第4話:「もう一人のヒロイン、“妹機”現る」
「みちるくん、敵勢力からの警戒信号だ。これは……ただの雑魚じゃないぞ」
Dr.Hの声が珍しく緊張していた。
深夜の港湾地区――薄闇に包まれた倉庫群。その一角、異様な静寂が漂っていた。
空気が、重い。
みちるはKUROとともに現場に急行。だが、そこに敵の姿はなかった。
「……おかしいな、反応はここなんだけど」
「気ぃつけや、背後や。来る――!」
> キィン――!
一閃。
鋭く、冷たい斬撃が空気を裂いた。
ギリギリでみちるは飛び退き、その場に着地した“それ”を見て、思わず息を飲む。
「なに……あれ……」
そこに立っていたのは――自分と、ほぼ同じ姿の“少女”だった。
肌の露出を抑えた、紅を基調にした競泳スーツ型メカスーツ。
髪は白銀、瞳は深紅。そして、腰には黒く長いブレードのような尻尾。
「――“α(アルファ)-03”、起動完了。対象:月影みちる、破壊命令確認」
「えっ……何それ、私狙い!?」
少女は無表情。だがその身体から発される圧は、みちるを一瞬で警戒させるに足るものだった。
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ライバルの正体:コードネーム《ユイ》
コード名:α-03 YUI
種別:対みちる用・戦闘特化改造ヒューマノイド
由来:Dr.Hの初期研究データを元に、敵勢力が独自に製造した“みちるの姉妹機”
性格:無感情・命令忠実・冷静沈着
> 「わたしはあなたを倒すよう、プログラムされている。理由など不要。戦うのみ」
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初戦:ユイ vs みちる
> 「変身っ!!(もう! 今日こそはスーツ変えてって言ったのに~!)」
「KURO、援護お願い!」
「了解、みちる。気をつけろ、この子……マジでヤバいで」
両者、射撃と接近を交互に繰り出す戦闘。
ユイの武器は、“重力操作”を用いた変則軌道の近接斬撃――みちるの弓の追尾をかいくぐって迫る。
「くっ……この子、普通じゃない……」
「そらそうや、君を倒すためだけに生まれた“対ヒロイン兵器”やからな……」
> 「……あなたの動き、解析完了。次で終わる」
ユイの手から放たれた漆黒の光が、みちるを直撃寸前――
「にゃっちょっと待ったァァア!オレ様の見立てナメんなやァ!」
> KUROがみちるの胸元から強制出力され、光のバリアを張る!
> 「融合、いっとく!? にゃんッ!!」
> 「やるしかない――MICHIKURO、起動っ!!」
融合形態“猫耳競泳水着ver.”に進化したみちるが、一閃。
「KURO、尻尾操作お願い!」
「しっぽブレード起動!右回転斬撃、いったれッ!!」
その尾が、ユイの斬撃を弾き、反撃の光矢がユイの肩を掠める。
煙の中、ユイは静かに呟いた。
> 「……次は、必ず仕留める」
そして、姿を消す。
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戦闘後
「くっ……逃げられた……あの子、絶対ただの敵じゃない……」
「……同型機やろうな、たぶん。君の“妹”や」
「……妹……?」
「Dr.Hが知らんってことは、敵側にスパイがいるかもな……さて、誰が君を作り直したのか――」
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(次回へつづく)