表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/23

第一章 【出会い】アキラside

荒くれた治安の悪い街。暴力がはびこる世界。そんな中にいた二人の物語。

「アキラside」

いつも通り、自分のお店を回った帰り道、路地裏から怒鳴り声と何かが倒れる音がした。

ここは、お世辞にも治安がいいとは言えない街。はっきり言って悪い。

俺のようなヤツには、生きやすい街だが。

いつもは、気にも留めず通り過ぎるが、今日は何となく路地裏を除いてみた。

そこには、3人の男に囲まれて、上半身の服をほとんど破られ、道に転がされて襲われそうになっている少女がいた。

たぶん10歳から13歳くらいだろうか。

怯えることなく、男たちを鋭い眼光で睨みつけている。

「何生意気な目で見てんだよ」

「調子乗ってんじゃねぇよ」

男が少女のお腹を蹴り上げる。

流石に痛いのか、苦しそうな顔をした。

しかし、その瞳には、怯えが欠片も見えない。

「偽善ぶりやがって!子供だからって許されるとでも思ってるのかよ」

男はナイフを出して少女の首に当てる。

「おい、お前たち、何をやっている」

何かを感じ、普段なら気にも止めずに立ち去るが、声をかけていた。

「なんだよ、…っ」

俺の顔を見て、男達は息を飲んだ。

「あ、アキラさん。いや、この娘が生意気言いやがって、ちょっと世間を教えてやろうかと……」

少女から離れ、言い訳をしながらこちらに寄ってくる三人。

その時、男達の後ろからすごい早さでこちらに踏み込んでいる少女が見えた。

ザシュ

音が響いた

あぁ、知っている。

ナイフで人体のどこかが切られる音だ。

目の前の男は、何が起こったのかわからない、という顔をしながら崩れ落ちた。

「ひっ」

それを見て、声を上げる残りの二人。

少女の右手には、先ほど少女を脅すために使用されたナイフが握られており、血が滴っている。

男を見ると、両方のアキレス腱が綺麗に切られていた。

切られた男は、その場に倒れこむ。

冷徹な無表情で見下げる少女。

その顔を見た瞬間、ゾクゾクした。

自分の中で初めて感じた感情。

少女は再度ナイフを構えようとした。

慌てた残りの男達は、走り逃げて行った。

沈黙が訪れる。

道に倒れ、腱から血を流しながら呻く男。無表情の少女と俺。

「……ありがとう」

一拍置いてから、少女から声をかけられた。

その瞳に感情は見られない。

「ヒカル」

俺はいつも傍にいる部下の名前を呼んだ。

路地裏から見えない隠れたところで待機しているのには、気付いていた。

「なんでしょうか。」

長い金髪を一つに括り、この町では少しキレイ目なかっこをしている男が出てきた。

「そこの転がっているヤツを何とかしておけ」

そして無表情に立っている少女に近づく。

「そんな服で出歩くことなんか出来ないだろ。俺の家がこの裏路地からすぐいけるから、これ着てついてこい」

羽織っていたロングコートを少女に渡す。

少女は、一度コクンと頷き、コートを手に取って羽織った。

それを見て、俺は家に向かって歩き出す。

少女が後ろをついてくる気配を感じる。

(俺らしくないな)

なぜかわからないが、今までにはない胸の高鳴りを感じながら、帰路についた。


序章です。完結できるように頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ