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エイドスの地  作者: 黒石迩守
第一部 奴隷学校

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用語集Ⅰ

【アルト氏症候群】あるとししょうこうぐん――Alt syndrome

 VRPDの一種。

 肉体的、精神的に異常が見つからないのに、VRに対する知覚が鈍いのが特徴。

 また、成人しても消失しないため、BRの物理的肉体での知覚能力が発達しやすくなる。

 アルトというルクスリアの男性奴隷が初の症例として発見され、彼の名前から命名された。症例としては、イフルズが二例目の希少疾患である。


【異相知能】いそうちのう――Hetero-Intelligence

 通称ヘテロインテリ。

 人類とは異なる知能を指す言葉。その知性は人類からすると精神病質的で、納得はできるが理解できない独特の行動原理を持っている。

 根本的な発生からして、人類とは袂を分つ知能。

 【概念】も参照。


【概念】がいねん――Concept

 情報空間上に存在する合成知能。異相知能の一種。

 人類がKUネットを獲得したことにより、集合的無意識内に存在していた、抽象化され、捨象されることにより指向性を得たモノが、やがて一つの情報実体として自律的に存在するほどに完結したものが〝概念〟である。

 集合的無意識と密接に結びついて発生した彼らが有する情報空間上での能力は、ARMとは比較にならない程に強力である。

 彼らは自らの概念という特性を理解しており、それを体現するコミユニテイを欲しており、そのため、序列国家に所属し、その権威を保っている。


【拡張現実】かくちょうげんじつ――Augmented Reality

 通称AR。BRにVRによる情報を付加した環境を指す。広義ではBRの一部である。


【仮想現実】かそうげんじつ――Virtual Reality

 通称VR。情報空間、KUネット内で意識の現実を指す。


【仮想現実知覚障害】かそうげんじつちかくしょうがい――Virtual Reality Perception Disorder

 通称VRPD。

 文字通り、VRを正常に知覚できない状態を指す。

 たいていのVRPDは、BRとVR、どちらかの現実で物心がついた幼少期、二つの現実の自己認識に偏りがあったり、不安定だったりすることで発症する。

 成長による自我の発達とともに消失することがほとんどである。


【環境建築物】かんきょうけんちくぶつ――Arcology

 自己完結した閉鎖系の生態系としての機能を持つ建築物。

 スフィア・ドライブからサルベージされた混沌ケイオスに抗する技術が使用されており、人類の最後の生存圏となっている。


【機械仕掛けの生物】きかいじかけのせいぶつ――Creatura ex Machina

 通称CEM。完全に無機物からなる生物であり、有機体の炭素生命とは全く異なる生物。起源は宇宙からやってきた隕石とも言われているし、地球の奥底に遙か太古からいた生物とも言われている。

 個が存在しない種のみの群体であり、周囲の情報を吸収して、あらゆる環境に適応可能な完璧な擬態能力を持つ。

 また、生物の三定義(自己増殖能力・エネルギー変換能力・恒常性)に当てはまる特徴を持っているが、地球上のどの生物にも該当しないために『生命』と『生物』が厳密に分けられることになった。

 どういうことかと言うと、CEMでヒトを模したAIを搭載したロボットを作ったとき、そのままではそれがヒトであると言えてしまうことに対する区別である。


【擬験】ぎけん――Simulated Stimulation

 通称シムスティム。

 擬似体験のこと。個人の感覚の全てをデータとして、第三者が体験できる。


【基底現実】きていげんじつ――Base Reality

 通称BR。物理空間、物質的存在の意識の現実を指す。


【構造物】こうぞうぶつ――Dixie

 ディクシー・フラットライン。


【個別通信】こべつつうしん――Selective Calling

 セレコール通信。通称セレコ。

 特定の相手を呼びだして通信を行う。一般的な電話のイメージ。


【混沌】こんとん――Chaos

『すべてが在ってすべてが無いもの』。地表上に充ちており、あらゆる存在を呑みこみ、BR、VRを問わず情報の最小単位にまで分解する。

 存在の情報量を無限大に増大させる性質を持つが、ある程度の規模の系になると、そのネゲントロピーが情報量の増大を上回り、存在を保持する抵抗力を持つことが可能となる。この抵抗力を情報強度と呼ぶ。

 また、アーコロジーで人工太陽に利用されるように、必ずしも不可逆的なものではない。


【死滅遊離駆動記憶装置】しめつゆうりくどうきおくそうち――Apoptosis-Removable Media

 通称ARM。現在のCEMと同化した人類を指し、意味としては字面の通りである。地球から見れば、人類はやがて死滅してスフィア・ドライブに還るスタンドアロンの記憶装置ということである。

 ARMは、CEMによりVRを獲得したことから、情報空間インフオスフイア上でのコンピュータ的器官を具えており、それらは『オルガン』と呼ばれる。

 BRとの関係では、脳がCPU、肉体が入出力装置、細胞が記憶装置に当たる。


【集合的無意識情報網】しゅうごうてきむいしきじょうほうもう――Kollektives Unbewusstes Network

 通称KUネット。KUは集合的無意識を意味するドイツ語〝Kollektives Unbewusstes〟の略。

 ARMとして人類が獲得した共通の意識領域であり、情報空間インフオスフイア。VRと同義として扱われることが多い。

 これはヒトは脳内に個人的無意識と集合的無意識を持つが、CEMには『個』が存在せずに『種』のみがあることに起因する。人類種の『個』がCEMにより『種』として繋がった集合的無意識の形がKUネットである。


【受容器測定】じゅようきそくてい――Receptor Locate

 自身の感覚器の閾値を大幅に引き下げて、周囲の状態を測定する計測方法。

 混沌ケイオスの中では電波や音波を用いることができない(存在できない)ため、情報強度インフオテンシテイを保って存在している自身の感覚のみしか使えない。従来のレーダーやソナーと取って代わった技術。

 引き下げられた閾値で受ける刺激は強烈過ぎるため、通常は分析用のシステムを間に挿むことが多い。ギャロップでは、自機に搭載されたAIがその分析を担当している。


【情報強度】じょうほうきょうど――Infotensity

〝Information〟と〝Intensity〟を合わせた造語。混沌に呑まれずに済むかどうかの指標。

 自然物の情報強度はほとんどが混沌に呑みこまれるため、学術的にしか用いられない言葉である。


【情報空間】じょうほうくうかん――Infosphere

 物理空間であるBRに対して、VR独自の秩序を表現した言葉。


【情報探信】じょうほうたんしん――Ping

 通称ピング。

 KUネット上に存在する他者の存在を確認するためのコマンド。

 シンプルな〝呼びかけ〟を行い、その応答の有無、速度などにより、相手の状態を確かめる。


【序列国家】じょれつこっか――The Ordinal States

 現在の地球上で固有のデータ領域を保有し、概念コンセプトが統治している国家群。

 データ領域の大きさにより序列がつけられていることから、序列国家と呼ばれる。現在、序列に連なる国家は、以下の八つ。

第一位:〈超越〉スペルビア

第二位:〈復讐〉インウィディア

第三位:〈正義〉イラ

第四位:〈完成〉アケディア

第五位:〈独善〉アワリティア

第六位:〈功利〉グラ

第七位:〈官能〉ルクスリア

第八位:〈妄想〉ギルド


【制御椅子】せいぎょいす――Console Chair

 人間の情報処理を補助するマン・マシン・インターフェース。ARMの肉体が触れると接続し、標準規格の各種ソフトウェア、または専用にチューニングされたソフトウェアが使用できる。

 一般的な日常生活を送るうえでは必要のない代物なので、ほぼ専門職の人間しか使う機会はない。


【接続関係】せつぞくかんけい――Session

 セッション。ある通信の開始から終了までの「やりとりのまとまり」を指す。

 どこと何をするかという接続の関係性を張り、実際のやりとりを通信の経路で行う。


【魂】たましい――Ghost

 CEMにより発生した『生命と生物の差異』の定義によって発生した概念。

 生命であり個を持つヒトを、ヒト足らしめるものであり、個を持たない生物であるCEMには持ちえないものを規定するために提唱された概念。

 VR上でのヒトの情報的構造解析では、『それらしきもの』が確認されているだけであり、明確な定義が可能となっていない。

 また、ゴーストは魂の指示子ポインタ情報空間インフオスフイア上で、ある特定の情報の場所を示す情報)でヒトの内部では参照されており、その実体がある場所はKUネット上では未だに特定されていない。


【通信経路】つうしんけいろ――Connection

 コネクション。ある通信をやりとりするための「通り路」を指す。

 どこと何をするかという接続の関係性を張り、実際のやりとりを通信の経路で行う。


【疾く駆ける騎士】とくかけるきし――Gallop Knight

 通称ギャロップ。CEM構造体の一つであり、〝独占戦争〟後に発掘された。

 巨大な騎士の鎧の姿をした人型有人兵器に見えるが、実際はデタッチャブルな強化外骨格である。『疾く駆ける』という名の意味は、文字通り亜音速で移動を行う様から名づけられた。

 現在の主力兵器でもあり、大きな国家では必ず所持しており、混沌ケイオスの中でも行動できるため、ギャロップの研究と強化こそが軍事力の要とも言える。


【ブランク】ぶらんく――Blank

 VRとBRで、感情領域を開放していないほうの意識を指す。

 ARMとなった人類は並列意識パラレル・ソウトによりVRとBRに意識を持てるようになったが、双方の現実に感情を抱くと、脳=CPUが異なる意識の心的表象を、形而下に表れるものを処理できなくなり、錯乱を起こしてしまうためである。酷い場合には廃人となってしまうため、感情を表す領域を厳密に設定している。

 感情を向けていない現実は『空っぽ』を意味するブランク状態と呼ばれる。表情や言葉が機械的となるため、多くの場合は会話のマナー違反と思われる。


【並列意識】へいれついしき――Parallel Thought

 ARMとなった人類が持つBRとVRの双方に持つ意識をを意味する言葉。

 どちらの現実でも同時に明瞭な意識を持ち、また別々の思考を行える。意識の系そのものが異なるため、各現実でのは主観時間は異なるが、ゴーストによりその主体性が統合されている。


【連結定義】れんけつていぎ――Interface

 インターフェース。異なるシステム、機器が相互に接続する境界に存在する仲介役。

 例えば、キーボードやマウスも、人間とパソコンのインターフェースである。

 コンピュータシステム間の情報の授受の場合だと、プロトコル、すなわち決まった手順、規約に従うことを指す。

 ARMとなった人類の場合、人間にもシステムにも、CEMという共通因子が存在しているため、CEMを仲介してどのように相互に〝連結〟するのか〝定義〟している。

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