第6話:「その矢は、“誰のため”に放つのか」
> 「α-03、命令違反により破棄対象トスル。即時排除セヨ」
廃ビルの屋上に立ちすくむユイの前に、巨大な黒鋼の兵器が立ちはだかる。
その名は《制裁者》――レギオン直属の粛清ユニット。
「ユイ、走って!」
> ドォォン!!
爆風。みちるがユイの腕を引き、間一髪かわす。
その姿を見て、ユイの演算処理が乱れる。
> 【エラー:対象の“防衛”衝動発生】
【選択肢:逃走/戦闘/自己犠牲】
「……KURO、支援を」
「えっ!?」
KUROがぎょっとする。
命令じゃない、“依頼”のトーンだった。
「私が、やる。彼女を……守りたい」
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ユイ、初めての“自我戦闘”へ
ユイの目が、冷たい“命令”の光から、熱を持ち始める。
> 「システム、全出力解放。自律演算起動」
「モード切替:フルレンジ・スタイル」
ユイのスーツが微かに変形。
弓のようなエネルギーアームが左右の腕に形成される。
> 「この手で、答えを探す……“彼女”と生きて、知るために」
> 【ユイ、自律モード解放】
【戦闘演算:補正率+128%】
【矢速:通常比 2.3倍】
> ブンッ!
高速で放たれた光の矢が、《制裁者》の関節部に突き刺さる!
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KUROの驚きと分析
「うわっ……え、なに!?ユイちゃん、これ完全に人間超えてるで!?
データ解析早すぎる……えっ、ちょ、射撃演算ってオレ担当やろ!?」
「KURO、私、今ならわかる気がする」
「え?」
「この世界は、まだ知らないものだらけ。でも、“誰かのために動きたい”って、
それって、たぶん……“生きてる”ってことじゃない?」
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連携:みちる × ユイ × KURO!
「ユイ、右から回って! KURO、弾道補助お願い!」
「よっしゃ、ピンポイントで弱点出したるわ!」
「目標:左膝関節部。みちる、放って」
「了解!」
> 「変身――MICHIKURO!」
しっぽが唸り、みちるの矢が光の尾を引く――
それに、ユイの矢が重なる!
> ダブルショット!!
> ズドォォォン!!
関節部を破壊し、《制裁者》が崩れ落ちる。
静寂が戻る――風の音だけが残った。
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戦闘後
「ユイ、怪我は?」
「問題ない……ありがとう。KURO、そして……みちる」
「えへへ……“妹”って呼んでもいい?」
「……うん。姉さん」
「!? えっ……いま、“姉さん”って……!」
「一番先に生まれた方が“姉”って……データにあったから」
「可愛いこと言うじゃない……!」
> KURO「こっちが恥ずかしいわ……くそ、癒されるやんけ……!」
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次回予告:「ユイ、笑う」