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第22話: 護衛は新選組?っていうか、これ公務なん?とりあえず西宮に出発や!

翌朝、わたしらはいつも通り職場に行った。

「一人でおるんは危ない」と太子のおっちゃんに言われたから、田島の家に泊まったけど、問題はアレ君やった。

「コイツは今回の作戦の要や。一人でおったら狙われるかもしれん。かと言って、人間はここ(神域)には長時間おれん。夏菜子と美紗ちゃんだけのうて、アレ君にも専任の護衛をつけなアカン。姐さん、ええやろ?」

太子のおっちゃんが言うと、八幡さんも大きく頷く。


「まぁ・・・あまり昔のもんとちゃう方がええやろな。言葉通じへんし。えーと? あ! としちゃん! ちょっとちょっと・・・アンタんとこの活きのええん3人くらい貸してんか?」

すると、明治時代ぐらいの軍服きたイケメンさんが、そばに来て、八幡さんに軽く一礼した。

「なんですか、女将さん・・・あぁ、そう言うことでござんすね。じゃあ、総司とガム新をつけましょう。あと一人? うーん・・・薩摩方ですが、まぁあの御仁なら・・・」


彼がそう言って手をパンパンって鳴らすと、浅葱色あさぎいろに白い山形の「だんだら模様」が入った羽織を着たお侍さん二人と、軍服姿のもっさいお兄さんが出てきた。

「歳さん、何でぇやぶから棒に・・・え? この娘っ子の護衛だぁ? おい総司、どうするよ?」

「どうするって・・・永倉さん、これも俺たちの仕事なんですからしょうがないでしょう。あぁお嬢さんたち、挨拶もしないですみません。僕は新選組一番隊組長、沖田総司。こっちは二番隊組長、永倉新八さんです。あれっ? 土方ひじかたさん、なんで、あいつがいるんですか? いやちょっとあいつと一緒はやだなぁ・・・」

羽織を着ているのは、なんかゴッツイおっちゃんと、色白の爽やかな好青年やったけど、その二人は軍服のお兄さんをみると、露骨に嫌そうな顔をする。


「おいガム新、総司、早々嫌な顔をするもんじゃねぇ。ご維新なんてとうに昔のことなんだからよ。半次郎さん、悪いがこれも女将のたのみだ。堪えてくんな」

土方さんに「半次郎」と呼ばれたお兄さんは、案外気さくにうんうんと頷く。

「よかよか。オイもおはんも、幕末じゃ斬り合うた仲じゃっどん……なぁに、オイさえ西南の役じゃ賊軍に落ちもした。天子様の御代も令和ちゅうて、あの頃とは様変わりしたもんごわす。今更いがい合うても始まらんて」

うん、まぁ、なんか大丈夫みたいや。半次郎さんエエ人っぽいし。割と日本語分かりやすいし。

(※後で聞いたんやけど、この人、人斬り半次郎こと桐野利明きりのとしあきさんらしいで……ヒエッ)


で、アレ君はと言うと…八幡さんがまた別のお侍を呼ぶ。

「次郎三郎、そなたの家中で腕の立つ者はおるかえ?」

「ならば、十兵衛三厳は如何でござろう? 一人でも十人並みの働きを致しまする」

八幡さんが「良い、これへ」と言うと、そのおっちゃんも手をパンパンと鳴らす。

そしたら、もんのすごく目つきが鋭くて、左目に眼帯をしたお侍さんが出てきた。


「うわ…めっちゃ怖い…」

ウチらがびびっていると、その人はアレ君の前に平伏した。

「柳生十兵衛三厳(みつよし)、大御所様の命により推参つかまつった。アレクセイ・銀次郎殿、何卒御願申候おんねがいもうしそうろう・・・」

え? 申候? 回転焼のチェーン店?

うわー・・・こっち当たらんでよかった。すでになに言うてるか分からへん。



そんなこんなで、アレ君を家に送って、田島のマンションに着いた時はだいぶ遅くなってた。

アレ君に「ごはん一緒に食べていきぃや」って言うたけど、

「今日会ったばかりの女の子のえ(家)さあがるのはさっと…二人どもめんけし(可愛いし)おいが困る」

とか言うて断られた。

っていうか、アレ君ちょくちょくウチら見て「めんけ」って言うん何なん?それでなんで顔赤いのん?


ともかく、わたしと田島は出勤して有休とらなアカンな〜、って言うてたら、翌朝、課長がやってきた。

「おはよ、小路くん、田島くん、急ぎで申し訳ないんやけど、昼から西宮市役所に行ってくれへんか? なんでも、文化庁から西宮神社の視察に来るらしいんやけど、そこの担当者が君らと話がしたいとか?」

「え? なんですかそれ? わたし、文化庁の人なんて知りませんよ? 田島知ってる?」

「知らない。ってか課長、ウチら神社のことなんか知りませんよ? 何ですか?」

せやけど、課長も首を捻ってる。よう分からんみたいや。


「なんやろなぁ…アレちゃう? お寺とか神社で学童保育するみたいな」

えー何やそれ…ウチら早よ姫と一緒に西宮行かなアカンのに…うん?

そんな時、ウチと田島のLINEが同時に「ライン!」って鳴った。

ひょっとして…見たら太子のおっちゃんからやった。

『よう夏菜子! おはよう! 手ぇ廻しといたから、直ぐに姫と西宮神社行ってくれ。あ、しばらく泊りやから着替え持ってけよ。ほな!』


手ぇ廻しといた? え、そんなん出来んの? しばらくってどのくらいやねんな?

そう聞くと、また「ライン!」って鳴った。

『まー、奈良とか橿原とか、多武峰とうのみねいったりするから2週間くらいや。あ、ワシも一回天王寺帰るわ。そや、叡福寺いこや。河内ワインでイタリアン食わしてんか、頼むで~』

なんやコレ? 軽い人やな・・・せやけど、田島の方はノリノリやった。

「やった! これマジでっ!? あーし奈良って行ったことないんだよね~! しかもコレ全部仕事あつかいじゃね!? 楽しみ過ぎんだけど!」

「いや~、田島なぁ、そんなウマい話ないんちゃう? まぁとりあえず泊る用意して姫迎えに行こか」


おのころ島神社に行くと、太子のおっちゃんがニコニコ顔で待ってて、その横には目の下にクマのできたアレ君、Tシャツに短パン、スニーカーの姫が待っていた。

可愛い~! ラフなカッコも良いやん!


「夏菜子ちゃん! 美紗ちゃん! おはよう! ごめんね、急なことで。ちょっと遠出になるけどよろしくね!」

「おう夏菜子! 美紗ちゃん! 急に言うて悪いの! せやけどこういうことはサッサとせんとな! そやしアレや、ちゃんと仕事にしたさかいに、有休の残り日数気にせんと行けるやろ?」

「いやおっちゃん、2週間長ない? それ全部仕事って・・・ようそんなウソ通じたな・・・」

ウチがそういうと、おっちゃんがちゃうちゃうって言う。


「夏菜子! これちゃんとマトモな仕事やって! ワシオマエ、文化庁の上の方にな、ツレおんねんて! ほんでそいつに言うたらやな、それは一大事ですね、是非当庁としても協力します、ってなってんて!」

「おっちゃん、それは良いんだけどさ、あーしら結局なにしにどこ行くの? イミフなんだけど?」

田島がいうと、おっちゃんはおうそやそや、と言って巻物を出してそれを広げた。


そこには、それぞれのミッションと何処に行って何をするのか、みたいなことが書いてある。

「とりあえずは、西宮にいってヒルコはんに姫を会わせなアカンけど、問題はそっから先や。姫には京都の石清水八幡宮に行ってもらって、そこで姐さんとその軍勢に守ってもらう。でな、美紗ちゃんは姫と一緒に石清水に行って欲しいねん」

「あーしが? なんで?」

「いや、それはワシらにもよう分からんねんけど、それがええんやと。なぁアレ君?」

すると、眠い目をこすりながらアレ君が頷く。


「んだな、金烏玉兎集ver2.0で、アクションプランのDeepResearchさ行ってみだんだども、別パターンで複数プロンプトで実行してみでも、姫ど同行するのは美紗さんがベストだって出るんだよね。理由は良ぐ分がらねんだげど・・・」

「ん? そうなん? まぁアレ君がそない言うんやったらええけど。ほんでウチは何すんの?」

「なんや! 言うたやろ! 奈良とか橿原とか、多武峰いったりするって! オマエはワシと一緒に挨拶回りと根回しやないか!?」


「ウチそんなん嫌や! 何が悲しぃておっさんと旅行せなアカンねん! そんなん聞いてへんし!」

ウチが駄々をこねると、姫も不安に思ったみたいで、おっちゃんに意見した。

「ねぇウマヤド君、挨拶回りと根回しって、二人だけで良いの? わたくしから直に頼んだ方が良いのではなくて?」

「なに言うてんねんな! そんな危ないこと姫にさせられるかいな! そんなんええからはよ行こうで!」


「まーまーまー、みんな落ち着こうよ・・・やっぱさー、こういうのって、いきなり結論に飛びついちゃうの良くないって思うわけ。アレだよ、西宮に着くまで時間かかるからさ、車の中でゆっくり話そ? ね?」

田島がそう言って皆を宥めてとりあえず出発することになってけど、田島は言いながらわたしの方を向いてウィンクした。ん? コイツなんか企んでる?


それで、じゃあみんなで田島の車に乗ろうって思ったら、アレ君が待って待って、って声を掛けてきた。

「えぐ前にさっとこれインストールしてけれ」

なにこれ? アレ君はスマホの画面に怪しげなQRコードを出した。

「なにこれ?」

言いながらスマホのカメラをかざすと、リンクが飛んで「神兵召喚プログラム」っていう怪しげ文字が表示されて、勝手にアプリがダウンロードされていく!

「ちょ! アレ君、これなんなん!」


「さっと昨日思いづいで作ったんだよ! 天津軍あまついくさは強力だんだども、銃や刃物みんた人間がらの直接的な攻撃がら身守れねべ? んだんてサーバント物理空間さ召喚でぎる、的なやづ作ったわげ! ちなみに召喚のエネルギー電気だんて、スマホのバッテリーはなるべぐフル充電維持して予備のバッテリーもたがいどいでね!」

ちょマジか・・・アレ君天才やな・・・


「そいだば、おいだば真魚さんと一緒さ高野山さえぐがら。もしアプリのごどで不具合起ぎだらすぐ連絡してね。すぐ直してアップデート用のリンク送るがら!」

そんな感じで、わたしらはアレ君と別れて西宮に向かって出発した。


ご覧いただきありがとうございます。


さて、いよいよ旅の始まりです! アレ君は真魚(空海)と共に高野山へ。 そして、女性陣の護衛として現れたのは、なんと新選組と薩摩の英傑! さらにアレ君には柳生十兵衛まで!


八幡神(神功皇后)が武家の棟梁として崇められてきた歴史があるからこそできる、豪華なキャスティングです(笑)。 土方さんが「歳ちゃん」呼ばわりされているのも、神様ならではの距離感ですね。


そして、アレ君が徹夜で開発した「神兵召喚プログラム」。 これが今後の旅路でどう活躍するのか……スマホのバッテリー残量が命綱!?


次回は西宮神社へ。 意外な人物との再会(?)が待っています。


次回、第23話は【12月18日(木)】の更新予定です。

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