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「何?プレゼント?」


目の前のレーニャは、エリクとの記憶を何も覚えていない。しかし、エリクはどうだって良かった。彼女が忘れてしまったのなら、また振り向かせれば良いだけだ。


「あぁ、どうか受け取って欲しい」


真っ赤なルビーの宝石が飾られたそのピアスは、エリクがここ数日魔力を込めて作ったものだった。人間との関わりが禁止されている今は、人間の職人に頼むわけにもいかず、見よう見まねで作ったことから少し歪だが…ルビーはエリク自身が探し出してきたこともあり、人間界に流通しているものよりもずっと大きく、美しいものだった。


「…素敵ね」


ピアスを見てそう告げるレーニャの前に、エリクは膝をついて向き合った。


「レーニャ、君のことをずっと前から愛していた。…これ以上、何を伝えていいかわからない。君にとっては記憶もないし、突然なんだこの男って思うだろう。けれど…」


そんなとき、エリクはレーニャが泣いていることに気が付いた。


「レーニャ?」

「ち…違うの。…っ、ご、ごめんなさぁい…」




その後、レーニャの説明によると彼女からエリクの記憶は消えていないかったのだという。ファリドに聞いてみても、何か面白がっている様子で「せっかくのチャンスを利用すればいい」と言われ、記憶を失くしたふりを続けていたというレーニャ。


「はは…なんだそれ」


そう言ってエリクがその場に座り込むと、レーニャは涙を拭った後、エリクに視線を合わせてしゃがみ込んできた。


「騙したこと、怒っていますか?」


エリクが何を答えて良いかわからず悩んでいると、レーニャの瞳に涙が溜まっていく。エリクはそんな姿を誰よりも愛おしいと思ってしまった。こんな姿、誰にだって見せたくない。


「…いいや、怒ってなんかない。けど、他の男を寝所に連れ込むのはもうやめないか?」

「ぐすっ…はい。じゃぁ、代わりに…私の歌声に誘われてきてくださいね」






読んでいただきありがとうございます。

書きたかった神様たちのお話でした。

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