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数週間後、リーリエの結婚式が行われた。


幸せそうなリーリエの笑顔と、少し照れくさそうにするルスラン侯爵。2人の姿は本当に素敵だった。国民が2人の結婚を祝い、街中も幸せで溢れている様子だった。ジャスミンは…全てを見届けた後にゆっくりと王城の裏門に来ていた。ここには既に話を付けているアレクセイが待っているはずで、1人で静かに城を出ていく手筈だったのだ。


リーリエやルスラン侯爵、そうしてティモンには既に別れを告げている。最後にアレクセイに別れを告げれば、名残なくこの王城を出ていけるはずだったのだが…。


「どうして…」


裏門の傍にいるのはアレクセイではなく、つい先ほどまで結婚式を見届けていたはずのヴィクトルだった。


「アレクセイがこそこそと動いているような感じがしたから、嫌な予感がしてティモンを詰めたら、ジャスミンが出ていくことを聞いたんだ。…ジャスミン、どうか最後に話をさせてほしい」


そう言って頭を下げるヴィクトルにジャスミンは何も言えなくなる。本来の立場であれば、彼はジャスミンに頭を下げるはずがないからだ。


「あ…あの。私がここを出ていく意思は変わらないです。陛下、どうかお許しください」


震える声でそう告げたジャスミン。するとヴィクトルは、どこか傷ついたような顔をしてジャスミンの方を見た。


「だったら、君が持っているはずのピアスを俺に返してほしい。リーリエに聞いたら、君が持っていると聞いたんだ。ここを出ていく君にそれは渡せない」

「…そんな、でもこれは…」


ジャスミンの中でこれはたった1つの思い出だった。過去形でも良い。ヴィクトルに愛されていたという証を手にしたかっただけなのに。


ジャスミンは震える手で手持ちカバンの中に入れていたピアスに触れる。けれど、どうしてもそれを返すことは出来なかった。


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