表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/39

第25話: 宇宙の危機と堕天?っていうか、姫のご飯(大御饌)、冷めとるんかーい!

「ふむ…なるほど…まぁ、古代からやってきとうことではあるけど、少々度が過ぎとうなぁ。人間が直霊なおひから離れて自我に耽溺しとうんは、ここ400年ほどの傾向やけど…プレモダンとポストモダンの混同もここに極まれりやな。これは下手したら堕天が起きるで。太子様、どない思わはる?」


ヒルコ様は可愛らしい声で、やけど有無を言わさん調子でおっちゃんに聞き、おっちゃんも腕を組んでじっと考えてたけど、しばらくしてため息をつくと応えた。 「そない言われたら仏界も動かなしゃあない。堕天の行き着く先は4回目の滅び、『火による破壊』や。」

なんか、太子のおっちゃんいつもと違う・・・それにヒルコさんも、可愛いのに言うてること、とんでもなくない?


「太子様、この星の子らの御祖みおやである我らにはそれは耐えられへんのです。もし今回の滅びが一時的なものやなく、八葉の老師様方がこの星を見捨てる事となれば、胎蔵界曼荼羅が反転し、諸界の神仏はそのまま魔神となってまう。命は虫一匹に至るまで魂を虚無に還され、この星そのものも、全てを飲み込む重力の地獄で量子レベルまですり潰されてまうやろう……。太子様、あなたはそれでよろしいんか?」

え?ちょっと待って、仏様がウチらを滅ぼすってこと?魂も残らんとか、すり潰すってなんなん・・・?


「…ええわけないやろ…せやけど、仏は神の支配に恐れ慄いて心にもないことを口にしたり、やったりすることを人間に求めとんのやない。イザという時は四天王を召喚する。八幡神にも無制限の神器の許可を認めよやないか。せやけど、本当の意味で今回のことを解決すんのは人間やで?なぁ夏菜子、美紗ちゃん!あとここにはおらんけどアレ君もな!」

え?なに?ウチらがどないかせなアカンの?ポカーンとしてると、ヒルコ様がアハハって笑った。


「まぁ、それもそうか!いや太子様、失礼。ほんでアマテラス、これからどないするん?」

「兄様、わたくしは石清水にいきます。あそこなら、他の神も人間も、わたくしに手出しは出来ませんから。ただ、それだけでは事態の打開に繋がらないから…真魚さんも頑張ってはくれてるけど。兄様、何かよい知恵はないかしら?」

姫がそういうと、ヒルコ様は嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる! うわぁ、よっぽど姫のことが好きなんやな、シスコンやな。でもヒルコ様可愛いから問題ナシ!


「あたりまえやんか! 僕ら商人はアタマが命やで! まぁ、じっさい、太子様の仰る通りやなぁ。アホなことを企むのも人間なら、それを打ち破って己が内なる神を見つけるんも人間、そやな…ちょっと美紗さん、ええかな? こっち来てくれる? あ、アマテラスもな。」

三人は、わたしとおっちゃん、滝沢さんを置いて、奥で何か話をして、しばらくしたら戻ってきた。


「…えーとね。理沙さんはアマテラスと一緒に石清水に行ってほしいねん。夏菜子さん、美紗さんは太子さんと一緒に奈良と飛鳥やな。」

ん?メンバー分け変えた?なんでやろ? 「ウチはええけど…なんか理由があるんですか?」

「あぁ、うん、まぁそのうち分かるから。」 ウチが困惑してると、滝沢さんも不安そうに手を上げる。


「あの、私も石清水八幡宮に行くんですか?そこに行かないといけないんですか?私、業務があるんですけど…」 せやけど、なぜかそこで田島が滝沢さんの手をしっかり握ると、ニコニコしながらうんうん頷く。

「大丈夫!すっごく楽しいから!八幡さんってとっても優しいし、日本中のイケメン侍が集まるから!ね!理沙ちゃんも行こうよ!」

なんやなんや、何でいきなり理沙ちゃん呼びになってんねん。 だいたい行こうよ、っておかしいやろ。オマエが行くんは奈良やんけ・・・なんか、シッポがくるんて巻いてて、耳がピコピコしてるんが謎過ぎる。


「そういうたら、さっきからトヨウケって言うてるけど、なんですか?田島って神様なんですか?」 わたしが聞くと、ヒルコ様がぴょんって跳ねた。この、ぴょんって跳ねるんてどういう意思表示なんやろ?いちおうクチと目があるから、笑ってる=(#^^#)とか、困ってる=(;一_一)のかくらいは分かるけど、それ以外は分かりにくいから、こんな感じで表現してはんのかな?


「夏菜子さん、ええこと聞いてくれたなぁ! トヨウケっていうのは、伊勢神宮の外宮に祀られとう豊受大神とようけおおかみのことなんよ。」

「へえぇ・・・そうなんや。そんで、その神様って何の係なんですか?」

「まぁ、簡単に言うとアマテラスのご飯を用意するのと、一緒にご飯食べる係やな。ほら、この子は淋しがりやし、僕もスサノオも一緒におらんからね。」

「え?姫だいぶ甘えたやな?ご飯くらい一人で食べなあかんのんちゃうん?田島やあるまいし。」 わたしが言うと、姫が口をとがらせて抗議する。


「夏菜子ちゃん!甘えたってなによ!わたくしは、自分一人では食事が安らかにできないので、丹波国の比治の真奈井ひじのまないにいる御饌みけの神、等由気太神とゆけおおかみを近くに呼び寄せなさい、って言っただけで、それは別に甘えたとかそういう意味じゃ・・・!それに、食事だって特別なお膳を作らなきゃいけないんだし!」

「え?そやけど、淡路島でさんざん関東炊き食べたり、造り食べたりしたやん?なんなら、来る途中に淡路島バーガー食べたやん?アレはええのん?」


「ぐっ!・・・そ、それは・・・たまにだから良いのっ!いつも同じモノばっかり食べてると飽きるの!いっつも、蒸米と、鯛とか、ワカメ・昆布とか、あとお酒とか!・・・まぁ、お酒は好きだから良いけど・・・でもね、味付け無いんだよ!お味噌汁もないの!しかもそれ、1500年間ずっと同じなんだよ!しかも・・・しかも!外宮から内宮まで運んでくるからいつでも冷めてるし!夏菜子ちゃん、そのご飯、一人でもくもくと食べてたら悲しくならない!?」


おー・・・こんなテンション高く叫んでる姫、初めて見たかも。そやけど、そんな美味いことなさそうなご飯、ウチやったら嫌やな。 まぁ、とりあえず、田島はご先祖も料理が苦手やったんは分かった。それをいうと、ヒルコ様はブルブルっと身を震わせて(;・∀・)こんな顔になる。


「いやまぁ・・・夏菜子さん、神へのお供えって、美味い不味いだけやなくてね・・・なんちゅうんかな、トヨウケ姫は食物とか五穀の神やから、食べ物への感謝の意味もあってやってることなんよ。」

そうなんや・・・姫くらい大物の神様やと大変なんやな。


「ところで、それが何で田島と関係するんですか?」わたしがそういうと、田島がドヤ顔になって話始める。

「それ!さっきヒルコ様に教えてもらったもんね!なんかさ、ウチの近所の穴守稲荷って、トヨウケ姫?祀ってるんだって!」なにそれ?穴守稲荷ってお稲荷さんちゃうん?トヨウケ姫と何の関係あんの?

これについては、姫が解説してくれた。


「お稲荷さん・・・稲荷明神って、一人の神様じゃないの。なんていうのかな?何人かの神様をまとめて、例えば八幡とか、戎とか、稲荷神っていうのね。戎神社なら、兄様を祀ってたり、コトシロ君やスクナヒコナさんを祀っていたりするけど、全部えびす神社っていうの。稲荷明神も同じで、トヨウケ姉様とか、ウカノミタマちゃんとか、ウケモチさんとか、オオゲツ姉様とか、あと、仏界のオブザーバーの荼枳尼天だきにてんさんとか、みんなでワンチームなのね。ほら、夏菜子ちゃんと美紗ちゃんの部署でもそうでしょ?で、穴守稲荷はトヨウケ姉様の担当なのよ。」

なにそれ、急に世知辛い。


「ところでヒルコ殿、なんで、この文化庁のお嬢さんを姫と一緒に石清水に行かせるんや?」

太子のおっちゃんが聞くと、ヒルコ様はぐるんぐるんと縦回転をした。うーん、そのジェスチャー、どういう意味なんやろう?


「まっ、それはおいおい分かりますよって。それより、僕たちも少しばかり太子様のお役に立たせてもらいますわ。なぁ夏菜子さん、美紗さん、僕とLINE交換してくれへん? ちょっと戎チームで調整してからやけど、イベント企画するから、そのアレ君言う子に頼んでSNSで拡散してほしいねん。」

なんやなんや、イベントとか拡散とかって。メッチャ神様やのにだんだん神秘色無くなってきたな・・・


【 ヒルコ様は西宮育ち!?&姫の切実な「冷や飯」問題 】

お読みいただきありがとうございます! 今回は、可愛らしいヒルコ様の「意外と怖い警告」と、アマテラス様の「食事への不満爆発」という、高低差の激しい回でした。


① ヒルコ様の「西宮弁」: 西宮っていうのは兵庫県のハイソな住宅地です。なのでヒルコ様は、太子様や夏菜子が話すコテコテの河内弁で無くて、少しハイカラで上品、かつ兵庫県のイントネーションで話します。このヒルコ様、見た目は可愛いですが、話してることはすっごく哲学的でシリアス。ピョンピョン跳ねながら、怖いことをサラっと言います(汗)。


② アマテラス様の「冷ご飯」: そして、姫がブチ切れていた「1500年間、味付けなしの冷めたご飯」。 これ、実は結構リアルな神話事情なんです。伊勢神宮では毎日朝夕、神様のお食事を用意する「日別朝夕大御饌祭ひごとあさゆうおおみけさい」が行われていますが、火を使う調理場から正宮までは距離があり、運んでいる間にどうしても冷めてしまう…と言われています。 しかもメニューは水、塩、米、魚、海草、野菜…と超ヘルシー&素材の味そのまま。 そりゃあ、たまにはカントウ炊きやハンバーガーも食べたくなりますよね(笑)。


さて、美紗ちゃんが実は、お稲荷さんでした!?

この「お稲荷さん(稲荷神)」、一柱の神様ではありません。なので、実際にお稲荷さんにお参りすると、ウカノミタマやトヨウケなど、食や農耕に関わる色んな神様が祀られています。

皆さんのお近くに「お稲荷さん」があったら、是非どなたが祀られているか、確認してみて下さい。


さて次回、一行は移動の途中でお昼ご飯を食べにサービスエリアに寄ります。シリアスな話の後は、腹ごしらえが必要ですよね!。たこ焼き、カスうどん・・・うーん、何が良いかな?

次回の更新は、12月24日(水)です。

クリスマスだけどぜひお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ