をとって、自分の唇に押し当てる!?えっ!うそやん!

「ちょっと夏菜…アンタだけ…」

「いや!ちゃう!違うって!あ、ほら!こんなんセクハラやん!ぜんぜん嬉しないし!あーはは!」


「おや?如何なされたかな?」護良さんが聞くと、田島はわざわざ自分も前に出てきた。

「いやー…、なんてゆーかぁー、あーしもトヨウケヒメの化身みたいな?そーゆーの、護良さん的にどうなんだろーなーって…」

そしたら、護良さんは、これをご無礼をっ!て言って田島の前で土下座した。

「化身とは申せ、外宮のお方様に対し奉り立礼とは!この護良まこと不覚にござる!なにとぞお赦しあれ!」

うーん、この人イケメンやけど、なにかと土下座多いな…


「いやー、あーし別に土下座してほしくないって言うか…ほら、さっき夏菜にした西洋風の〜ってヤツが良いかなぁ」

せやけど、護良さんは手を挙げて首を横に振った。

「いけませぬ!本来なら外宮のお方様への拝謁は御簾ごしでなければ(まかり)り成らぬもの!いかに美紗様が化身と申せど、麻呂がごとき下賤がお手に触れて良いものではありませぬ。平にご容赦を。」


「うっそ・・・なんか損した気分・・・」田島はがっくり項垂れたけど、護良さんはさっと立ち上がると、みんなの先に立って歩きだした。

「さぁ、皇大神に何時までも斯様な場所でお待ちいただく訳にも参りませぬ!急ぎ本殿に参りましょう!」


そうやって、姫とわたしらと、沖田さん・ガム新さん・半次郎さんは、護良さんの後をついて本殿に向かった。


「あの~、私は?この文化庁の滝沢・バーキン・理沙の紹介はしてくれないんですか?おーい・・・」

あ、理沙ちゃんを忘れとった!


【悲劇の皇子と時を超えた邂逅!】


いつも『神話夫婦のやりなおし』を読んでくださり、ありがとうございます!

第27話、お届けしました。


ついに石清水八幡宮に到着!

そこで待っていたのは、建武の新政で活躍した悲劇の皇子、護良親王(もりながしんのう/大塔宮)でした。

歴史上では非業の死を遂げた彼ですが、本作では「情に厚いイケメン」として登場。

幕末の志士たち(新選組や薩摩藩士)との、時空を超えた会話を楽しんでいただけたら嬉しいです。


特に、沖田総司たち新選組に向けた「誠と忠」の言葉。

立場は違えど、世を想う気持ちは同じ……そんな熱い絆を描いてみました。


そして、夏菜子と美紗への対応の差(笑)。

高貴な方なりの「線引き」があるようですが、理沙ちゃんの扱いも含めて、このパーティの賑やかさは増すばかりです。


次回はいよいよ、「日本最強の武神たち」との対面!?

どうぞお楽しみに!

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