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ジャスミンが小さな荷物をまとめて森を抜け、隣国のラヴィル国までの街道を乗合馬車で移動している間、良くない噂を聞いていた。なんでも、隣国はここ2週間ほどおかしな伝染病が流行っているという。急激に体の体温が下がり、長く眠った状態のまま次第に体が弱っていくというその症状は、ジャスミンに嫌な予感をさせた。


少し前、リーリエ様が倒れた時も同様の症状が出ていたのだ。もしかしたら、同様の毒が隣国で広がっているのかもしれない。だが、あの毒は未だに解毒薬が見つかっていない。そんなものが国に広がっているのだとしたら…。



乗合馬車がラヴィル国に着いたのは、夜も遅い時間だった。眠そうにしていた1人の兵士がのっそりと人々の方まで歩いてくる。


「悪いことを言わないから、今、国に入るのは辞めた方がいいと思うぞ」


そういう門番の男は口に布のような物を巻いており、疲れ切っているのか目の下にクマのできた顔でそう話す。すると、ジャスミンの傍にいた旅人や商人たちは噂は本当なんだとそのまま引き返していき、門の前にはジャスミンだけが残ったのだった。


「あんたは?この国に親族でもいるのか?」

「…いいえ、でも私は隣国のザハール国で薬剤師をしていました。なので、少しでもお力になりたいと思いまして」


それは乗合馬車の中でずっと考えていたことだった。幸い、いくつかの薬草を荷物に入れて持ち運んできている。そもそもラヴィル国では、国家錬金術師たちが主に薬関係を牛耳っており、平民たちは高額な薬に手が出せない状況だと聞いている。そんな平民たちの力になれたら…それが素直なジャスミンの気持ちだった。


「へぇ、あんた名前は?」


そんな問いかけにジャスミンが名前を答えようとしたとき、どたどたと騒がしい馬の足音が聞こえ、大きな鎧の音と共に数人の兵士たちが門番の元へとやってきたのだった。


「姉ちゃん、ちょっと待っててくれよ、あっちの対応が先だ」


ジャスミンはそう聞かされ、少し端に移動するよう命令される。


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