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第17話: アレ君争奪戦の真っ最中?っと思ったら、いきなりバトルなん!?

太子のおっちゃんがじっと聞いてたけど、ひと通り聞くと真魚さんの方を向いた。 「真魚よ、どう思う? …物部(もののべ)中臣(なかとみ)のやり方やないのう?」

「まぁ、あの御仁(ごじん)らやったらこないに周りくどいことはせんでええわな。まっすぐここを狙うて天津軍(あまついくさ)を送り込んでくる。だいたい、鎌足(かまたり)はんには鎌足はんなりの大義がある。少なくとも姫を害そうとはせんやろ。物部はどないやねん?」


真魚さんが聞くと、太子のおっちゃんは手を広げて溜息をついた。 「うーん…アイツらは惟神(かんながら)の国の純粋性を保ちたかった連中やからなぁ…それがワシと喧嘩した原因やし。それが、人間風情が連れてきた化けモンと姫をくっつけようとは思うか? だいたい、アイツらは外宮の女将さんの赦しがないと姫の宮にまで入れん。いちおう謀反人扱いやからな」


ここで姫が手を上げた。 「あの…良いかしら? あの化け物を連れてきたのは飽くまで人間だったわ。神霊は誰もいなかったし、ウチの神職たちは皆んな嫌そうな顔をしていたから、少なくとも伊勢の道統の者たちが考えたことでは無いと思うの」


これには、みんなが驚いた。 でもウチらとアレ君には意味がわからない。

「なぁ、八幡さん、それってどう言う意味なん?」 「あぁ、そうか…夏菜子ちゃんらはあんまり知らんねんな。伊勢のお宮を守ってるんはな、伊勢神道って言うんやけど、この系統は元を辿ると藤原氏…ええと、中臣鎌足って知らん? 鎌足くんも神さんで、いちばん関係ありそうなんはあの子やけど、どうも知らんみたいやな…」


ただ、これに道真さんは異論があるみたい。 「いや、姐さん、そんなことあります? 鎌足様は談山(だんざん)神社のご祭神でっせ? この1400年くらい、国の祭祀(さいし)に睨みを効かしてはるやおまへんか? そんな人にバレんとことが運べます?」

それもそうやな…皆んなが腕を組んで考えていると、人の形をした紙切れが小角のおっちゃんのところに飛んできた。 「む? なんやて? ほうか…よし通せ」 おっちゃんが紙切れに向かって言うと、そこに光の渦が現れて、中から二人の人が出てきた。


「お館様、皆様、御前に(まかり)り越す無礼、お許し願いたく…」 赤い皮膚をした男の人が言うと、続けて青い皮膚の女の人が続ける。 「前鬼、後鬼、推参いたしました。伊勢のお宮で見て参ったことを申し上げたく…」

二人を見た田島がアッと声を上げる。 「な! 何アレ! 角が生えてる!」 あ、そうか、田島は知らんねんな。 「ちょっと、大きい声だしなや。お二人は小角のおっちゃんとこの社員や。知らんか? 夫婦の鬼神って」 ま、ウチは葛城(かつらぎ)山と金剛山の麓やからね。マジで角生えてるやんとは思たけど、神さんと仏さんおるのに今更やろ。

「知らないよ…え? アレ君何ともないの? 怖くない?」 「? いや、アレだべ? ナマハゲみだいなもんだべ? いやー、子供の頃よぐ見だなぁ。っつうかホレ、」 あ、そやそや。前鬼はんと後鬼はんの話を聞かんと。


「お館様、伊勢の宮ですが、妙なモノが…」 「妙なもの? それは何や?」 小角のおっちゃんが聞くと、後鬼はんが報告を続けた。 「は、おそらくは政府の関係機関のようですが、宮の結界の中に当世風の…ラボのようなものが作られておりまして…」

「ラボやて?」 道真さんが身を乗り出す。 「はい、そのラボに、Homines creavit corp.というロゴの入ったトラックが入って行きました」


そこまで聞くと、アレ君が大きく頷く。 「当たりだべ」 その言葉に皆が驚いたけど、アレ君はそのまま後鬼はんに質問した。 「後鬼さんでしたっけ? そのラボか、トラックには、スパコンどが、データサーバーみだいなものは()がったが? あど、培養槽みだいなものどが?」

「はい、私は人界の最新の機械にはさほどは詳しくございませんが、言われてみれば、左様なものがございました。大きなガラスでてきた水槽のようなものとか、大型コンピュータのようなものが何台も…しかし、それ以上は宮を警護する天津軍がおったゆえ、早々に退散致しましたが…如何なさいました?」


アレ君は、一回一回うんうんと頷くと、確信したように真魚さんと道真さんの方を向く。 「間違いね。これは人間の仕業だす。多分だんだども、そいづらは人造の生ぎ物AI使って合成するべどしてら。真魚さん、お聞ぎになりだがったのはそんたごどだべ?」


それを聞いた真魚さんはウーンとうなって膝を叩いた。 「いや! こいつはたいしたもんやな! 夏菜子、美紗! ええ男を連れてきたやないか! ・・・どないやねん? おまえらどっちかコレを婿にせんのか? せぇへんねやったら姫にくれてやれ!」

でもそれを聞いた姫は顔を真っ赤にする。 「な! 何言ってるの、真魚さん! それはさっき・・・えーと、ダメとは言ってないけど・・・」

「ちょっと真魚さん! 勝手に話進めないでよ! まだ結婚しないとかいってないじゃん! いや、付き合ってもないけど! ちょっと夏菜からも何か言いなよ!」

「おい田島、ウチを巻き込むな。あ、でも・・・」 と隣を見ると、アレ君が真っ赤になってあたふたしてた。そんでウチと目が合うと、困ったように笑うんやけど、それが可愛くてウチも思わず目を逸らしてしまう。

「おー、なんやなんや! みんなまんざらでもないみたいやな! おいアレ君! 娘3人から惚れられるとか、エライ果報モンやな!」


「おいおい、真魚よ、たいがい(いい加減)にしとけや・・・話が先に進まんやろ・・・ホンマにコイツは昔から・・・まぁそれはええわい。なぁアレ君、人間らが人造の生き物をAIを使うて合成、ちゅうんはどういうこっちゃ?」

呆れた太子のおっちゃんがアレ君に話を促すと、彼はノートを取り出して簡単なスケッチを描いた。


「今日、夏菜子さんと美紗さんから見せでもらった金烏玉兎集の最後さ書がれだ反魂法、集める材料は(およ)そ現代的に見れば意味のねものんだども、呪詛や印…って言うんだすかね? アレらは音や図形使って、超自然的な存在さ働ぎがげるのだべ? 図形はディスプレイやプロジェクターで再現でぎるし、呪もボーカロイドさ発声させられる。そしてアミノ酸合成装置んだども、それはAIが指示した塩基配列作るごど自体は多分でぎるすが、言ってみればそれは命の無ぇ肉の塊だす。んだども、それに反魂法で命与えれば…」


仮初(かりそめ)の命が出来上がる…っちゅうわけか…」 太子のおっちゃんは頷いたが、アレ君は首を横に振る。 「ただ、おいが分がらねのは、それは言ってしまえば赤子のようなもので、何の意思もねデク人形みだいなものだす。そんたの作ってどうするんだすかね?」

そこで、真魚さんが鉛筆でアレ君のノートに何か書き込んだ。 「なぁアレ君、呪詛も加持祈祷(かじきとう)も似とるんやが、人の願いを書き入れる。君、知っとるやろ。SNSで人の意見や欲求みたいなモン、集めてここに入れられるんちゃうか?」

「データサイエンスだべ! なるほど! そしたらこの生ぎ物、意思さ持づがもしれね!」


「しっ! 皆さん、何か気配がしまっせ! 姐さん!」 アレ君と真魚さんが結論に興奮してると、道真さんが緊張した顔でわたしらに静かにするように言うた!

「あぁ道真、網に引っかかりよったな! 敵や! 者どもであえ!」 八幡さんが合図をするのと、境内が歪んで光る渦が開くのが同時やった。 そこには、黒服の男と、白い服の男たちが何人も出てくる。ソイツらは何か、武器みたいなものを持っていた!

「銃を持っとる! 道真、人の子らを下がらせろ! (いくさ)ども! 弓を射よ! 小角はん!」 「はいよ! 前鬼、後鬼! かかれ!」

え!? いきなりバトルなん!? どうしよ?


ご覧いただきありがとうございます。


役小角の忠実な使役神、前鬼・後鬼ぜんき・ごきが登場しました。 修験道の伝説ではお馴染みの鬼夫婦ですが、この物語では小角さんの優秀な「社員」として働いています(笑)。


そしてアレ君が導き出した、敵の正体。 「AI × 呪術 = 人造生命の創造」。


荒唐無稽なようですが、言霊や呪符を「プログラムコード」として捉え直すと、現代科学との親和性は意外に高いのかもしれません。 敵の社名「Homines creavit(人間を創造した)」が示す、その傲慢な目的とは……?


ラストでついに敵の襲撃が始まりました!次回、神仏オールスターズ vs 最新鋭の特殊部隊。 ド派手なバトルの幕開けです!


続きが気になる!と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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