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「レーニャ様、1つ聞いても良いですか?」

「なぁに、ジャスミン。ふふ…でも、その姿でジャスミンだなんて呼ぶと違和感があるわね」


そう言ったレーニャ神はソファから立ち上がってジャスミンの傍まで来ると、面白そうに頬についたそばかすの痕をなぞる。それから、ジャスミンの短く切りそろえられた髪にも触れるのだった。


「私は、あなたの茶色のふわふわの髪が好きだったのよ。もう本当に勿体ないわ」


レーニャ神の美しい顔が近づき、ジャスミンは気付くと彼女にキスをされていた。その瞬間、辺りに甘い香水のような匂いが広がり、ジャスミンはレーニャ神の瞳に映る自分の姿が変わっていることに気付く。


「レーニャ様…あの、私、こ、困ります…」


短かった髪は元のように伸びており、すぐさまハサミを手にして短く切らなきゃと考えるジャスミン。そうじゃなければまた、あの兵士たちに…。


そんなふうに恐怖で震えるジャスミンだったが、レーニャ神はジャスミンのハサミを持つ手を押さえた。


「何度切っても私はそのたびに、あなたにキスをして髪を元の長さに戻すわよ。ジャスミン、私、あなたのことを気に入ってるの。この国では今後、おかしな奴らがあなたに手を出せないようにするから安心なさい」


そう告げられたジャスミンは、そのままレーニャ神に背中を押されて近くの椅子に座らされる。すると、後ろに立ったレーニャ神はジャスミンの髪を楽しそうに編み込み始めるのだった。


「ははははは。確かにジャスミンの逃亡劇は面白かったなぁ。いやぁ、我だって絶体絶命に陥れば助けてやろうかとも思ったが、手を貸す必要もなかった。お前の手がただれてクッキーが焼けなくなるのは困るから、ちょっとだけ医者の元に手を治療する木の実を増やしてやったが、それ以外は我の出る幕はなかったほどだ」


エリク神はそう楽しそうに語ると、テーブルに飾られていた黄色の花を手に取り指先でくるくると回す。するといつの間にか花の形が変わり、淡い黄色のドレスが現れるのだった。


「ジャスミン、折角女の格好をするならそれを着て、祭りに参加するといい」

「それはいい考えね。ジャスミン、あなたは着飾れば本当に美しいのに…もう本当に化粧っ気がないのだけはずっと残念に思っていたのよ」


いつの間にか、髪の編み込みを終えたレーニャはジャスミンの肌に触れ、まるで魔法のようにキラキラと化粧を施す。そうして満足そうに微笑むと、今度はジャスミンの着ている服を強引に脱がしてくる。


「ほら、早く脱いで」

「レーニャ様、あのここでは…」

「いいから、いいから」


どうしてもソファに座るエリク神のほうが気になってしまい、視線を送るジャスミン。すると、エリク神も気を使って視線を逸らしてくれるのだが…そんなタイミングで部屋の扉が開かれる。


「ジャスミン、クッキーの件だけど…」


そこにいたのはユーリであり、着替え途中だったジャスミンの下着姿はユーリの前に晒されてしまう。その瞬間、2人の神は笑い声だけ残しどこかに消えてしまうのだった。


「きゃぁ!」

「うわぁ、本当にごめん!!ちゃんとノックしなかった僕が悪いよ」


ユーリはそう言ってドアの外へと消えていき、ユーリは慌てて傍にあったエリク神が作ってくれたドレスを着るのだが…このドレス、後ろに大きなリボンがあり、背中で誰かに結んでもらわなけばいけないつくりとなっていた。


「ご…ごめん、ユーリ。その、嫌じゃなかったらだけど…」


そう言ってドアの隙間からそっと顔を出し、真っ赤にした顔で後ろのリボンを結んでほしいとお願いしたジャスミン。そんなお願いに、ユーリは目を細めてなるべく見ないようにしながら、器用な手つきでリボンを結んでくれた。



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