第二章 【保護】ヒナside
少し暴力的表現が入ってきました。
<ヒナside>
あのまま、アキラに連れてこられた、地下の薄暗いお店。
たぶん、男の人と女の人のそういうお店だと思う。
「ここは俺の店だから大丈夫」
そういって事務所の裏の椅子に座らせてくれた。
……もう隠していられない。
私の過去を話すことにした。
私は、隣の国でごく普通の家庭で生まれ育った。
優しい兄が一人、仕事が忙しいながらも愛情深く接してくれる両親。
仲のいい友達、幼馴染。ケガをしたら、人には触っちゃいけない。かすり傷でも近づいてはいけないという謎のルールはあったが。
幸せだった。
13歳のあの日までは。
ある日、見たこともないスーツの男性たちが家に来た。
両親が亡くなったらしい。
そして、衝撃的な事実を告げられる。
私達一家は、組織の毒殺を行う担当だった。
父も母も、毒に強く、どんな強力な毒も無効にするような体質だった。
その二人が、産んだ子供の兄と私。
実は、生まれた時から、英才教育を行われていた。
私達兄妹は、毒を無効化するだけではなく、血液にはすぐに致死量に達するほどの毒が仕込まれているらしい。
私はまだ13歳だったこともあり、シゴトに連れていかれることはなかった。
しかし、16歳だった兄は、度々シゴトに連れていかれていた。
その度にやつれて、目が死んでいく兄を見ていることしか出来なかった。兄にシゴトをしてもらわないと、私達は食べていけなかった。
そんなある日、兄がいつもよりも早くに帰ってきた。
「お兄ちゃんお帰り!今日は早か…」
行き成り頬に衝撃は走った。
一瞬理解出来なかったが、目の前の兄に強くぶたれたことが分かった。
「お兄ちゃん、どうし…」
次は突き飛ばされ、馬乗りになられた。
無言で私の顔を殴ってくる。涙を流しながら。
私は泣き叫びながら、兄が満足するまで殴られ続けた。
次回、R-18です。読み飛ばしても大丈夫です。