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第二章 【夢】ヒナside
(ヒナside)
一気に日常が変わった。
アキラの家でふかふかのソファで寝て(アキラは、ベッドで寝ろってうるさかったけど、譲らなかった)、美味しいご飯を食べた。
両親が生きていた時のような、夢のような暮らしになった。
ある夜、二人で並んで座って、ご飯を食べている時に、不意に頬を涙が伝った。
「どうしたんだ?」
ちょっと焦って話すアキラ。
「ごめん、私の願望が見せた夢のようで……目が覚めたら、またあの日常に戻ると思うと怖くて……」
今まで口にしたら、夢から覚めてしまうような気がして、言えなかったこと。
震える肩をアキラが抱いてくれる。
「夢じゃねぇよ。ヒナから出て行きたくなるまで、ここに居ていいから」
頑張ったな
頭を撫でてくれる。
堪らなくなり、アキラの胸に顔を埋めて、兄に襲われていた時以来、初めて泣いてしまった。




