第一章 【初めてのお出かけ】ヒナside
(ヒナside)
お出かけの準備をしていると、アパートに乱暴に入ってくる数人の気配がした。
嫌な予感がする。
枕の下に隠していた拳銃に手を伸ばす。
そして、部屋の前にたどり着いた男達は乱暴にドアを叩く。
錠が壊れた音がした。
(折角わくわくしてたのにな)
私は、やはり人生を少しでも楽しむ価値はないらしい。
狭い廊下を男たちが歩いてくるのがわかる。
三人か。
一人を殺れても、残り二人は不利だ。
恐らく兄の差し金だろう。強者なはず。
取り合えず、一人目の男の姿が見えたので、眉間の間の急所に銃を撃つ。
何が起こったのかわからない、驚愕の表情で先頭の男が倒れた。
二人目も打ち抜こうと銃を構えた瞬間、こちらの銃が先に打たれた。
私の体質を知っているようだ。体には当てて来ない。
そのまま、馬乗りになられて、首を絞められた。
「俺らも命が惜しいんだよ。大人しく着いてこい」
必死に首を絞める手を握りしめて押し返し、何とか意識を保つ。
その時、視界の端に、彼の姿が見えた。
一瞬で足を抑えていた力と、首を絞めていた圧迫感がなくなる。
「おい、行くぞ」
アキラに起こされ、肩を抱かれながら部屋を後にした。
次回から、第二章です。