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第十六話(R12)

 大人に成ると、損得を無意識に考えて、結局何も出来ないで終る。前までの俺は特にソレが強くて、結婚なんて、逆玉に乗ろうとしてた位だったんだから、今の生活なんて、考えもしなかっただろう。






 午前七時十分。良い匂いに引付けられる様に重い瞼がゆっくり開かれ、目が覚める。隣に目を移すと、誰も居ない。台所から、タンッタンッと、何かを切刻む音がして、奥さんが其処に居るのだと確認出来る。

 早馬は二度寝しようかと考えたが、御腹の虫が鳴ったので、潔く起きる事にした。


 寝室とリビングを遮る様に閉められた襖を開けると、ダイニングテーブルには今出来上がったと思われる料理が置かれてて、其れから良い匂いが発せられていた。



「お早う! 」



 声がした方へ振返ると、俗にいう裸エプロンという姿で、乃利子が台所から出てきた。彼女の両手は御盆を持ち、其の上に茶碗が二つ。どちらも白米が盛られてる。



「朝から、誘ってる? 」


「……早ちゃんの頭は、そーゆう事しか考えつかないの? 」


「いやっ! 男の頭ん中は、大体そーゆう事しか考えつかないんで……って、そうじゃなくて、何で裸エプロンんんん!!? 」


「服着るのめんどくさくて、どうせシャワーで体を洗っても、また服を取替えるとなると洗濯増えるし、其れに、早ちゃんの朝御飯作らないといけないから、此の侭でも好いかなぁって、…駄目? 」


「ダメダメ! ぜーったい、駄目っっ!! 仕事行く時間遅れるし、…其れよりコレ、如何してくれんの? 」



 此の後、早馬が出勤時間に遅刻した事は言うまでもない。




 午前十時三十分。受付けを通り、何の理由で遅刻したかという言い訳を考えながら、早馬は自分の職場へと向って歩いていた。職場が近付くにつれて、無意識に歩くスピードが遅くなっていく。

 そして、とうとう職場と通路を仕切るドアの前まで来てしまった。



「……お早う御座います…」



 そう挨拶をしながら、ドアを後ろ手で閉めると、中へと入室する。出入り口付近に近い処で仕事をしていた同期は顔を上げ、「朝から盛ってんなよなー」と、からかい口調でそう言い、社内に笑いが起こる。早馬は、らしくも無く顔を真赤に染めた。


 乃利子と和解した翌日。当然の事ながら、麗子に怒られた。何故、勝手に早退したのか? と。早馬は、あっけらかんと「喧嘩した嫁さんが家に戻ってくるって知ったからです」と、答えた。

 すると、社内はザワザワとし出す。当り前の反応だ。今迄、夜遊びばっかりしてて、浮いた話の一つも無かった男が、知らぬ間に結婚していたという話を聞けば、驚くだろう。

 唯一人、全く反応を示さない人物が居た。


 其の人物をチラッと見る。



「……何? 」


「いや、別に…」



 あれ以来、早馬と麗子は応酬しなくなった。麗子に避けられているからなのだが。そんな二人の変化に、他の社員達が気付かない筈も無く、かといって、何かを言うわけでもなく、唯黙って見守っていた。其れが、彼等に出来る最大の優しさだった。





 午後六時四十五分。自分の手持の書類を片付け、同期や後輩の仕事を少し手伝った後、身支度を整え退社した帰り道。商店街を歩いていると、見覚えのある背中にそっと近付き、肩を優しく叩く。

 乃利子はクルッと此方に振返ると、突破に嬉しそうな顔になった。早馬の顔も、自然と緩み、優しい顔になる。



「今日の晩御飯何ぃ? 」


「生姜焼きだよ。後、食後のデザートにホットケーキ。其れで、今ホットケーキシロップを買いに行こうと思ってる処♪」


「御前、ほんとホットケーキ好きだよな。昨日も作ってたし、あれは美味かったな、うん。……まぁ、他の料理は、百点満点中三十点だけど」


「えぇー!? 五十点でしょ! もしくは満点!! 」


「いやいや、ありゃあ五十点も行かないぜ。…じゃあ、間を取って、四十点」



 頬を膨らませ、唇を尖らす乃利子。拗ねた様だ。そんな乃利子の肩に自分の腕を回し、抱き寄せる。乃利子は顔を真赤にし、早馬の方に顔を向けるが、早馬は正面を見ていて目が合わなかった。


 乃利子は少し肩を落とし、でも、そんな反応とは違いとても幸せそうな顔で、早馬の回された手に自分のソレをそっと重ね、目を閉じた。






【そんな、とある一日。】


 明日も、其の先も、ずっと、こんな日々が続けば好い。


 此れが、所謂幸せというのなら、死ぬまで此の時間を共有したいと、あの数週間前の俺が夢にも思わなかった日常が、今、始まったばかり――。
















後書き

ってなわけで、此れにて完結です(#^.^#)

グダグダ感たっぷりでとても御見苦しいものを見せてしまい、すみません…(>_<)

最後の最後はイチャイチャ。何だよ、コレ!?ですよね。。何か、最近甘々なのを多く書いてる気がする…気のせいかな?


ちょっとした刺激的な恋愛は、今はよく分りませんが(だって、恋の一つもした事ないんだもの)((御前、今何歳?

多分、何も変わり映えしない生活が、一番の幸せなんだと思います。


さて、此の話についての後書きに戻りますが…((オイィィィィ

一応、納得いくラストを迎えられた…のでしょうか?よく漫画とかの最終回見終わった後に、何だよ此の話のラスト!なんて言われる場合もあるので、すっごく心配でして((大丈夫、大丈夫。最初っからグダグダだったから、ラストもそうだよ。安心しろ

私にとって、最高のラストとは――続編が見たい!と言われるものかなぁ、と思います

今迄納得いったラストといったら、ドラ●エの5と8です。ってか、其の二つしかクリアした事が無いからなんですが((ゲームばっかりしてないで勉強しろ!!



初出【2012年6月3日】

納得いくラスト……その後色んな名作と出逢うのですが、それは割愛させていただくとして(←⁉️)


生死と結婚、子育て等を考えて、私にもいつかこの人と家族になりたい‼️と思える相手が出来るのか?という疑問から、この話を書こうと思った記憶があります。


恋や恋愛が全てじゃない。それは大前提にですが、、、

この人しかいない…この人の事大好きになって良かった❤️って思える恋や恋愛が出来たらいいなぁ、って


読んでる皆様も、こーゆう恋や恋愛したいなぁ…って思ってもらえる様な、、、

そんな仕上がりを目指しましたが……グダグダになっちゃった感はある。

ただ改めて、書き上げられた事は満足してます(`・ω・´)❤️(←⁉️)

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