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その日の夜のこと、眠っていたジャスミンは少し息がしづらい感覚を受ける。一体、何が起こっているのか。そう悩んでいたジャスミンは、夢の中で自分が誰かに首を絞められていることに気付いた。


「良くも兄様の唇を…!!!」


そんな声を聞き、ジャスミンは目を開ける。見知らぬ空間にいるジャスミンと、目の前にいる美しい女性。輝く琥珀色の髪を揺らした女性は、どこか雰囲気がエリク神と似ている気がする。深紅の瞳は、キッと鋭くジャスミンのことを睨んでいた。


「どうしてあんたのような平凡な女が、兄様によって愛されるのよ!美人でもなく、香水の匂いよりも草木の匂いが強い田舎女のあんたが、兄様の唇を奪うなんて…本当に許せないわ!!」


夢の中のせいなのか、首を絞められ息苦しさは感じるものの、ジャスミンはそのまま殺されるという恐怖心はなかった。ただただ息苦しさが続き、目の前の女性の怒りだけをひしひしと感じる。


「本当だったら、あんたみたいな女は一生運命の相手と結ばれないようにして、独り身で暮らす呪いだって掛けてやるのに!!はぁ…もう、兄様はいつだって手が早いわ」


ジャスミンの首を占めていた力が弱まり、怖い顔をしていた彼女は今度は少し眉を下げてジャスミンの瞳を見つめてくる。


「…そうよね、ジャスミン、あなたはもうとっくに呪いを受けているんだわ。愛する人から記憶を消されるなんて…私だったら絶対発狂ものよ。兄様に忘れられたら、きっと世界を恨んで全部壊したのちに自分から死を選んでしまうほどにね」


そういって、今度はジャスミンの乱れた髪を手櫛で綺麗に戻してくれる女性。彼女は、自分の名前をレーニャだと名乗った後、ジャスミンに話しかけてきた。


「言っとくけど、兄様に一度でも色目を使ったら、あんたの体を八つ裂きにして死んでも死にきれない苦しい思いをさせてやるんだから」


最初はわけも分からなかったジャスミンも、ちょうど今日の昼、隣国の女神の名前がレーニャだと聞いたことを思い出して、自分の今目の前にいる女性が噂の女神様だということに気付く。そうして、彼女が兄様と呼んでいるのは、エリク神のことだろう。


「はい、心得ておきます」

「ふん…。だったら、早いうちにその粗末な小屋を捨てることね。私から言えることは、3日後、確実にその小屋は火の海になるわ。生きたいって思ってるなら、私の国に来なさい。私としては、兄様の唇を奪った女が消えることはなにより嬉しいことだけどね」


彼女がジャスミンの髪を一房持って強く引いた後、ジャスミンは少しの痛みと共に目を覚ます。いつもの山小屋のぼろぼろの寝台の上で、酷く魘されていたのか体中が冷や汗でべったりのジャスミン。ジャスミンは体を起こし…そうして今の夢は、ただの夢ではないと実感していた。


きっと、隣国の神であるレーニャがジャスミンに警告を送ってくれたのだ。



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