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「本当に厄介な男ね」
いつのまにか、部屋には見知らぬ美しい女の姿があった。輝く琥珀色の髪を揺らした深紅の瞳の人物。ヴィクトルには覚えがなかったが、イヴァンが「レーニャ」と名前を呼んだことから、ヴィクトルは彼女がこの国の女神であるレーニャ神であることに気付くのだった。
彼女はいつのまにかジャスミンの体を抱えており、ついさっき銃弾で射抜かれたはずの彼女の体には穴は開いていなかった。レーニャ神が一瞬の隙にジャスミンを助けていたのだ。
「はぁ、これほどまで人間界に介入しすぎだと怒られちゃうんだけど、流石にこの状況を見捨てたら私は一生後悔することになるのよね。元凶であるあんたたちが先に死んだとしても、半永久的に私はずっと引きずり続けると思うわ」
レーニャ神はそう話すと、ぎゅっとジャスミンの体を抱き、ヴィクトルとイヴァンの2人を見つめる。
「本当、男たちってみんな不器用で馬鹿なんだから」
そうレーニャが呆れたように話した瞬間だった。イヴァンは怒りのままに拳銃を握り、レーニャ神の頭を射貫く。
「お前!!」
そう慌てたヴィクトルがイヴァンの体を取り押さえたとき、隣ではレーニャ神がゆっくりと倒れていくのが見えた。
「レーニャ様!!」
ジャスミンがそう悲痛に叫び、床に倒れたレーニャ神をジャスミンが支える。
「ははははは、俺の邪魔する奴は誰1人として許さない!この国の女神だと?面倒なことをして、俺のことを振り回しやがって!次会った時には必ず、こうしてやろうと思っていたんだよ!!!」
イヴァンのそうした笑い声が部屋中に響き渡る。
そんな時、窓の外では突然大きな雷鳴が轟いた。この部屋のライトが一瞬にして消え、次の瞬間見たこともないような恐ろしい顔をしたエリク神がそこに現れたのだった。




