終章
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動機のない人間などいるのだろうか。
その心のうちには何もなくて、空っぽで、本能の赴くままに犯罪を起こす。
そんな犯罪者も審馬の刑事としての生涯の中で、確かに存在した。
けれど思う。
空っぽになってしまう前に、強く訴えかける何が、その者にはあったのではないかと。
虚構の像に縋り付いて、自分自身ですら欺いて、頭の狂った犯罪者に成り下がらなければ、息もできなくなっていたのではないかと。
そこにあるのは、美しい物語ばかりでは決してない。
「神崎。もう一度聞く。お前のその中にある本当の動機は何だ」
審馬は神崎を見つめたまま、ほんの一瞬だけ言葉を切る。
沈黙は、いつも通り相手の呼吸を乱し視線を泳がせる。
この沈黙が答えを追い詰めることを、審馬はよく知っていた。
動機は、最初から言葉になってなどいない。
問い続けられ、否定され、掘り返され、逃げ場を失った先で、ようやく人は自分でも直視したくなかった本音を吐き出すのだ。
その答えは、どれほど醜くても構わない。
むしろ、醜いほどいい。
理屈でも理念でもなく、言い訳のしようもない衝動だけが残った時、人はようやく本当の顔を見せる。
そしてそこにある、人間臭くて欲にまみれた本性を引き摺り出してやりたいと、審馬は心の底から思うのだ。
「何が、お前をそこまで動かすんだ」
それは、審馬にとってセックス以上の格別な快楽なのだから。
ジャスティシア・インサニア 終
「ジャスティシア・インサニア」
これにて完結でございます。
長らくお付き合いいただき、
誠にありがとうございましたಠ◡ಠ
書き足さねばならないところもたくさんありますし、重要な設定も直さねばならないことが既に発覚しておりますಠ﹏ಠ
決して軽い作品ではありませんが、是非また時間を空けて覗きにきていただけたらと思いますಠ◡ಠ
約半年間。
誠にありがとうございました。
傘花




