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「では、私の方も報告させていただきます。ジャスミンは変わらず森の奥の山小屋に住んでいるようです。何日かに1度は町の方に買い物に行くものの、町の住民たちはエリク神の影響を気にしてか、ジャスミンに対しては少し距離を置いているようですね。ジャスミンも殆ど言葉を交わさずに、食料品をいくつか買ってすぐに帰宅している様子です」


普段の報告では資料に目を通すことは殆どないアレクセイだが、今日はヴィクトルを気遣うように資料に視線を落としながら報告を始める。


「ただ、彼女の作る薬は良質なものであるため、薬屋に一度下ろした後、彼女の名前を隠した上で販売をしているようです。…っと、あ、ここでは邪魔になりますね」


そんなとき、神殿から台車を引いて近くまで来ていた神職者のティモンと目が合う。部下たちと共に神殿の掃除を終え、帰ろうとしていたところにヴィクトルたちがいて足を止めていたようだ。


「本来ならばこちらが道を譲るべきなのですが、申し訳ございません」


そう話すティモンの後ろには、台座に載せられた…女の死体がある。奥の焼却炉に進むためには、ヴィクトルたちが邪魔になっていたのだ。ヴィクトルが避けると、ティモンの部下たちが先に死体を運び出す。その場に残ったのはヴィクトルとアレクセイ、そしてティモンだった。


「陛下、私からも少しよろしいでしょうか?」


そんな時、ティモンがヴィクトルに声を掛ける。男にしては体の線が細く、薄い緑色の髪がより一層中性的な雰囲気を纏ったティモン。実は少し前に行われたジャスミンの処刑では、彼が「手を下せない」と告げたために、あの日ヴィクトルが処刑を行う手筈になった。


例え自分の親族が相手だろうと必ず処刑の儀式を行えるように教育される神職者たちのため、異例の事態であったものの、ヴィクトルがそれを受け入れたのは…あぁ、ここから記憶にもやが掛かって何も思い出せないのはジャスミンに関わることなのだろう。


「あぁ、構わない。アレクセイは下がらせた方が良いか?」

「えっと…大丈夫です。その…聞かれて困る内容ではないため」


そう言って2人は視線を合わせる。アレクセイの視線が普段よりも柔らかになるのは、2人が恋人同士だからだろう。


多くの者には明かしていないが、ティモンとアレクセイは恋人同士である。男同士の恋愛を罪に問う国でないため別に関係を公にしても構わないのだが、彼らは関係を明かさないと決めている。


ただ…ティモンもアレクセイもこの国の中枢にいる人間のため、どんな死に方をしても最終的には心臓が石版に捧げられ、2人の関係は石版に刻まれる。もちろん、犯罪者でない者の石版を民衆たちに公表することはない。あくまでも目を通すのは王族に関わる者であり、2人の関係を知らないリーリエとルスラン侯爵は後々驚くことになるだろう。



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