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「まって!あれ、私たちの結婚指輪じゃない?結婚式に使うから片付けていたはずなのに」
リーリエの言葉に誰もが驚く。ヴィクトルはそんな指輪を手に、窓の傍で一体何をしようとしているのか。
そうして、事件は一瞬にして起こった。ヴィクトルはそんな指輪を、近くの池へと投げ入れたのである。
「うそ…」
「陛下は一体、何を!!」
それぞれが席を立ちあがり、アレクセイとティモンは執務室。リーリエとルスラン伯爵、そしてジャスミンは池まで駆け寄っていくのだった。目の前でぽちゃんと音がして沈んでいく小さなアクセサリーケース。気付けばジャスミンは池に入り、必死に手を伸ばしていた。しかし、結局ジャスミンはケースを掴むことはできず、同じく池に入ったルスラン侯爵の方が何かを手にしていた。
「…なんだこれは?」
「え?私の見間違いだったのかしら?」
それはついさっき、ヴィクトルが窓から投げたアクセサリーケースにしては少し大きな鍵のかかった小箱だった。もしかしたら、別の何かを拾ってしまったのかもしれない。そんなことから、リーリエに一旦その小さな箱を預けて、もう一度池の中を探すルスラン侯爵。ジャスミンもそんな様子を見て同様に池の中を手でかき分けながら探していくことにした。
「っ、お前たち、池を出ろ!!」
そんな中、慌てた様子でやってきたのはヴィクトルだった。焦ったのか顔を赤らめている彼は、「リーリエの指輪など投げていない!」と大声で宣言する。その後ろから、未だに状況を掴めていないようなアレクセイとティモンも続いてやってきた。




