第1話(続き):「改造、美少女につき。」
第1話(続き):「改造、美少女につき。」
──変身。
その一言と共に、月影みちるの身体が、光と金属のきらめきに包まれた。
制服は消え去り、代わりに身体をぴたりと覆う、光沢のある黒いメカニカルスーツ。
まるで競泳用水着のようなそのフォルムは、機能性とデザイン性を両立した異形のボディ。
肘や膝には伸縮機構、背中にはエネルギー循環ノード、両目にはターゲットスキャン機能。
「見よ! このフォルム! 柔らかいところは柔らかく! そうじゃないところはガチガチに硬質構造! 完璧だ、完璧だよ、みちるくん!」
「……ねぇ、あんた、絶対悪い人だよね?」
みちるは睨んだ。が、視界の端に浮かぶ情報表示や、自身の心拍数モニターなどが目に入り、驚きを隠せなかった。
「これ……何……? わたしの身体……もう、元には……」
「戻らない。君はもう、人間ではない」
Dr.Hは悪びれもせず言い放つ。
その言葉は、あまりにも淡々としていて、逆に恐ろしいほどだった。
「だが安心したまえ! 君の肉体は常人の200倍の強度を持ち、最大出力で大型トラックを素手でひっくり返せる。痛覚はカット、視力は赤外線と暗視対応、スタミナは常時自家充電可能なエコ仕様!」
「……エコって言うな!」
「戦闘も、護身も、生活も! 全部一台でOK! それが――**改造美少女《Project:MICHIRU》**だ!!」
もはやただの改造でもヒーローでもなかった。
すべては、Dr.Hの歪んだ理想とフェチズムの結晶体。
そして、みちるが問う。
「……なんのために、こんなことを?」
その質問に、Dr.Hはキラキラした目で答えた。
「うむ、それはもちろん……君があまりにも可愛かったからだ!!」
こいつ、やっぱりただの変態だった。
だが、変態博士の気まぐれは――
やがて世界を巻き込み、ひとりの少女を、本物のヒーローへと変えていくことになる。