王都へ向けて
「ヨハヌス、父さんから大事な話がある。」
「なにーパパ?セシリスのスキルが凄いからお祝いでもするの!?」
「そうだな、もちろんお祝いもしないとだな!」
サルードルは言おうとしていたことをはぐらかすように笑った。しかし少し考えた後真面目な顔で語った。
「お祝いはするとしてもヨハヌス、お前を少しの間ジール牧師に預けようと思ってるんだ。」
「ジール牧師に?どうして?」
「お父さんはセシリスのスキルについて王国の偉い人に会わないといけないんだ。聡いお前なら分かるはずだ、たしかにセシリスのスキルはすごい、だかな大人は汚いことを考えてしまうんだ。王国内で今信用できるのはジール牧師なんだ。」
「でも!パパ、僕は、パパとセシリスと一緒にいたい…」
「なんだーヨハヌス寂しいのか?別にずっと預けるってことでも無いし、お前もセシリスも大事な俺の子供達だ。偉い人との話が終わったらすぐ戻ってくるさ。」
サルードルは幾度かヨハヌスとセシリスを信用できる友人に預けてサーカス団の仕事で遠征していたことはあったが、今回のことにおいてはヨハヌスには良い予感がしなかった。
「でも…わかった、パパ僕ジール牧師のとこで待ってる。」
「ありがとうな、ヨハヌス」
そしてサルードルはヨハヌスを部屋まで送り寝かしつけた。その間もサルードルの顔はどこか険しいものがあり、その雰囲気はもしかするとすこし恐ろしい殺気が含まれていたのかもしれない。
サルードルの自室にて。
「メディ、君と僕の子供はとんでもないスキルを発現させてしまったらしい…僕は君のことを守り切れなかった…けど今度こそは僕は君に代わってこの可愛い子供達を絶対に護らなければいけない。」
サルードルは1本の針を眺めながら独り言を呟いていた。そしてサルードルは王都にいく準備を始めた。
翌日の昼頃
「ジール爺ヨハヌスのことよろしくお願いします。」
「ジール爺ちゃんお願いします!」
サルードルはヨハヌスをジール牧師の教会まで送り、セシリスと共に王都へ向かう準備を整えた。
「ねーパパーお兄ちゃんは来ないのー?」
「お兄ちゃんはジール牧師のとこでお留守番だよ。色々備えないとだからね。」
「私ね私ねこのスキルで色んな人をいーーっっぱい助けるんだ!」
セシリスの微笑ましい夢をサルードルは聴きながらも今後のことを、もしもの時についても考え始めていた。