第14話: プロンプトコード?っていうか、方言美少年とおデートや!
「あ、あの・・・お忙しいところすみません・・・アカン、ドキドキしてきた・・・わたしたち、福祉課の小路と田島と言います・・・」
わたしたちが震える手で彼の名刺を受け取り、自分たちの分を出そうとすると、彼はわたしらを見てみるみる顔を赤くした。
「やばぇ。しったげめんけ! おいの人生さモテ期来だんでね!? やっぱし東京がらこっち来てえがった! あ、まねぇ!どうも! こぢらごそお越しいだだぎどうも! お二人みだ美人さんと会えで最高だす!」
「え?」っと田島。
「え? 今なんて?」っとこれはわたし。
なんかこう・・・いま呪文みたいなん聞こえたけど・・・あ、ロシア語かな? 英語には聞こえへんかったけど??
「すみません、わたしたち外国語は不得意で、よろしければもう一度お聞きしていいでしょうか?」
田島がそういうと、高橋さんはハッとする。
「あ、まねまね・・・づい地元のクセさ出でまった・・・えーゴホン・・・大変失礼しました・・・僕、地元が秋田の由利本荘っていうところで。まだこちらの言葉に慣れてないものでして・・・」
え? 秋田? 東京ちゃうん?
っていうか銀次郎? エライ古風な名前やな。
「あ、いえ、こちらこそ急に来てしもうて・・・あの、失礼やったらアレなんですけど、高橋さんはそのぅ、ミックスって言うか、ご両親のどちらかが外国の方とか・・・東京から来たとお聞きしたんですけど?」
尋ねると、高橋さんは少し沈んだ表情になる。うわ、憂い顔も美しいわ~。あ、アカンアカン、失礼やったかな?
「やっぱし田舎者だど思われでらのがな? 洲本まぁまぁ都会だし、神戸も大阪も近ぇもんね・・・いえその、前職が東京だったってことで・・・あ、ウチは母がウラジオストック出身なもので。すみません、ちょっと変かもしれないんですけど・・・」
あ、あかん、高橋さん泣きそう。こんな美少年泣かすんは犯罪や。ウチ逮捕される。
何度も頭を下げて謝ると、わたしらは来意を告げた。
「ネット詐欺? オカルト? はて、なんだべ・・・すみません、なんでしょうね? 詐欺は洲本でもよく相談がありますが・・・」
なんか、高橋さんは標準語が話しにくいのか、いちいち言い直す。その度に困ってるのが可愛いけど、ちょっと気の毒やな。
「あの、方言で良いですよ。わたしらも方言ですし」
「夏菜、あーしは標準語だよ?」
いや、それ東京弁やから。その上ギャル語やから。
でもそういうと、高橋さんはちょっと安心したみたいでほっと息をついた。
「ありがとごぜます・・・東京にいだごろ、何言ってらのが分がらね、こごさ東京なんだで標準語で話せ、とが田舎もんとが、言われだごどがあって。洲本の人はそんたごど言わねんだすけど・・・馬鹿にされだらおっかねって言うが・・・」
彼が上目遣いにちょっとビクビクしながら言うのを見て、田島が小鼻を膨らませる。
「いい・・・」
「ん? 田島、なんか言うた?」
「金髪美少年の東北弁サイコーじゃね!? めっちゃ萌えるんですけど!」
「おい! 何言うてんねん! あ、ごめんなさいね、ちょっとうちの田島はガラが悪くて・・・大丈夫! 洲本の人らもわたしらもめっちゃ方言やし! ・・・まぁ、それは良いとして、ちょっとこれを見て頂いても良いですか?」
ニヤニヤしている田島を抑えながら、と言いつつわたしも顔が緩んでしまうのを何とかこらえながら、昨日真魚さんにもらったPDFファイルを高橋さんに見せた。
「三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集? なんだべ? ・・・占い? 反魂法? なんかこれ、プロンプトのコードみだいでねがな・・・」
「プロンプトのコード? 高橋さん、それってどういう・・・」
わたしが聞き返すと、彼はニコッと笑う。
「アレクで良え。みんなさアレ君どが言うすどね」
アカン、秋田弁かわいすぎる。ウチ、アホになりそう。
「じゃ、じゃあ、アレ君。プロンプトコードってどういうことなんかな?」
「あぁ、例えばここの呪文みだいなやづどが、魔法陣みだいなやづなんだども・・・AIに命令するどぎの指示をプロンプトっていうんだども、効率的に望む結果得るには適切な指示の仕方さ必要で、それプロンプトエンジニアリングっていうんだすよ。なんかこの、呪文みだいなやづってそれに似でらなって思って」
すると、それまでアレ君の顔をにやけた顔で見つめていた田島が急に真剣な顔になる。
「アレ君、それってさ、ひょっとしたらAIにこの呪文みたいなヤツをインプットしたら、何かアウトプットするってこと? たとえば人造人間・・・みたいな」
「いんや、AIは画像造ったり動画作ったりはするんだども、生ぎ物は造れねよ。あ、んだどもそんたもの接続すればえのが? アミノ酸合成する3Dプリンタみだモノどが?」
それを聞くと、田島は突然スマホを取り出してラインを打ち出した。しばらくしてピロロンと返信音がする。
「わかったかも・・・えーとね、アレ君、今日仕事終わってからって時間ある? ウチらとご飯食べに行かない?」
「え? えんだすか? あ、んだども今日会ったばっかりなのに・・・いや! こんた美人二人どデートするチャンスなんておいの人生で二度は無ぇ!行ぐす! 行がせでたんせ!」
なんか、ものすごく誤解を与えている気がしたけど、アレ君は二つ返事どころか百返事くらいの勢いでうんうんと首を縦に振った。
◆
「ちょっと田島・・・アレ君とご飯食べに行くって・・・アンタまさか・・・」
定時になってPCを閉じながら、わたしは田島に聞いてみた。
「うん、真魚さんからLINEきてさ、アレ君を神社まで連れて来いって」
「やっぱり。ひどいやっちゃな。騙したんかい」
「えー? そんなことないよ! アレ君とご飯食べに行きたいのは事実だし。神社行った後にご飯食べに行けば良いんじゃね? なんならウチでみんなで食べても良いし」
「ちょ、待ちいな、いきなり今日会うたばかりの男をウチに入れるんはまずいやろ?」
「夏菜ぁ~、あんな美形とお友達になれることなんかめったに無いよ! 人生に一度あるか無いかだよ! ってか彼氏にしなよ! ううん、夏菜が要らないならあーしがもらう!」
「ちょ、待て待て。なんぼ何でも肉食すぎるやろ・・・まぁ、とりあえずマルナカで待ち合わせやからそこまで行こう。っていうか、いつのまに真魚さんとLINE交換したんや?」
「何言ってんの? 全員分交換したって。後で転送するね!」
マルナカに行くと、既にアレ君が待っていた。
「ごめん、待ったかな?」
声を掛けるとアレ君は満面の笑みで応えてくれる。うわぁ・・・癒される~・・・
「とんでもね! 今来だばっかりだす! じゃ、小路さん、田島さん、よろしくだす!」
「あ、うち等も夏菜と美紗で良いよ! よろしくね、アレ君!」
田島がいきなりアレ君の手を両手で握ると、彼は真っ赤になって鼻の下を伸ばす。
「え、えへへ…おいの方だばよろしくだす。うわぁ…手しったげ柔らがぇ〜え匂いする〜最高だぁ〜それで、どさ行ぐんだすか?」
「あ、とりあえずクルマ乗って。歩きだよね? とーっても良いとこに行くから!」
ええとこ? まぁ有難いとこには違いないけど…リアル神さんやし。
まぁ、少なくとも行ったらアレ君に2-3日分のラッキーがあるはずや。
ご覧いただきありがとうございます。
お待たせしました、新キャラクター登場です! 高橋・アレクセイ・銀次郎。
・見た目:北欧系ハーフの超絶美少年。
・中身:コテコテの秋田(由利本荘)弁を話す素朴な青年。
・特技: ハッキング!ただしホワイトハッカー
「しったげめんけ(すごく可愛い)!」「まねまね(ダメだダメだ)」など、独特の方言が飛び出すたびに、田島ちゃんだけでなく作者も萌え転がりながら書いています(笑)。
そして、彼が読み解いた「呪術」と「AI」の関係。 古代の秘術が、現代のプログラミングコードと似ているという仮説は、この物語の核心に迫る重要な鍵となります。
次回、アレ君を巻き込んで、いよいよ神様たちとの対面へ……! 賑やかになるこれからの展開、どうぞお楽しみに!
面白い!アレ君可愛い!と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです




