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第二章 【オモイ1】(アキラside)
(アキラside)
泣き疲れたヒナは俺の胸の中で寝ている。
こんな小さな身体で、多くの物を背負って生きてきた。
出会った日のヒナを思い出す。
(周りが全部敵に見えて生きてきたから、あんな事を平然としたんだ)
俺はそう気付いた。
そしてあの日、襲うのを止めた男に対し、一瞬でアキレス腱を斬ったヒナ。無表情で冷徹な顔、一切の怯えのない瞳と雰囲気。
思い出すとゾクゾクする。
ヒナから壮絶な過去を聞いて、今の震える身体を抱きしめながら、思う。
(我ながら、終わっているな)
あの日の感覚が、衝撃が忘れられない。その背景で残酷に生きざる得なかったヒナに対して、複雑な感情を抱く。
この前のヒナの部屋に襲撃があった時、一人目は眉間に弾が当たって即死していた。きっとあの表情で一発で仕留めたのだろう。
「見てみたかったな」
すやすや眠るヒナの顔を見ながら、呟いてしまった。
優しい人じゃないんです




